プーチン氏、記者会見で「民主主義といえるのか」と問う米記者に色をなして反論2024/3/18 10:23..弾圧、ばらまき、投票動員…プーチン氏「歴史的勝利」の裏に数々の作為 ロシア大統領選2024/3/18 08:44.「大東亜戦争」削除問題、「慰霊が重要」というなら英霊が戦った呼称を使うべきだ葛城奈海等産経新聞PDF魚拓



「国民が権力の源泉だ。皆さん、ありがとう」。約87%の驚異的得票率で17日開票のロシア大統領選を制したプーチン大統領は同日深夜、大統領府に近いモスクワ中心部の選挙対策本部に姿を見せ、昨年末から活動したメンバーに謝意を示した。

日付をまたいだ記者会見では、侵攻反対を公言したナデジディン元下院議員が選挙から排除されたことなどについて米メディアの記者から「民主主義といえるのか」と質問され、「われわれの選挙は民主的だ」と断言。トランプ前米大統領の法廷闘争を念頭に「米国では大統領選の候補者に司法の力を使って政権が圧力をかけている。お笑いぐさで、米国の恥だ」と色をなして反論した。(共同)

弾圧、ばらまき、投票動員…プーチン氏「歴史的勝利」の裏に数々の作為

レーニン憎むプーチン氏 遠藤良介

https://www.sankei.com/article/20240318-MNZCEHCJGRIWVB4CTWKXE4JUEE/
プーチン氏、記者会見で「民主主義といえるのか」と問う米記者に色をなして反論

2024/3/18 10:23



来年の1月21日でロシア革命(1917年)を指導したソ連の祖、レーニンの死去から100年になる。そのレーニンをプーチン露大統領は憎んでいるといえば意外だろうか。

プーチン氏は91年のソ連崩壊を「20世紀最大の地政学的悲劇」と称してきたことで知られる。しかし、レーニンのことは嫌悪し、続く独裁者のスターリンを高く評価しているのだ。

今月14日にモスクワで行われた記者会見と対話行事でも、プーチン氏は侵略するウクライナ南部・東部に触れた中で述べていた。

「レーニンはかつてソ連形成の際に全てをウクライナに与えてしまった。…しかし、南部・東部は親露地域であり、私たちには大事なのだ」。プーチン氏はこう語り、まだ占領していないオデッサなど他の黒海沿岸地域にも触手を伸ばす構えを見せた。

プーチン氏はこれまでも痛烈にレーニンを批判してきた。

2021年7月にプーチン氏が発表した論文「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」では、レーニン率いるボリシェビキによって「ロシアは強奪された」と断じた。

「今日のウクライナは完全にソ連時代の産物だ。それはかなりの程度、歴史的なロシア(の領土)によってつくられた」

今日のウクライナ領は18世紀末、ポーランド分割や露土戦争を受けて約8割がロシア帝国の支配下に入った。中でもプーチン氏は、敬愛するエカテリーナ2世が露土戦争で獲得し、ノボロシア(新ロシア)という行政区画を置いた黒海沿岸地域に思い入れを持つ。

ロシア革命後、これらの地域を含む形でソ連内のウクライナ共和国が設けられ、ソ連崩壊によって独立を果たした。プーチン氏はこれを許せない。ウクライナはボリシェビキによって作られた人為的な枠組みであり、存在理由がないというのが彼の主張だ。

ソ連の草創期、レーニンと民族問題担当の人民委員(閣僚)だったスターリンが「国家(連邦)の形態」をめぐる論争をし、各民族共和国に連邦から「離脱する権利」を与えるレーニン案が通った。

レーニンは当時、各地での民族主義の高まりを目にし、それに配慮する必要があると判断した。プーチン氏はしかし、共和国の離脱権をレーニンが埋め込んだ「時限地雷」と称し、それがソ連末期の民族問題噴出やソ連崩壊につながったと批判する。プーチン氏の目には、レーニンの死後に徹底的な中央集権化と「ロシア化」を進めたスターリンこそが正しいのだ。

プーチン氏の考える「偉大なロシア」は、ロシア革命とソ連崩壊という20世紀の2度の革命によって毀損(きそん)された。その「偉大なロシア」を回復せねばならないというのがプーチン氏の思考回路である。

しかし、ロシアとウクライナは、1991年12月の独立国家共同体(CIS)創設条約や97年の友好協力条約、プーチン氏自身が署名した2003年の国境条約などで国境とその不可侵に合意している。プーチン氏の身勝手な論理は断じて許されず、それがまかり通れば国際秩序は崩壊する。

米国などによる国際支援が細り、ウクライナが苦境にある今こそ、この侵略戦争の本質を改めて肝に銘じなくてはならないだろう。(論説委員)

レーニン憎むプーチン氏 遠藤良介

2023/12/26 08:00



17日正午ごろ、モスクワの投票所で列に並ぶ人々。ナワリヌイ氏の未亡人ユリアさんは、選挙に抗議して正午に投票するよう呼びかけていた(ロイター)

17日に開票されたロシア大統領選で、プーチン大統領が過去最高の得票率で通算5選を確実にした。社会の安定を重視する統治方針や、ウクライナ侵略を「祖国防衛戦」だと正当化する論理を多くの国民が支持したとみられる。ただ、プーチン氏の「歴史的勝利」が演出された背景に、政治弾圧や予算のばらまき、投票への動員といった政権側による数々の作為も働いていたことは無視できない。

プーチン氏は事実上の選挙公約演説とした2月の年次教書演説で、欧米などの対露制裁下でもロシアは発展を続けていると強調。国の伝統や文化を守る重要性を訴えた一方、「ロシアを内部から弱体化させようとした」と欧米を批判した。プーチン氏の強い指導者像や保守思想が、少なくない国民の共感を呼んで得票に結びついたとみられる。

ただ、今回の選挙結果から、圧倒的多数の国民がプーチン氏を支持したと結論付けるのは短絡的だ。プーチン氏の圧勝の裏には作為的な要素も多いためだ。

第1は、長年の政治弾圧の結果としての対抗馬の不在だ。ロシアではプーチン氏の敵対者の多くが投獄されたり、亡命に追い込まれたり、不審な死を遂げたりしてきた。今回の大統領選も反戦派の出馬予定者が排除され、投票前から「できレース」と化していた。

第2はばらまき政策だ。プーチン氏は年次教書演説で、子育て世帯への経済支援や貧困対策の拡充、公務員の所得増、インフラ整備などを幅広く約束した。国営ロシア通信によると、発表された金額の総計は17兆ルーブル(約27兆円)に上る。

第3に投票への動員が挙げられる。独立系露語メディア「メドゥーザ」によると、与党「統一ロシア」党員や公務員、国営企業従業員らは、自身の投票に加えて一定数の知人も投票させるよう党や職場から指示された。実際、投票所では多くの有権者が自身の投票を証明するためとみられる写真や動画を撮影していた。

第4に選挙システムの変更がある。大統領選の投票日は従来、1日限りだったが、今回から3日間とされた。初の電子投票も導入された。ある露メディア関係者は「電子投票した有権者は、投票先の記録を当局側に追跡されることを恐れ、ほとんどがプーチン氏に投票したはずだ」と話した。

また、投票が行われたウクライナ東・南部4州の露占領地域では、武装した兵士を伴った選挙委員が住民を戸別訪問し、半ば強制的に投票させたとされる。

さらにロシアでは長年、得票率や投票率が操作されている疑いが指摘されてきた。ロシアは今回、欧州安保協力機構(OSCE)の選挙監視員の受け入れも拒否。発表された結果に偽りがないかは闇の中だ。

プーチン氏が大統領選勝利宣言 ナワリヌイ氏釈放計画の存在認める

「平和望む世論を示す」 露大統領選、唯一のウクライナ反戦候補インタビュー

弾圧、ばらまき、投票動員…プーチン氏「歴史的勝利」の裏に数々の作為 ロシア大統領選

2024/3/18 08:44



17日に開票されたロシア大統領選(任期6年)で勝利が確実になったプーチン大統領は17日深夜、モスクワの選対本部を訪れ、「選挙結果は国民の信頼と期待の表れだ」と勝利を宣言した。また、「ロシア人は一つの家族だ」と国民の団結を強調した。ウクライナ侵略を「ロシアの主権を守る戦い」だと正当化し、記録的となった高い投票率は有権者がそれを理解していたためだとも主張した。

プーチン氏はまた、報道陣との質疑応答で、2月に露北極圏の刑務所で反体制派指導者ナワリヌイ氏が急死したことについて「悲しい出来事だ」と発言。ナワリヌイ氏と、欧米側に収監されているロシア人の囚人を交換する計画がナワリヌイ氏の死去前に合意に達していたとも主張した。

囚人交換によるナワリヌイ氏の釈放計画の存在は、ナワリヌイ氏の死去後の2月下旬、ナワリヌイ氏の陣営幹部が公表。プーチン氏に近いオリガルヒ(新興寡占資本家)のアブラモビッチ氏らが仲介役となり、ドイツで収監されている露連邦保安局(FSB)元大佐と、ロシアで収監されているナワリヌイ氏と米国人2人の身柄を交換する計画が進んでいたという。

プーチン氏が再選確実 得票率87%で圧勝

EUが露当局への追及表明 ナワリヌイ氏死亡受け

大統領選の新顔候補らが早期停戦提唱

プーチン氏が大統領選勝利宣言 ナワリヌイ氏釈放計画の存在認める

2024/3/18 06:55




【パリ=板東和正】欧州連合(EU)は19日、ブリュッセルで外相会合を開催した。EUのボレル外交安全保障上級代表は会合後の声明で、ロシアの反体制派指導者、ナワリヌイ氏が死亡したとの発表を受け「独立した透明性のある国際的な調査」に応じるようロシアに要求。「露指導部と当局の責任を追及する努力を惜しまない」とした上で「制裁を含めた代償を科す」と宣言した。

声明では、露刑務当局がナワリヌイ氏の死亡を発表したことに「EUは憤慨している」と強調。ナワリヌイ氏を追悼しようとして拘束された市民の即時釈放などを求めた。外相会合にはナワリヌイ氏の妻ユリアさんも参加し、EUのミシェル大統領とも会談した。

先進7カ国(G7)も17日に開いた外相会合の議長声明で、ナワリヌイ氏が死亡した状況を「完全に明らかにする」よう露当局に求めた。

EUが露当局への追及表明 ナワリヌイ氏死亡の発表受け「憤慨している」

2024/2/20 08:14



3月のロシア大統領選への出馬を認められた候補予定者で唯一、ウクライナ侵略に反対の立場を表明するナデジディン元露下院議員(60)が11日、モスクワで産経新聞などの取材に応じた。同氏が日本メディアの取材に応じるのは初とみられる。出馬の理由を「ロシアに平和を望む多数の国民がいることをプーチン政権に示すためだ」と説明。ロシアは強権統治を脱却し、自由な国になるべきだと訴えた。

ナデジディン氏はウクライナ侵略について「現政権の大失敗」と指摘。プーチン大統領は侵略でロシアを世界から孤立させ、国民の国際的信用を傷つけたとした。その上で、プーチン政権に立ち向かおうとする国民こそが「愛国者だ」と強調。自身の出馬で「政権を批判する機会を国民に与えたい」とした。

一方、欧米諸国や日本については「良き隣人」とし、関係改善を模索すべきだとした。

ナデジディン氏は、プーチン政権の批判者で2015年に殺害されたネムツォフ元露第1副首相の元顧問で、改革派野党「市民イニシアチブ」が公認。最終的な出馬には有権者10万人分の署名が必要で、陣営は署名集めを進めている。

露国内ではウクライナ侵攻後、政権や軍への批判が行政罰や刑事罰の対象となるなど自由な言論を巡る状況が極度に悪化している。ナデジディン氏は「政権を恐れて署名をためらう有権者も少なくない」としながらも、必要な署名を集められるとの見通しを示した。

次期大統領選には、政権与党「統一ロシア」の支援を受けつつ無所属で出馬するプーチン氏のほか、共産党や極右の自由民主党、20年に設立された政党「新しい人々」などが候補者を擁立するが、これらは政権側との対立を避ける「体制内野党」とみなされている。

大統領選ではプーチン氏の「圧勝」が確実視されており、政権側がナデジディン氏の出馬を容認したのは民主的な選挙を形式的に演出するためだとの観測が強い。ただ、候補予定者の登録段階で他の反戦派候補が排除された結果、ナデジディン氏は事実上、反戦派の統一候補となっており、同氏の得票数次第ではプーチン政権に一定の打撃を与える可能性もある。

「平和望む世論をプーチン政権に示す」 露大統領選、唯一のウクライナ反戦候補インタビュー

2024/1/12 16:09



陸上自衛隊第32普通科連隊が公式X(旧ツイッター)で用いた「大東亜戦争」の表現が、朝日新聞などから批判されたことを受け、防衛省・自衛隊はこれを削除した。硫黄島での日米戦没者合同慰霊追悼顕彰式への参加報告の際に使ったものだが、木原稔防衛相は「慰霊そのものが重要であり、大東亜戦争という表記によって、大きな問題化することは本意でないという報告を受けている」という。

閣僚が認めたということは、自衛官をはじめ公職に就く人が使うには「不適切な言葉」として登録されたのと同義だ。「慰霊が重要」というのなら、戦没者の思いに沿うことこそ重要だったのではないか。英霊は「大東亜戦争」を戦ったのだ。私はここに典型的な「戦後体制」を見る。つまり、国の尊厳よりも目先のトラブル回避を優先させる「事なかれ主義」だ。

「大東亜戦争」は昭和16年12月の開戦直後に、当時の東条英機内閣が閣議決定した呼称だ。「宣戦の詔書」には、「東亜の安定を確保し、世界平和に寄与し、万国が共に栄える喜びを共にしたいにもかかわらず、米英は、東亜の混乱を助長し、平和の美名に隠れて東洋を征服する非道な野望をたくましくしている。事ここに至っては、自存自衛のため、速やかに禍根を取り除いて東亜に永遠の平和を確立し、日本の保全を期す」旨が記されている。この詔書に接したとき、昭和天皇が「戦う理由」をここまで明言されていたのかと驚きを禁じ得なかった。

戦後、20年12月の覚書によってGHQは「大東亜戦争」の使用を禁じ、「太平洋戦争」に置き換えた。WGIP(日本人に戦争についての罪悪感を植え付けるための洗脳工作)を行ったGHQにとって、東亜の平和を確立するという「日本の大義」は不都合な真実であった。こうした史実を知れば、「大東亜戦争」の削除が、いかに戦勝国史観にとらわれ、独立国としての尊厳を自ら傷つける行為であるか理解できるであろう。

「大東亜戦争」削除問題、「慰霊が重要」というなら英霊が戦った呼称を使うべきだ

葛城奈海

2024/4/25 10:00