当たり前を誇っていい
私は以前、営業職をしていた。
人見知りで内向的で、とうてい営業職には向いていないはずなのに、なぜか営業職を選んでしまった。まぁ、この辺りの話はまた後日書けたらなぁと思う。
向いていないかもという気持ちを抱えながらも、やるからには頑張ろうと一生懸命向き合ってきた。それでも辛いことやしんどいことが何でも乗り越えられるようにはならない。
職場にはいつも助けてくれる先輩がいた。
決して、甘やかす訳ではなく、良きタイミングで良き塩梅でさりげなく助けてくれる。業務面で助けてくれることもあるし、精神面で助けてくれることもある。私が出会った中で一番と言えるくらい尊敬できる人だと思う。
当時の職場では月に1回、「業務改善報告」というものがあった。その月に、業務の効率化や整理整頓、利便性を向上させるなど、より良くしたこと・工夫したことを報告するのだ。自分のためにしたことでもいいし、一緒に働く仲間のためのものでもいい。
ただ、この「業務改善報告」という名前がなにか大仰な雰囲気を醸し出していて、しょうもないことは書けないような気持ちにさせる。ネタに困ってきた私は先ほどの先輩に聞いてみた。
「どんなことを書いてますか?同じような内容を毎月書いているような気がしていて…」
先輩は「そうだよね~。僕も5つくらいのネタを言い方変えながらループしてるよ」と笑って言った。それから、
と話してくれた。
ハッとした。そうか、そういう考え方ができるのか、とすとんと腑に落ちた。「自分の当たり前は他人の特別」素敵な考え方だ。
得意をなかなか見つけられない私でも自信が湧いてくる。
こういうところだ。変に励まそうとか良いこと言おうとか、そういうことは考えず、ただ寄り添った言葉をくれる。
いつもそう、否定せず受け止め、的確な、でも不快さを与えない言葉選び。
これは先輩の当たり前。でも私の特別。
きっと、先輩は気付いてないんだろうな。