なぜ「仁王立ちのイカつい男」は「美女」にモテるのか、非モテの僕が悟った話
神戸から大阪に向かうために電車に乗ろうとした時だ。
僕は5両目が停まる位置の先頭に立っていた。後ろにはサラリーマンを中心に10人程度の縦列ができている。
「まもなく1番線に新大阪行き電車が参ります。危険ですので白線の内側でお待ちください」
ほどなくして電車がやってきた。
だんだんとスローダウンしていく。
徐々に徐々に電車の中の様子が分かり始める。
お、今日はガラガラだな。
ひどく疲れていたのでまずは座れることに安心した。
ゆっくり、ゆっくり。
僕が乗り込む車両のドアがいよいよ目の前にやってきた。
そして電車が停止した
あっ、、、
啞然とした。
ドアの向こう側に、仁王立ちするイカつい男がみえる。しかもポジションはど真ん中。
ドアの上のヘリの少し出っ張ったシルバーの凸部に親指と小指を除いた三本の指を引っかけているのだろう。
こちらから見ると黒のタンクトップを着た男が両手をバンザイしている奇妙な絵であり、ワキ毛丸見え具合がその奇妙さをさらに助長していた。
「おい、俺は絶対に動かないからな?」的なオーラをビンビンと発している。絶対に体勢的には辛いし指三本にかなりの負担がかかっているはずなのに、できる限りその姿勢を維持しようとしているのだ。
決して満員電車で押し出された挙句、そこにポジショニングしているわけではない。
実際に車内はガラガラ。イカつい男の後ろはガッツリとスペースがあいていた。
つまりこの男。
自ら選んでそこに仁王立ちしていたのだ。
「あ、これヤベえ奴だわ。」
僕の危機管理センサーが反応した。
しかし…だ。
僕にもプライドがある。今更、別車両に移動することはできない。
ここで移動したら後ろに並んでいる10人の乗客が
「こいつ仁王立ちのイカつい男にビビって逃げよったね。」
とチキンを認定してくるだろう。
チキンであることは認めるが、わざわざ見知らぬ人にまで不必要にそう思われるのは嫌だ。
まぁ、降りるさ。降りるよね。
絶対に降りる。
……降りろ!
念じた。
いや、降りないにしても通り道くらいはつくってくれるだろう。
僕は、その「道」を何事もなかったかのように悠然と通り抜ければ問題ない。
そんなことを考えてキョドっているとドアが開いた。
「ん?あれ?どうすんの?」
縦列の先頭に立つ僕とイカつい男。
チワワと土佐犬の睨み合いだ。
一瞬の静寂が訪れる。
…………
………、、、
( ̄▽ ̄;)!!
こいつ降りない ……_| ̄|○
まじかよ。
動かざること山の如し。
威風堂々と言うべきかもしれない。
イカつい男はドアが開いても一歩も動かなかった。
いやいや、ちょっとそれはないぜ。
ドア付近をキープしたい気持ちはわからなくもないが、ただその場合、ドアが開いたら1度通り道を開けることが最低限のマナーだろう。
先頭に立つ僕。道がふさがっている。
後ろからの「早く乗り込め」のプレッシャーもある。
さぁ、どうする……
猪木の声が聞こえた気がした。
「この道を行けばどうなるものか 危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし
踏み出せばその一足が道となり その一足が道となる 迷わず行けよ 行けばわかるさ」
僕の心に闘魂が宿った。
既に 「扉の番人」と化したイカつい男に
僕は通り抜け際に
「どけよ!」
と叫んだ。
そう、心の中で。
声としては、ハッキリと相手に伝わるように「すみません」と言って、イカつい男の両手ばんざいのわき毛の下をペコリと首を垂らしてクグりぬけた。
「長い物には巻かれろ」
これは、暴力から逃げまとって常に距離を置いて生きてきた僕の「人生哲学」である。
これまで何度も中学時代に田舎のヤンキーに絡まれてきたが、ごめんなさいで済むものは容赦なくサッサと「ごめんなさい」をブッ放してきたし、その際に自分の世界観を相手に知らしめたいという気持ちなんて一切ない。
その結果、一度たりとも重傷を負わずにここまでこれたことは「誇り」以外の何物でもないのだ。
ヤバい相手にはさっさと謝ればいいのだ。
電車に入り、しっかりと相手の視界に入らない安全地帯に自分の身を置いてから、イカつい男を凝視してみた。
特筆すべきはそのイカつい男が、僕が他人にその風貌を伝えるために絵で表現する必要もないくらい「まんまのそれ」である。年齢は40~50歳。髪は短髪で、浅黒い肌に筋肉質なガタイ。金のネックレスにゴツいギラギラ時計。
そして隣には対照的に30代前半かな。
清楚系の超絶美女が寄り添っていた。二人の話している自然な感じをみる限りビジネスで成り立っているような関係には見えない。
まわりくどい言い方して申し訳ない。
つまりは超絶美女はイカつい男の「女」なのだ。
こんな常識がない態度を平気でするイカつい男に惚れた「女」なのだ。まさにテンプレ通りの「ワル」と「かたぎの女」すぎて、はっきり言ってワンセットで怖い。
ただ、それにしてもあまりにも美人である。
ついには僕の凝視の対象がイカつい男から絶世の美女に変更されてしまった。これはどうしようもない。男は美人がいるとチラ見してしまう生き物である。
マスクごしでも分かる。
あれ?ちょっと笑った感じが深キョンっぽいよね?
いや、そのふてくされた感じ。ガッキーにも見えるね。
とか思いながら、時々チラチラと見ては見ていないフリをしていた。確実に僕と同じ座席の両サイドに座っていたオッサンと高校生もチラチラ見ていた。定期的に見ては「いや別に見てねえし」。
これを繰り返す三人。
すると僕ら三人衆の熱視線を感じたのか、こっちをパッと見てきた。
やべ!視線が合ってしまう。
しかし僕のようなチラ見のベテランになってくると、この辺の危機管理能力は優れている。目が合いそうになるとそれを鍛え抜いた動体視力で察知して、さっと「首の凝りが痛いわぁ」みたいな仕草をしてごまかして、「いや首が痛いだけで、別に見てねえし」を無言で主張する。
右隣のオッサンは急に目をこすりだした。左隣の高校生はスマホに目をやった。
こいつらもなかなかのベテランである。
話した事もない3人の男の中に、突如としてごまかすための確かな戦友の仲間意識が芽生えた。
まさに生死を掛けた攻防戦における戦友である。
チラチラ女性を見ていることがバレたらイカつい男がチラ見三人衆をブン殴ってくるかもしれない。そんな圧力に屈しながらも必死にチラ見を繰り返す3人の男。
この絶対に負けられない闘いを電車内で繰り広げたのである。
この記事はなんとここからが本題である。
しかし全文を作成してあまりにも長かったので今日は一旦ここで終了する笑
ここまでで何が言いたかったのかと言うと、なんで「イカつい男」と「モデル系の美女」はいつもセットなんだ?「ワル」は何でいつの時代もこんなにモテるのかということだ笑
「かわいいは作れる」
というCMがあったが、同様に「かっこいい」も作れるのだ。そして「モテ」へとつながるのだ。その僕が編み出した秘密技を次回披露することにしよう。
【次回へ続く】
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