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『辰𠮷𠀋一郎』に憧れて Vol.1
14才の野球少年が夢を見つけた日
これは『辰𠮷𠀋一郎』に憧れてボクシングを始めた、名もなき元ボクサーの物語です。
中学3年の秋、僕はテレビの中で輝くヒーローに出会った。
今から30年以上も前、当時14才のさえない野球少年だった。
小学生の時はソフトボール、中学では野球部に所属していた。3年生でレギュラーになったけれど、身体が小さくパワーも無く目立たない選手だった僕は、いつも自信が持てずにいました…
でも、今日は野球の話ではありません。辰𠮷さんの話をさせて下さい。
ボクシングの世界に引き込まれた日
それは、1991年9月19日だった。
何気なしに見ていたTVで放送していたのは、ボクシングの試合でした。
WBC世界バンタム級タイトルマッチ
アメリカ人のチャンピオンに、日本人の挑戦者が挑んだタイトルマッチ。
そこに映っていた胸板の厚い、パーマ頭の挑戦者。気づけばそのボクサーの姿に、目を奪われていました。
このボクサーだけが無重力じゃないのか?と思えるほど軽やかなフットワークで、相手のパンチを『ヒュイヒュイ』とかわし、正確なパンチを打ち込んでいく姿は圧倒的でした。
もう、その動きに心を奪われてしまった。
そしてその姿は、自信が持てない中学生にはとても輝いて見えた。
自分もこんな風になりたいと、強く思わずにはいられなかった。
試合は挑戦者の連打が炸裂。彼のパンチが次々にチャンピオンを捉え、観客の歓声が止まらない。
チャンピオンはもうグロッキー状態に…
ラウンド終了のゴングが鳴っているが、歓声でレフェリーの耳にそれは届かない。数秒が過ぎたところで、レフェリーがやっと気付いてラウンド終了。
そして次のラウンド、チャンピオンはマウスピースを口に入れる事を拒否した。試合開始に応じなかった。
新チャンピオン誕生の瞬間だった。
プロ8戦目、当時国内最速での世界奪取の瞬間を運良くテレビで観ることができたのだった。
日本中が湧いた瞬間だと思えてしまうほど
凄かった。と、その当時感じたと記憶している。
それまでは高校に進学したら当たり前の様に野球部に入部するつもりでいたが、その日からボクシングをやりたくなっている自分がそこにいた。
そして自分に自信が持てる男になりたいと、強く思った。
身体が小さく、自信を持てない自分を変える為に…
その年の春に中学を卒業して高校生になった私のボクサー人生が、緩やかに動き始めていったのです。
これがボクシングを始めたきっかけでした。
『ボクサー辰𠮷𠀋一郎』
わたしのボクシングの原点である。
最後まで読んでいただき有難うございました。
次回は「ボクサーとしての第一歩」についてお話しようと思います。
また読んで頂けたら嬉しいです。
それではまた
これはノンフィクションに限りなく近い、フィクションになっています。
もう30年以上も前の話で当時の記憶はところどころぼやけているが、テレビ画面越しに見た『ボクサー辰𠮷𠀋一郎』さんの姿は今でも胸に焼き付いています。