花束を選ぶように焼き菓子つめ合わせを選ぶ
ー 選ぶのも好き もらうのも好き ー
前に美術館に出かけた帰りに、赤坂に寄り道した。
おめあてはあの有名なレアチーズケーキ屋の「しろたえ」
このお店のことは、安い食べ放題のお店にしか興味がなかった高校生の頃の私でも知っていた。
いつか行ってみたいとずっと思っていたけどなかなか機会がなかった。けれどこの日は近くまで来ていたから、えいっと自分の背中を押しまくってわざわざ途中下車して立ち寄った。
雨が降っていた。
美術館でのんびりしすぎたため、駅についたのは16時すぎだった。
お店、やってるかな、、。
2月だったこともあって、すれ違う学校帰りの女子高生たちはバレンタインチョコの話で盛り上がっていた。
ああ、私にもあんな頃があったなあ、、と急に遠くを見つめ始める。
が、店はもう目の前にあったため、急いでピントを合わせる。
こじんまりとしたお店は一階がケーキ屋さんで、二階がカフェという造りになっていた。
ショーケースの中を見る。
ケーキはどれもアルミが敷かれていて、小さめ。
ラインナップもちょっとクラシック。
昔ながらの近所のケーキ屋さんという感じで落ち着く。
カフェは満席だったため、ショーケースの前で少し待たせてもらうことに。
何にしようかな〜〜。
初めて来たからやはり噂のレアチーズケーキはマストバイだな、と思いつつも、私はショーケースをじっくり見る。
え、なんでかって?
だって2個食べるんだもん!
前にコージーコーナーのケーキを2個食べた時は死にそうになったくらい甘いものが不得意な私だけど、ここのケーキなら2ついける!という根拠のない自信があった。
そこで値段的にも大きさ的にも良心的なシュークリームを選ぶことにした。
雑誌「dancyu」のシュークリーム特集にも載っていたここのお店のシュークリーム。
1日に700〜800個売れるらしい。
席が空いて二階に上がると席は思ったよりも少なかった。
テーブルが確か6つくらいしかなかった。
最初はレアチーズケーキ。
フォークをすーっとさして切る。
一口一口をそーっと食べ進める。
あ〜〜幸せだ〜〜
ここで目をつぶったら何か浮かんできそうだなと思い、瞬きをちょっと長くしたみたいな目のつぶり方をした。
すると、目の前にはいきなりスイスが広がり、牧場を見渡せるテラスの椅子に座っている自分がいた。
シュークリームは食べ方がわからなかったから思い切ってかぷっと行った。
たしか手づかみだった。
シュー生地の中には空洞がなかった。クリームがぎっしり。
どちらもシンプルな正統派を貫いていて、ムダや隙がない。
・・・
いい気分で階段を降りていき、お会計をしようとした。
とその時、ショーケースの上にいろんな焼き菓子が並んでいることに気づいた。
マドレーヌとか、フィナンシェとか、パウンドケーキとか、クッキーとか。
そこでちらっと時計を見る。
夜になっていた。
今から家に帰ったら家族がみんないて、もう夜ごはんの時間だろう。
「どこ行ってたの?」と聞かれたら「ケーキ屋さんでケーキ食べていた。だからお腹あんまり空いていない」と言うことになる。
そしたら絶対「えー、いいな、1人だけずるい」と言われるに決まっている。
、、、
しょうがないなあ〜
私は人数分焼き菓子を買って帰ることにした。
何にしようかな〜と思ってきょろきょろする。
と、不思議とうきうきしてきた。
焼き菓子の詰め合わせを考えるのってお花屋さんでブーケを作るのに似ていると思った。
1つ1つ真剣に選んで組み合わせる。
もらう方も嬉しいけど、選ぶ方も楽しいんだな。
その日はマドレーヌとチョコレート味の焼き菓子を何個か買って家に帰った。
喜んでもらえた。
(もちろん自分用にも)
・・・
また別の日、私は友だちから誕生日プレゼントをもらった。
開けてびっくり!
焼き菓子の詰め合わせではないか!
大山にある「マテリエル」というどうやら有名な洋菓子屋さんのもの。
4種類のパウンドケーキにクッキー、それにはちみつとジャムまで。
しかもそれの嬉しいのが、全部に私の好きなものが詰め込まれているところ。
オレンジが好きだからオレンジのパウンドケーキ。
ドライフルーツが好きだからドライフルーツのパウンドケーキ。
ナッツが好きだからココナッツのクッキー。
柑橘が好きだからグレープフルーツの入ったはちみつ。
りんごが好きだからタルトタタンのコンフィチュール。
手土産で一番嬉しいのはバターがたっぷり使われたふわふわの焼き菓子だよな〜と思っていた私だったから、まずパウンドケーキは間違いなく嬉しかった。
でもその次のクッキーがちょっと衝撃的だった。家でも作れるし、と思ってわざわざ買ってこなかったクッキー。(そう言って作らないんだけど。)
久しぶりにお店のを食べたらびっくりした。ほろっほろでココナッツも香ばしい。私の中でクッキーの時代が幕を開けようとしていた、、。
グレープフルーツのはちみつは、ヨーグルトにのっけてほろ苦さを楽しんだ。
なめらかなりんごが入ったタルトタタンのコンフィチュールは、あたためた白ロールにクリームチーズと一緒に挟んで食べたらロイヤルファミリーの一員になれた気がした。
全てが愛おしく思えて、家族に間違って食べられないように、箱の上に「食べるな危険」と書いた紙を貼っておいた。
おいしいことには間違いないんだけど、何よりも、「あ〜これ私の好きなもの意識してるな〜天才!」って考えながら食べるのがめちゃ幸せだった。
私のことを熟知してくれている子が1つひとつ丁寧に選んでくれたものを食べることの幸せを噛みしめていた。
世界に1つだけのプレゼントってこういうことだなあって思った。
ひとつひとつの感想を熱量高めに伝えたら、「選ぶのも楽しかった」と言ってくれた。
それから、贈り物をするときは今まで以上に相手のことを考えるようになった。
今まではついつい無難に喜ばれそうなものを贈っていたけど。
最近では、好みをよく知っている人へ贈りたいものを考える時間がとても好きだ。
・・・
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