<主張>教科書にLGBT 男女否定の授業にするな社説2024/3/24 05:00.LGBTに関する記述が増加 学習指導要領範囲外の「性の多様性」教科を横断中学教科書検定2024/3/22 14:46.<主張>日米2プラス2 核抑止強化の具体策示せ社説2024/7/30 05:00.<主張>佐渡金山遺産登録 朝鮮出身者の展示不要だ社説2024/7/28 05:00PDF魚拓


文部科学省の検定に合格し、令和7年度から使われる中学校の教科書で、LGBTなど性的少数者についての記述が増加することになった。

保健体育では、性的少数者に関連し「性自認」「性的指向」など学習指導要領の範囲外の内容が「発展的内容」として全ての教科書に掲載される。英語や社会科地理などの教科書にも関連した内容が入る。

性的少数者への差別をなくす教育は必要としても、男女の性差を否定するような行き過ぎた指導で、思春期の子供たちを混乱させてはならない。

検定結果によると、保健体育では「人間の性は単純に『男性』と『女性』に分けられるものではありません」などの説明とともに、合格した全3点の教科書が「性の多様性」について踏み込んだ内容を記述した。

性教育とは関係の薄い地理でも「性的少数者に配慮した社会へ」として、同性婚を法制化したニュージーランドなどの事例を好意的に紹介するコラムを掲載した教科書がある。社会科公民では性別に関係なく使える「だれでもトイレ」を写真付きで取り上げる例もあった。

昨年6月に成立した性的少数者に対する理解増進法が教科書にも影響した格好だが、同法には反対意見も多く、性は自分で決められるといった「性自認」の概念は大人にも分かりにくい。教師は指導できるのか。

中学生は生殖機能が発達する思春期で、異性への関心が高まる時期だ。男女の身体的な特徴などを理解させることが重要であり、その前に「性の多様性」などと教えても生徒は戸惑う。男女の性差など違いを知り、互いに認め合う教育が必要だ。

教師用の学習指導要領解説には、性に関する指導は「発達の段階を踏まえること、学校全体で共通理解を図ること、保護者の理解を得ることなどに配慮することが大切である」と明記されている。この原則を守るべきだ。生徒に行き過ぎた指導を押し付けてはならない。

教科書は流行を追うものではない。伝統的家族の役割、日本の国柄などについてもしっかり教えてもらいたい。

例年検定結果が注目される社会科では日本の領土に関する記述が一層充実した。教師自身が歴史経緯などを深く理解しているか、指導力が問われる。

LGBTに関する記述が増加 中学教科書検定

性自認、身体的性別と同列記述の教科書も

<主張>教科書にLGBT 男女否定の授業にするな

社説

2024/3/24 05:00


文部科学省は22日、令和7年度から中学校で使われる教科書の検定結果を公表した。LGBTなど性的マイノリティーについての記述が増加。社会科地理など現行本には記載がない教科にも登場し、教科横断的なテーマとして扱われるようになった。保健体育は学習指導要領で定められた教育内容の範囲外だが、全ての教科書が「発展的な内容」として掲載した。

現行の学習指導要領に沿った中学校教科書の検定は元年度に続く2回目となり、10教科100点が合格した。技術・家庭(技術分野)でイスペットの1点が不合格となった。社会科歴史で2点が「具体的な検定内容が漏れていた」ことを理由に結果が「未了」となり、検定が継続される。

性的マイノリティーに関する記述の増加について、文科省教科書課は「理解増進法が制定されるなど社会の広い分野で取り上げられていることが影響したのではないか」と推測する。

性の多様性にとどまらず、男女差別や男女共同参画といったジェンダー(性差)に関する記述が全般的に充実した。

一方、領土問題を巡っては、合格した社会科の公民と地理の全ての教科書が北方領土、竹島(島根県隠岐の島町)、尖閣諸島(沖縄県石垣市)が日本の「固有の領土」であることを明記した。

社会科歴史では、山川出版社と学び舎が慰安婦問題を取り上げた。山川出版社は「戦地に設けられた『慰安施設』には、日本・朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた」と記述。学び舎は「慰安婦」の文言が使われた平成5年の河野洋平官房長官談話を引用するなどした。

令和4年の安倍晋三元首相銃撃事件は、社会科の歴史と公民で自由社と育鵬社が記述。「検定後の訂正申請で増える可能性がある」(文科省)。動画や音声などにアクセスできる「QRコード」(2次元コード)も大半の教科書に掲載された。

水原一平・元通訳取り上げた教科書も 中学教科書検定

LGBTに関する記述が増加 学習指導要領範囲外の「性の多様性」教科を横断

中学教科書検定

2024/3/22 14:46


中学校で令和7年度から使われる教育出版の教科書で、米大リーグの大谷翔平選手を支えてきた水原一平・元通訳の活躍が紹介される予定だったことが22日分かった。教科書は文部科学省の検定に合格したが、急遽(きゅうきょ)内容の差し替えが必要となり編集担当者らが対応に追われた。

掲載を予定していたのは3年生向けの英語教科書。アスリートをサポートする夢を抱く生徒と教員の会話文で、大谷選手がチームに溶け込めるように手助けした水原元通訳の活躍を紹介した。

大谷選手は多くの教科書に登場するが、水原元通訳に焦点を当てたのは教育出版のみ。担当者は「報道されている内容が事実だとすれば、内容の差し替えも含めて検討せざるを得ない」とし「他社とは違った視点で取り上げたと自負していただけに残念だ」と述べた。

検定合格後に内容の変更を申し出る訂正申請が想定される。文科省教科書課の担当者は「こうした不祥事で訂正申請が行われた例はあまり聞いたことがない」と話した。

水原元通訳は大谷選手の専属通訳を務めていたが、21日に米大リーグのドジャーズが解雇を発表。理由は明らかにされなかったが、複数の米メディアは水原元通訳が違法賭博に関与していた疑いを報じている。

LGBTに関する記述が増加 中学教科書検定

水原一平元通訳を米の国税当局が捜査

水原一平・元通訳取り上げた教科書も 「差し替え検討」出版社対応に追われる

中学校教科書検定

2024/3/22 14:49


日米両政府が都内で外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)と、米国の核戦力などで日本を防衛する「拡大抑止」に関する初の閣僚会合を開いた。

これらの会合は、4月の日米首脳会談で、同盟が地域の安保情勢の重要な変化に対応できるようにすると合意したことを受けて開かれた。同盟の抑止力、対処力を向上させ台湾有事などの戦争を防ごうというもので評価できる。

2プラス2は、基地の管理機能を専ら担ってきた在日米軍司令部を、作戦指揮権を持つ「統合軍司令部」へ再編成する方針を確認した。共同文書は中国外交について「他者を犠牲にし、自らの利益のために国際秩序をつくり変えようとしている」と厳しく指摘した。

拡大抑止の閣僚会合は、中国の核戦力強化などが地域の安保環境を悪化させているという認識で一致し、拡大抑止強化を探求することで合意した。

拡大抑止の中心は核抑止である。自衛隊が非核の通常戦力を増やしても、核抑止が担保されていなければ役割を十分に果たすことは難しい。

これまで高官級だった日米の拡大抑止協議に、閣僚級の会合を加えたことは、中国、北朝鮮、ロシアという核保有国に日米の結束を示す効果がある。

ただし、核抑止をどのように強化していくかという具体論を示さなかったのは残念だ。

中国は核戦力を急速に増強している。北朝鮮は核の運搬手段であるミサイル戦力の強化に走っている。ウクライナを侵略するロシアはしばしば核恫喝(どうかつ)をしている。日本に脅威を及ぼす専制諸国家の核戦力が増強されているのに、日米は会議を開いているだけ、では心もとない。

日本が再び核攻撃されないことが何より重要だ。それは核廃絶を叫ぶだけでは実現しない。日米が合意したエスカレーション管理に加え、日本や近隣地域へ米国の核戦力を配置する必要はないのか。非核三原則見直しの議論も求められる。

在日米軍の「統合軍司令部」新設は、日本が今年度末に陸海空自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」を置くことに対応するものだ。日本は独立国であり、自衛隊と米軍は独立した指揮系統で運用しつつ、連携を図ることが重要である。

<主張>日米2プラス2 核抑止強化の具体策示せ

社説

2024/7/30 05:00


インドのニューデリーで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会で、新潟県の「佐渡島の金山」が、世界遺産に登録されることが決まった。

佐渡金山は独自の採鉱・精錬技術で発展した貴重な鉱山遺跡だ。江戸時代の17世紀には世界最大級の金の産出量を誇った。その価値が、世界に広く認められる意義は大きい。

だが、登録決定にあたり、禍根を残すような取り決めがあった点を指摘しないわけにはいかない。韓国の意向を受け入れる形で、戦時中の朝鮮半島出身者に関する展示を行うことにしたからだ。

韓国はこれまで、佐渡金山で朝鮮半島出身者が強制労働させられたという、事実に反する主張で登録に反発してきた。

このため日本政府は韓国と協議し、「朝鮮半島出身者を含む労働者の戦時中の過酷な労働環境」などの解説をパネル展示することで合意した。史実を伝えるべき文化遺産に、政治が持ち込まれたということだ。

世界遺産委員会での登録決定の際、日本政府代表は「韓国と緊密に協議しながら展示戦略および施設を強化すべく引き続き努力する」とも表明した。佐渡金山の展示に韓国を関与させるということか。そうであるなら絶対に受け入れられない。

佐渡金山の朝鮮半島出身者は募集や徴用などによるもので、給与も支払われていた。日本政府は令和3年に「強制労働には該当しない」との答弁書を閣議決定している。

政府関係者は今回、「日本政府の従来の立場を変えるものではない」としているが、日本が世界遺産に推薦した佐渡金山の文化的価値は江戸時代までだ。戦時中の事柄に関する展示は、そもそも不要だろう。

平成27年に長崎市の端島(はしま)炭坑(通称・軍艦島)など「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に決まった際も、朝鮮半島出身者が強制労働させられたと不当に主張する韓国に配慮し、日本政府は情報センターの設置を決めた。

しかもその後、展示内容が不十分とする韓国の要請に基づき、ユネスコが日本に対し「強い遺憾」を決議表明する事態になった。

この失態を、繰り返してはならない。

<主張>佐渡金山遺産登録 朝鮮出身者の展示不要だ

社説

2024/7/28 05:00