オランザピン、お前だったのか
出勤前に早起きするのが苦手だ。全身に纏わりつく眠気を追い払うことができず、顔を洗いに行ったと思ったらまたベッドに戻ってグズグズしてしまう。時計を見たら家を出る時間の10分前になっていて、慌てて雑なメイクをしてバタバタと出勤するのがここ数年の私の常だった。
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先週のメンタルクリニックで「朝起きられないんですけど、薬のせいってことはありますか?」と聞いてみた。薬を飲むのは夜9時頃で、起きるのは朝7時。自分としては薬を飲む時間が悪いとは思ってなかった。
先生は事もなげに「お薬の影響でしょうね」「24時間ゆっくりと作用する薬を飲まれているので、朝しんどいのはあるかもしれません」と返してきて、私は少しだけ驚く。その薬が、オランザピン(ジプレキサ)というお薬だった。先生は「1日中気持ちが落ち着く効果もあるから飲んでほしい思いも半分あるけれど、どうされますか?」と尋ねてくれて、「私は減薬してみます」と答えたのだった。
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帰宅後、クリニックでのやり取りを反芻してみた。そういえば、今までの私の相談は「眠れない」「中途覚醒してしまう」にシフトすることが多かった。「何時間寝ても起きられない」って相談はしたことあったのかな。そこはよく思い出せない。
お医者さんはこちらの相談したカードに合わせてお薬をチョイスしてくれる存在なのだと思う。「毎晩睡眠時間は確保できてる、仕事中のメンタルも比較的落ち着いてる、ただ朝だけ起きられない」の相談内容から、薬を減らしてもいい段階に入ったと判断してもらえたのだろうか。
オランザピンを飲むのをやめた翌朝、驚くほどスッキリと目覚めることができた。世の中の人たちはこんなふうに朝を迎えていたのか。起きられないのは私が怠惰なだけだと思っていた。少し拍子抜けしつつ、その日は朝ヨガをして、朝ごはんを食べて、お昼のお弁当を作り、しっかりとお化粧をして出勤することができた。
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オランザピンをやめたメリットがもうひとつ。顔の浮腫みが少し落ち着いてきた。薬を長く服用していたせいで記憶が曖昧になっていたけれど、オランザピンの服用を始めた頃から5、6キロ太ってしまっていた。写真を撮るのも鏡を見るのも嫌いになった。「痩せる努力が足りない」と自分のせいにして自己嫌悪に陥っていたが、食欲増進もオランザピン、お前の仕業だったのか。
自分の顔が映る写真を見ては「なんでこんなに浮腫んでるんだ、病気みたい」と思っていたけれど、きちんと(という言い方が正しいか分からないが)病気で、副作用だったのだ。
私は薬が害悪だとは思わない。然るべきときにきちんと助けてもらって、必要がなくなったら手放すものだと思っている。ここ数年の仕事が上手くいかないとき、お薬たちのおかげで睡眠だけはとることができた。
最近は毎日元気に出勤を続けているので、少しずつ薬を手放す段階に入っているのかもな、と思う。朝起きやすくなったことに反して、オランザピンで抑えられていたであろう吐き気が戻ってきた。気分の落ち込みは実感するほどでもない。今回もオランザピンの処方はしてもらったので、必要に応じて服用しつつ、1種類ずつ減らしていけたらいいなと思う。焦らずに、急がずに。
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