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母は私にブスと言わない(9)思い出のライブ
今から10年以上前・・・
母は、高校生の娘を、とあるシンガーソングライターのライブに連れて行く。
そのシンガーソングライターの名は・・・
Fukuyama Masaharu
あの、国民的大スターの福山雅治さまである。
(以下、"ましゃ" と呼ばせていただく。)
母はましゃのファンである。現在もましゃのライブに足繁く通い応援している。しかし娘は、母が「ましゃ」と呼ぶのを聞いたことがない。母はましゃのことを「福山」と呼んでいる。
母「今度、福山のライブがあるから一緒に行かない?」
高校生娘「仕方ないな〜(まあ、何か買ってもらえるかもしれないし、フッフッフ)」
こういう訳で、高校生時代の娘は下心全開で
ましゃライブに初参戦することとなった。
『福山☆冬の大感謝祭』
『福山☆冬の大感謝祭』とは、横浜で行われるましゃの年末恒例ライブである(現在は、年末からお正月にかけて行われている)。
当時の会場であるパシフィコ横浜の最寄り駅は「みなとみらい駅」。駅直結の大型複合施設【クイーンズスクエア横浜】には、期間限定でクリスマスツリーが展示されていたり、買い物などが出来るお店がある為、開場時間まで暇になることなく過ごせた。
また、会場内にはましゃ監修の飲食コーナーや、『福山大明神』なるお参り出来るスポットまである。
ノーパンでの無病息災
エロ恋沙汰の解決に絶大なる効果あり。
※現在は、『福山大明神』から『楠神社』に変わっている。なお、『楠神社』お賽銭の収益は、長崎市(ましゃ出身地)の【クスノキ基金】に全額寄付されているのだそう。
開場時間が来て会場に入ると、母と娘はチケットを確認して自分たちの座席を探した。
会場は東西南北の4つのエリアに分かれていて、
母と娘は南エリアの座席であった。
「南」と聞くと、南国のカラフルな鳥が飛び交う世界をイメージするが、母と娘の座席は外のトイレエリアに繋がる扉がすぐ近くにあることで、冷たい風がヒューっと吹き込む、開演前はなかなかにお寒い席であった。
高校生娘「寒い!もう帰りたい!クルンジャナカッターーーー!!!」
高校生にもなって寒さで徐々に機嫌が悪くなる娘。
連れて来てくれた母に八つ当たり。
母「あと15分くらいで始まるから、もう少し我慢して」
高校生娘「寒い、さむいよーーー・・・(徐々に無言)」
娘の不機嫌さがピークに達したとき、
ついにライブが始まった。
ライブが始まり周りのファンの方々が立ち上がって声援を送る中、座ったまま斜に構えたスタイルで傍観する娘。
そんな全く周りの見えていない無礼すぎる娘であったが、やはり大スター!福山雅治さまの、圧巻のライブパフォーマンスと、思わず笑ってしまう巧妙なトークに魅力される。
そして、母の陰で密かに2度も涙を流した。
娘が涙を流した楽曲とは、幅広い世代に知られている名曲、『家族になろうよ』と、ましゃが初めて自身の両親のことを歌った『誕生日には真白な百合を』である。
■『家族になろうよ』
特に、2番の歌詞が娘の胸に突き刺さった。
"いつも自分のことばかり精一杯で
親孝行なんて出来てないけど
明日のわたしはそれほど変われないとしても
一歩ずつ 与えられる人から
与える人へかわってゆけたなら"
■『誕生日には真白な百合を』
この楽曲はTBS系列 日曜劇場『とんび』の主題歌である。このドラマは、父と子の家族愛が描かれた作品で、その作品の世界観にリンクした歌詞が綴られている。また、17歳の頃にお亡くなりになった、ましゃのお父様に向けた歌であると、ましゃ自身がラジオ番組で語っている。
当時高校生16歳の娘はこの時になって初めて、
自分がどれほど母から与えられてきたのかを身にしみて感じた。
高校生娘「私、もらってばっかじゃん。」
『家族になろうよ』の歌詞の通り、娘はすぐに大きく変わることはなかった。正直なところ、あのライブから10年以上経った今も、それほど変われていないかもしれない。
それでも、常に心のどこかに、
ましゃの楽曲の歌詞、音楽が流れているような気がする。
「親孝行は出来るうちにするのが良いよ。」
以前、娘が職場の上司から言われたことを、
今になって思い出した。
今の自分が親孝行出来ているかというと、それは娘である私にはわからない。ただ、焦らず一歩一歩、目の前の人や出来事と向き合う勇気を出して行けたらと、娘は思うのであった。
あの時ましゃライブに連れて行ってくれた母と、大きな感動と気付きを与えてくれた福山雅治さまに深く深く感謝である。
そして母と娘は今も、2人でましゃ関連の映画を観に行ったり、ライブやイベントに行くなど、仲良く "ましゃ活" を楽しみ続けているのであった。
続く。