ラブソングを聴く理由:07
「戻っておいで。」
知らないふりを決め込んでくれた親友に、そっと諭される。
普段は出来るだけ家にいたい私が、毎日呼び出されてもいいように支度をして待っていること。身長の高い彼に少しでも近付きたくて、無理してヒールを履いていること。平日の夜に予定を入れなくなったこと。
これ以上積み重ねたら私が私でなくなる気がした。
貴方の前では、嘘しかつけない。
初めて手を繋いだ日、気付いていたことだった。全身から溢れる好きを見ないふりする彼と同じように、私もまた、彼の言葉に織り込まれ