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補聴器を買うときに気を付けること

みなさん、補聴器っていくらぐらいで買えると思います?

2万円?
5万円?
10万円?
20万円?

よく受ける質問で、「補聴器と集音器は何が違いますか?」とか、「補聴器って通販で買って大丈夫ですか?」があります。

補聴器というものというより、耳の聞こえ方や音という存在について多くの方はご存じないので、簡単に考えていらっしゃるのかもしれません。

たしかに補聴器に限らず、身の回りにある様々なプロダクトの特徴や機能の違い、性能の違いなどは供給している者以外の方には分かりにくいものなのかもしれません。

例えば、靴でもそうです。そういえば、2020年の箱根駅伝でナイキの厚底シューズなんていうのが話題になっていましたよね。

靴をファッションのひとつとして選んで買っているひとが、多いかもしれません。でも、足に合ったサイズを選ぶとか、靴ひもの結び方とか靴底の素材とか、用途や歩き方によってしっかりと選ばないといけなかったりするそうです。

それをするには、足に関する基礎知識と靴合わせの技能を習得する必要が
あるそうで、それをシューフィッターという方が対応してくれるようです。
http://fha.gr.jp/shoe

補聴器は医療機器

そもそも、医療機器とは何でしょう?
医療機器を規制している法律「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(略称;薬機法)」では、以下のとおりに定義されてます。

人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であって、政令で定めるものをいう。  (薬機法第2条第4項から)

法律用語なので分かりにくいですが、要は疾病等で不便になったところを治療したり補ったりする目的の機器でありますよ~ってことなのですが、その前文として構造、使用方法、効果又は性能が規格に基づいて担保されていることが示されています。

つまり、使用して安心できるものであることが大前提で設計された機器、それが医療機器です。

上でも記しましたが補聴器は医療機器です。では、集音器は医療機器か?

集音器は医療機器ではありません。医療機器ではありませんので、構造、使用方法、効果又は性能が規格に基づいて担保されていないということになります。

だからと言って、粗悪品でひと様を陥れるために販売されているというわけではないので、その点は誤解なく。

医療機器と医療機器ではないものの違いは、端的に言うと、自己責任で購入して使用するのか、専門知識を持った者にしっかり対応してもらって購入し使用するのか、になります。

靴の場合のシューフィッターと同じように補聴器を販売する者に対しても認定補聴器技能者(以下、技能者とします)というものがあります。

認定補聴器技能者とは
補聴器の販売や調整などに携わる人に対し、財団法人テクノエイド協会が、厳しい条件のもと、基準以上の知識や技能を持つことを認定して付与する資格です。 (http://www.npo-jhita.org/public/index.html 参照ください)

前置きが長くなってしまいましたが、つまり、補聴器は医療機器であるため専門の知識を持った者に対応してもらうことは大前提です。で、ここからが本題です。

何を基準に補聴器を選ぶのか

最初に、「補聴器っていくらぐらいで買えると思います?」と質問しました。正式なデータは公表されていませんが、平均したおおよその金額は1台15万円だと推計されてます。耳は左右に2つありますので、両耳に着ける場合は30万円となります。

2020年4月現在ですが、一番高い補聴器は両耳で1,356,500円するものもあります。

高いですよね。

こんな高価なものを買うのですから、失敗したくないですよね。

でも、何に気を付けたらいいのか分からないですよね。

巷にはいくつかの補聴器選びに関する冊子があります。「よくわかる補聴器選び」とか「間違いだらけの補聴器選び」などを参考にしてみるのもいいかもしれません。

補聴器選びに関して、「しっかり試してから買いましょう」とよく言われますが、試して何を基準にすればいいのかという点には触れられていないような気がします。

また、補聴器を買うときに技能者の方とお話をする、いわゆるカウンセリングをするのですが、その際に「いつから聞こえにくくなりましたか?」とか「以前に耳のご病気をされたことはありますか?」とかを聞かれることがあります。

聞こえの具合を把握するために過去の情報というのも必要な確認事項なのですが、もっと重要なことは、「どの場面で」「どの音声が」聞こえずに困っていて、補聴器をつけて「どうなりたいのか?」という現状(現在)と結果(未来)を相談されるご本人と技能者の間で共有しておく方が大切です。

なぜなら、補聴器を購入するのは、補聴器という機械が欲しいからではなく、補聴器を使ってより良い聞えを実現し、より良い生活を営みたいという要望をかなえるための手段なのです。

なので、”現状” と ”結果” はとても大事です。

現状 : その時点の耳の聞こえを正確に知る(聴力検査
     過去記事参照ください
結果 : 補聴器をつけたときの聞こえを正確に知る(装用効果測定

聴力検査(補聴器の販売店では、聴力測定といいます)と装用効果測定について、しっかり説明してくれるお店を選ぶこと。

お店選びができたら、補聴器をつけたときの何となくの感覚だけでなく、ちゃんとデータをもって効果が確認できる機種を買い求められることをお勧めします。決して、「通常この価格が、今ならこのお値段!」というセールストークだけに惑わされないようにしてください。

もちろん、安く買うことができればそれにこしたことはないですが。

なんでも疑問点は質問して、クリアにしましょう!

補聴器選びに精通している方がほとんどいません。つまり、だれもが知らないことだらけということです。

なので、もし、しっくりこなかったり分かりにくいことがあれば、なんでも質問しましょう。

日本人は勤勉であることを美徳としていて、知らないことを恥ずかしいこととしている部分があります。なので、知らないことを隠しがちな方が多いような印象があります。

”聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥”

昔のことわざにもあります。しっかり質問して、分からない点をクリアにしてから予算にあった補聴器を買ってしっかり使いましょう!

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