3月のある桜の日に100パーセントのシュークリームに出会うことについて
ー学生最後の春、私は東京でひとり旅をしたー
(ちなみに今回のタイトルは村上春樹の素敵な短編タイトル「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」からです。)
この前の3月。
来週から社会人という3月の晴れた春の日。
何となく気持ちを落ち着けたくて何の予定も入れないでいたら、案の定何の予定も入らなかったので、「今一番やりたいことをしにいこう!」と思い立って赤坂に出かけた。
赤坂は私の大学生活において、ほどよく思い出深い街だった。
恥ずかしい思い出が作られるほど身近な存在ではないが、大切にしたい思い出が何個もできるくらいにはお気に入りの街だった。
日常生活の行動範囲がその界隈にあったわけではないから、行くとしたら必ず「おでかけ💛」という幸せな気分になれるっていうのも好きな理由の1つだったんだと思う。
てかそれだな。
初めて降り立ったのは、初バイトの研修でドキドキしながら本社に出向いたとき。
美術館とホットケーキパーラーフルフルに行きたくて1人で来た日もあった。
おまけに桃パフェも食べた。
・・・
21_21 design sightも好きで何度か行った。
その前後でパンチェッタのピザを食べたこともあったし、
ハーブスのミルクレープを食べたこともあった。
だいたい、美術館に行くために赤坂に行くというのは建前でしかなくて、本当は食べたいもののために赤坂に行くついでに美術館に行ってるんだったりする。
・・・
そんないい思い出に浸りながらまた新たな思い出を作るため、私はこの日も赤坂に向かった。
お昼ごはんを食べて散歩して、行きたかった美術展を一通り見たあと、本日の主役「東京ミッドタウン」に向かった。
おめあては「トシヨロイヅカ」のナッツごろごろシュークリーム「シューペイザンヌ」
(呼び捨てするなんてほんとは烏滸がましい。)
このシュークリームとの出会いはかれこれ2年前くらい。
深夜のおやつにミックスナッツをむさぼるのにハマっていたとき、「私、リスと同じくらいナッツ好きかも、、、」と思って「ナッツ スイーツ 東京」と検索したのがきっかけだった。
そしたらトシヨロイヅカの公式サイトにこんな写真が載っていた。
3枚ある画像はだんだんどアップになっていくだけで、微笑ましかった。
(これいる?)
そしてこのシュークリームに釘付けになって以来、ずっと憧れていた。
・・・
そして今日。
美術館にいる間も売り切れていないか、気が気じゃなかった。
何度か心ここに在らずになったり、早足になったりした。
それなら先に行っとけよという話なのだが、「美術館帰りのシューペイザンヌ」というシチュエーションも大事にしたかった。
お店に着いたらすぐにショーウィンドウ内の輝くシューペイザンヌをロックオン。
あった!!!
が、5個しかない。
対する行列、私は8人目。
前の人が全員1個ずつシューペイザンヌを買って行ったら売り切れてしまう。
内心心臓が飛び出そうになるくらいドキドキした。
前の人たちのオーダーに耳を澄ませる。
しかし私の番が来るまでにシューペイザンヌが誰かの手に渡ることはなく、私は無事に念願の「シューペイザンヌをひとつください」というフレーズを口にすることができた。
頭の中で何度も反芻していた名前だったからオタクの早口語りみたいにならないように気をつけた。
「シュー、、ペイザン、ヌ?ください。」
ってとぼけたふうに言ってみた。
春風そよぐテラス席につく。
試しに広角レンズで撮ったら「一人ですが何か?」みたいな画になった。
そんなつもりはさらさらない。
さっそくひとくち。
クッキーシューが香ばしい。
アーモンドの香りがするプラリネクリームとカスタードクリームのダブルシュー。
生クリームとカスタードのダブルシュー以外のダブルシュー、初めて食べた。
プラリネって、名前からしてかわいくておいしいよね。
自分の子どもの名前、プラリネにしよ。
(安直)
ごろごろナッツはヘーゼルナッツにかぼちゃの種にアーモンド。
シューもクリームもナッツも香ばしい。
香ばしいからは決して逃れられないスイーツ。
一人で味わっていたら、隣では遺産相続をもぎ取ったって話をしていて、もう片方の隣ではキンパの話をしていて、集中力が途切れそうになった。
・・・
とても絶好調な日だった。
でも全てがうまく行くこと、予定通りに進むことが当たり前だと思わないように、この奇跡みたいな1日にいつまでも感謝しながら生きていきたい。
・・・
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