
優しい君へ
某SNSで数ヶ月の間、メッセージのやり取りをした人がいた
顔を合わせたことはない
互いの好きな短歌を、歌を、本を、言葉を、
交換するだけ
たったそれだけかと思われるかもしれないけど、
とても眩しくて、幸せなやり取りだった
見栄っ張りな私は
優しい彼の考えに追いつこうと背伸びして、
自分の忙しさにかまけて、
言葉を出すのを躊躇って、
疎遠にしてしまった
そして彼は4月に就職してSNSから離れた
あぁもう、私はなんと大馬鹿もの
優しい君
拝啓
桜の花は散り、
緑の瑞々しさが楽しい今日この頃です
おげんきですか?
実は先日BOOK・OFFで
レイチェル・カーソンのセンス・オブ・ワンダーを見つけたんです
あなたがおすすめしてくれたのを思い出して、
思わず買って、読みました
村上春樹は少しずつ読んでおります
私はどうやら、
お互いが学生であることを、
好きなことを考え語り合える相手がいることを、
その相手の時間を、
ひどく軽く見ていたようです
もっとくだらないことを、
飽きるくらいに話せば良かった
私は他人行儀が過ぎました
ホントはもっともっと、おバカなんです
あの詩のような美しさはないけれど
私が使って損ねた言葉は
どうか拾わせてください
願わくばいつか金の真昼に
会いましょう
敬具