Seaと1Q84
ナムジュンさんがインスピレーションを受け바다を書いたと聞いてから、
ずっと読み返したかった村上春樹氏の1Q84を二週間かけて読了しました。
바다とは、2017年にリリースされたアルバム、Love Yourself:Herにhidden trackとして入っている曲です。
在宅を余儀なくされていたからこそゆっくりの時間をかけて読み解くことができました。
以前よりも、もっと深く。
最後に読んだのは、もう4年以上前で、
私はまだ幼く、無垢な時代でした。
今あるような、怒りも、傷もなかった時代。
だからこそ理解できない部分も多かったと思います。
だからこそ、今読み返したのです。
바다、海。
この曲では「희망이 있는 곳엔 반드시 시련이 있네」という歌詞が何度も繰り返し歌われる。
“希望があるところには必ず試練がある”
これは1Q84の中では主人公(ヒロイン)の青豆のセリフです。
これが2017年のナムジュンの胸に深く突き刺さった訳なんですね。
2017年といえば、BTSにとっては大きく飛躍した年と言えるでしょう。
Billboard Awardsの舞台に初めて立ち、8年連続受賞していたジャスティン・ビーバーを破り、Top Social Artist を受賞する。
その後Billboard Awards、Grammyと並ぶ米国3大音楽賞の一つであるAMAsではDNAをパフォーマンスし、大きな話題になりましあ。
これらを通し、米国での知名度は格段に上がり、 BTSは波乱の2018年へと向かいます。
(この辺については調べればいくらでも出てきます)
この時代に、彼の胸に刺さったのが青豆の「希望があるところのは必ず試練があるものだから」というセリフなんです。
1Q84に、話を戻します。
主人公である天吾の台詞の中にこんなものがあります。
“なぜ自分自身を愛することができないのか?
それは他者を愛することができないからです。
人は誰かを愛することによって、
そして誰かから愛されることによって、
それらの行為を通して自分自身を愛する方法を知るのです。
誰かを愛することができないものに、自分を正しく愛することなんかできません。”
と。
これはBTSが唱える
“本当の愛は自分自身を愛することから始まる”
とは真逆のスタート地点だと思いませんか?
天吾は
“他人を愛することで”
愛を知り、
BTSは
“自分自身を愛することで”
愛を知ると。
私はナムジュンがこの台詞を読んだ時にどう思ったのか気になります。
そして、ナムジュンならこう話す天吾に何と声を掛けるのでしょう。
私も、未だに自分の愛し方はよくわからないです。
加えて言うと、愛され方だって。
そんな私が、自分を愛することなんて可能なのか?
誰かに愛されることも、
誰かを愛することもできない自分が。
そんな考えに思考が囚われると濃い暗闇の中に放り出されたような不安に駆られるのです。
しかし、これはまた1Q84からの引用ですが、
“光があるところには影がなくてはならないし、影のあるところには光がなくてはならない。
光のない影はなく、また影のない光はない。”
もしそうであるならば、私がいる暗闇の裏側には光があることになります。
そのことに疑念を持つのです。
本当にここは絶望が溢れる暗闇なのか、
それとも希望に満ちた光刺す場所なのか。
もっとわかりやすく言うと、
誰のことも愛せない、誰かに愛されることもない
“今”は
誰かを愛し、誰かに愛され、自分を愛する“未来”に
本当に繋がっているのか。
“내가 닿은 이곳이 진정 바다인가
아니면 푸른 사막인가”
“俺が触れているここは 本当に海なのか?
そうではなく碧い砂漠なのか?”
これは바다の歌詞からの引用ですが、
彼は苦悩の時代を“砂漠”
そしてファンに愛されている今を“海”に例えます。
(この点ももっと調べれば沢山出てきます)
私が“暗闇”と例えたものは彼らの“砂漠”
“光”と例えたものは“海”であると解釈します。
2017年地点のBTSの背景を考えても、
彼らは幸福と絶望の表裏一体さに混乱していたように思います。
だからこそ、
원래 이곳은 사막이란 걸 우린 너무 잘 알어
“本来ここは砂漠だということ 俺達はわかってる”
という歌詞に繋がります。
そしてブリッジ部分
Ocean,desert,the world
Everything is the same things
Different name
“海、砂漠、そして世界
全ては同じものだ、違う名前があるだけで”
そして曲の最後の最後に、
それまでになかったフレーズが繰り返されます。
우린 절망해야 해 그 모든 시련을 위해
“俺たちは絶望するべきだ あのすべての試練の為にも”
韓国語の理解が足りないため、
何とも咀嚼しにくい歌詞です。
ここまでお話ししてきてお気遣いの方もいるかと思いますが
絶望も希望も、暗闇も光も、試練も、海も砂漠もこの世界も。
全く違うようで、実は同じものなんです。
だからこそ
彼らは進んで絶望するべきだと。
試練のために。
この歌詞のあとに、歌を続けるとしたらこんな歌詞がつくのではないでしょうか、
“そうすれば試練を乗り越え、希望がある”
と。