10秒の壁〜思い込みの力〜
小学校の頃の陸上記録会は100メートル走の選手だった気がする半澤光希です。
東京オリンピックの開催がどうなるかわからなくなっている今日この頃ではありますが、陸上競技と言えば100メートル競争ですね。
これまでにしてきたとんでもない努力量の結果がわずか10秒程度で決するという超短期決戦です。
だからこそ、そこにドラマがありますし、魅力があるのではないでしょうか。
陸上競技男子100メートル競走の歴史の中で、いつも話題に上がってきたのが「10秒の壁」の話です。
今回はその「10秒の壁」について書きながら、思い込みの力について書います。
日本における10秒の壁
「9秒98」
まだ記憶に新しいですが、2017年にその記念すべき瞬間は訪れました。
日本学生陸上競技対校選手権大会で桐生祥秀選手が9秒98の記録を叩き出し、日本人として初めて「10秒の壁」を破る選手となりました。
ここに至るまでには長い道のりがあり、
1998年のバンコクアジア大会準決勝で10秒00を記録した伊東浩司選手から実に19年です。
その間、10秒00の日本記録が破られることが期待され続けましたが、「10秒の壁」は日本人にとって高い壁であり続けました。
この桐生選手の「10秒の壁」をぶち破ったことにより、その後の2019年にはサニブラウン選手、小池選手が9秒台を記録するなど、次々と「10秒の壁」を乗り越える選手が出てきています。
世界における10秒の壁
世界に目を向けてみると、
1960年に西ドイツのアルミン・ハリーによって「10秒00」記録されます。
そこから実に23年後の1983年に「9秒97」を記録したカール・ルイスが、世界で初めて平地において「10秒の壁」を破った選手となります。
(※この間、高地記録で10秒を切った選手は存在します。
高地では気圧が減少するため、大気からの抵抗が減るため、良い記録が出やすいです。)
その後、1980年代に多くの選手が10秒の壁を破り、1991年の世界陸上男子100メートル決勝では、6人の選手が9秒台の自己新記録出すに至ります。
まとめ
もちろん10秒の壁が破られた背景には、いくつもの要因があると思います。
・選手自身のとんでもない努力の積み重ね
・シューズやウェアの進化
・食事管理
・さまざまなデータの取得やフォームの分析
・トレーニングの改良
ただ、世界においても日本においても、一度破られた後には立て続けに記録が続いているのは「思い込みの力」が大きいと思います。
当時、9秒台は人間の体の構造上、不可能であると話す学者もいました。
日本でも日本人には構造的に10秒の壁や破れないといった話が出たこともあったと思います。
世界においてはそれを打ち破ったのがカール・ルイスだったのだと思います。
「10秒の壁」と同時に多くの人にあった思い込みによる限界の概念をぶち壊しました。
「10秒の壁」は破ることができるという前提と、前述の各選手の努力によって次々の9秒台を達成する選手が続出しました。
そして、これは陸上界に限った話ではないと思います。
同じ物事を同じ努力量で取り組んでいたとしても
「構造的に無理だ」
「自分には難しい」
と思って取り組むのか、
「自分にもできるはずだ」
「努力したら絶対に形になる」
と思って取り組むのでは大きく結果が変わってくると思います。
経営のレジェンドである稲盛和夫さんは
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
であると説いています。
熱意や能力ももちろん大事ですが、考え方はマイナスまであり、考え方次第で人生や仕事の結果は180度変わると。
どの分野においても、どういう前提や考え方でいるのかはとても大事だと思います。
「10秒の壁」の事例から、「自分にもできる」と考えて取り組むことのパワフルさを学びました。
新たなチャレンジほど、不安になったり、どうかなと思いがちですが、そんな時こそ考え方を大切に毎日チャレンジしていきます。
お読みいただきありがとうございます。