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NFTの法律関係についてのまとめ

2021/10/20に発売された、NFTの教科書

「教科書」というだけあって、NFTのあらゆる分野を解説してくれていて、今、NFTに関わられている方にはぜひ読んでもらいたい書籍となっています。

その中でも一読だと自分の理解が追いつかなかった、第2章の「NFTの法律と会計」について。
自分でまとめ直してみることで理解を深めつつ、皆さんにも知ってもらえるといいなぁという思いで記事にしてみました。

その第1弾として、「NFTの法律関係」について、NFTの中でもNFTアートについて、まとめていきます。

『NFTの教科書』内では「アートNFT」と「NFTアート」と使い分けてありましたが、この記事内では「トークン」と「作品」と使い分けることとします。
※「NFTアート」と表現している時は「トークン」と「作品」のセットのことを意味しています。


「所有権」について

2021年11月現在だと、だいぶ浸透してきている感じはありますが、過去の情報だと、

NFTアートはその作品の所有権を証明してくれるものだ!

といった内容が書かれているものも多いですが、少なくとも日本の法律では全くそんなことありません。

というのも、所有権については民法で定められているのですが、

第85条(定義)
この法律において「物」とは、有体物をいう。

とあり、デジタルのような『形を持たないもの(=無形物)』には所有権が存在しません。

なので、トークンが作品の所有権を証明してくれるものとはなり得ないのです。(なぜならデジタル作品には所有権が存在しないからです)

ただし、法律とは関係なく、所有感は少なからず存在しているため、その所有感を得るためにNFTアートを購入している人も多くいると思われます。

NFTアートの「所有」については、法的な話なのか、感覚的な話なのかをはっきりさせた上で話した方がよさそうです。


「著作権」について

2021年11月現在のNFTアートでは、作品の著作権は基本的にクリエイターが保持したままになっている場合が多いです。

ただし、トークンの取引によって著作権を移転すること自体は法的に実現可能となっています。
実現可能なだけで、現実的な方法ではありませんが・・・

というのも、著作権の移転する方法を限定する(つまり、トークンによってのみ著作権が移転できると縛る)ことができないからです。

なので、何かしらの特典のようなものを与えるために、著作権自体を移転するのではなく、著作権に基づく一定の許諾をトークン保有者に与えるという方式が取られることがあります。

ただ、この方式でも懸念点があります。
例えば、著作権を保持しているクリエイターAがNFTアートの購入者であるBに著作権に基づく一定の許諾(=利用権と書きます)を与えたとします。

その後、Aが第三者であるCに著作権を移転させた場合、Cに著作権が移る前にBは利用権を得ているため、Cに著作権が移った後でもその利用権は有効となるのですが、Cに著作権が移った後に、Bがさらなる第三者であるDに二次販売をした場合、Dはその利用権を得ることができません。
これはBにとって二次販売しづらくなる要素となってしまう、という問題にもなります。

また、売り手と買い手で契約を結んでいるのであれば問題ありませんが、多くの場合はOpenSeaなどのプラットフォームでのやり取りであり、その場合は利用規約によって定められることになります。

ただ、トークンが他のプラットフォームでも販売できるタイプの場合などは、その利用規約がどこまでカバーしているのかにも影響されるため、いろいろと考えないといけないことは多い現状です。


ということで

まだ法律が現状に追いついていないため、「NFTはこういう扱いである」ということが明確に定義はされていないのが現状ですが、「デジタルデータに所有権は存在しない」など、これだけは間違いないという情報も存在しています。

自己責任の世界ではあるとはいえ、いろんな情報が錯綜している状況では誤った情報を信じてしまうこともあると思います。

信頼できる人(必ずしもフォロワーが多い人とは限らない)からの情報や、一人だけでなく複数からの情報を踏まえた上で、自分なりの認識をアップデートしていくことが大事だと思います。

この記事がそんな中の1つの情報源となれれば幸いです。

次回は「NFTと金融規制」についての記事となります。





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