鳩は水色
ハリボテのビルの中 傘差して歩く
彼女はどしゃ降り
上方へ向かって広がりをみせる天井
あらゆるものが彼女の頭頂部へ
その一点へと集約する
聞き覚えのある声が降ってくるのに
傘は 骨ばかりの役立たず
防げない
でも 何も 妨げない
かつては赤 あるいは青や黄だったか
人々が集まってくる
声と足音が重なり合いひび割れていく
時計の針はすでに一周半と少し
壁に塗りたくった水色のペンキに溺れる
真っ白だった鳩の群れ
剥がれた和紙が踏みしだかれて
ベンチなんかに姿を変える
もみくちゃにされながら彼女は一人
その傘で天井を支えてる
そんな光景がすべて掌に収まるとして
私が得られたものは何
その掌だって骨ばかりで
防げない
でも 何も妨げない
かつては赤 そして青と黄と
鳩が水色ならばその手は
骨ばかりの役立たずは何色
【どうでもいい話】小学四年生くらいから書いていた詩が大学四年生くらいからまったく書けなくなった。そこから約十年間スランプに陥ってしまうのだけど、その間になんとか絞り出したやつ。もう、めちゃめちゃ窮屈そうでしょ。今は、書いていてたのしいからうれしい。
褒められて伸びる子です。 というか、伸びたい。