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“デザイナーが経営に関わる”とは

はじめに

ぼくは、若かりしころから「デザイナーは、もっと経営の上流に遡上すべきだ」と偉そうに理想を語っていました。果たして、20年後、理想を現実のものとします。ひょんなことから3億円以上の創業支援金を得ることとなり、それをきっかけに数人のメンバーで会社を立ち上げました。巻き込み事故に遭ったような感覚はありつつも、理想としていた「デザイナーが経営の上流にいる状況」を得ることに成功したわけです。

では、実際に“デザイナーが経営に関わること”とはどういうことなのか。ぼく個人の例にはなりますが、まとめてみたいなと思います。なお、ここでいうデザイナーとは、狭義のデザイナーではないことをご留意ください。もうちょっと広義のデザイナーです。そのニュアンスについては後述したいと思います。

長い文章が読めない人が増えているということなので、短く区切りをつけながら書き進めます。さらには架空の対談形式で進めていきます。若林恵さんスタイルです。登場人物はデザイナーのぼくと、聞き手のシロクマです。シロクマはぼくがずっと描き続けているキャラクターなのですが、なかなか売れてくれないので、この機会に活用します。彼の性格や言葉づかいがまったく固まっていないので“ゆれ”についてはご容赦ください。では、早速、本題に入ります。

じっと読み手を見つめるぼくとシロクマ

対談① デザイナーが経営に関わる価値とは

シロクマ:じゃ、対談をはじめよう。みんな忙しいし、誰ひとりとしてキミ自身には興味がないと思うから、こまごまとしたことはあと回しにして、早速、結論めいたことを聞くね。まず、デザイナーが経営に関わることに価値はある?ない?どっち?

ぼく:ぼくの答えとしては“価値はある、価値しかない”です。ポジショントークと思われるかもしれないけども、本当にそう思います。ただし、関わるのが“優秀なデザイナー”なら、という注釈がつくんだけど。

シロクマ:君は自分自身が優秀なデザイナーだと言っているんだね。

ぼく:いやな言い方をするな。そういう訳ではないけども、そう言っておかないと間違いが起こったら責任取れないし。

シロクマ:はいはい。では、もうちょっと具体的に聞いてみよう。その価値はどういうところか教えて。

ぼく:たくさんあるので箇条書きで列挙してみた。思い出した順に書いただけなので、優先順位とかは特にないです。

  • 具体と抽象の往来者としての価値

  • 霧散したイメージを定着させる凝固剤としての価値

  • ロジックを固定する留め具としての価値

  • 方向性を見失わないための羅針盤としての価値

  • 世界観を描く表現者としての価値

  • インサイトを読みとる観察者としての価値

  • 品質をチェックする検査員としての価値

  • 企画を量産するアイデアマンとしての価値

  • 意匠を担当するデザイナーとしての価値(定番)

シロクマ:えらく多機能だね。そんなにいろんなことできるもんなの?デザイナーって?

ぼく:人にもよるだろうけど、これくらはできるはず。しっかりと経験を積んでいる人はよく訓練されているだろうし。

シロクマ:そんなもんなの?にわかには信じられないな。ちょっと、ひとつずつカンタンに説明してもらってもいい?

ぼく:オーケー。上から簡潔に説明します。まず『具体と抽象の往来者としての価値』について。会社には必ず熱源があって、多くの場合、その熱はリーダーから発せられている。リーダーは、視座が高く、抽象レイヤーでものごとを見ていることが多い。ぼくの会社はまさにそんな感じ。リーダーと実務をこなす人は見ている景色が違うので、リーダーが描くビジョンをどう実現すればいいのかが具体的にわからない。その両者を取り持つのがデザイナーの大事な役割になると考えています。デザイナーは常に、想像したことを創造することを訓練されています。いわば、具体を抽象を行き来するプロでもあります。これはデザイナーが経営に参加する意義として、特に大事な役割だと思っています。

ぼく:次に『霧散したイメージを定着させる凝固剤としての価値』について。リーダーの頭の中にはモヤモヤとしたイメージがあります。モヤモヤとしているけども、実際に存在するモヤモヤなので、リーダーにとってはとてもリアルなモヤモヤです。さらに、リーダーは多くの言葉を垂れ流します。モヤモヤイメージとたくさんの言葉。それらは周囲に戸惑いを生み、なかなか真意が伝わらりません。デザイナーは、そのモヤモヤと言葉を集めピタリと定着させる必要があります。これも、デザイナーにしかできない重要な役割だと思います。ただ、この役割を担うためには高い言語能力が必要になります。デザイナーは絵づくりだけしてればしてればいいわけではなく、言語を操る必要があるわけです。

シロクマ:なるほど(高い言語能力か。また、自画自賛しているな)。

ぼく:長くなりますが、どんどん続けます。次は『ロジックを固定する留め具としての価値』について。会社経営、事業創出には多くの人たちが関わります。その中でいろんな意見が出てきて、それらはログとして積み重なり、絡み合っていきます。その時に、デザイナーは、ロジックが破綻していないかを常に注視する必要があります。ロジックが破綻している建造物はグラグラとしていて、いつか崩れてしまう危険をはらんでいます。そうならないようにロジックをガチッと固定する役目もデザイナーは担うことができます。もちろん、ロジックの破綻も気にせず突っ走ることを優先するタイミングもありますが、ストンと腑に落ちるロジックは、事業のわかりやすさにもつながると思います。ただ、これについては反省もあって、ぼくの会社は分かりやすさが皆無なので、ぼくが仕事をサボっているという説があります。

ぼく:つづいては『方向性を見失わないための羅針盤としての価値』。これは、リーダーの役割でもあるけども、デザイナーとしても大事な役割のひとつ。前段のロジックの留め具としての役割にも連動しています。つまり、ものごとが想定とは違う方向にズレたときに最初に気が付くのはデザイナーの役割だと思っています。リーダーは気づくというよりは「絶対にあそこに行くんだ」という決意を持って、揺らがないことが仕事。そういう意味でこれに関してはリーダーとデザイナーの共同作業かなと思います。

ぼく:まだまだあるので続けます。『世界観を描く表現者としての価値』。これはデザイナーにしかできないアウトプットで、会社や事業のトーン&マナーを探りあて、世界観を表現するとても大事な役割。この世界観ひとつで会社の雰囲気が決定づけられ、事業の成否や、ファン獲得ができるできないが決まったりもします。ここは最大限の表現力を爆発させて、魅力あるイメージをつくりあげましょう。

シロクマ:ほーほー。

ぼく:飽きてるよね?

シロクマ:飽きてないよ。続けて。

飽きていない、というシロクマ

ぼく:まぁ、かわいいイラストとかを挿入して、可能な限り離脱者が出ないように頑張るよ。では続き。『インサイトを読みとる観察者としての価値』。これは、デザイナーだけの仕事ではないけども、デザイナーはこれができなきゃいけないし、おそらく得意なはず。ぼくはこのインサイト(洞察)することについてはかなり力を注ぎますし、メンバーに意見することが多いです。人の心理を読み取ろうとする行為はいろんな面でメリットがあります。なので、この役割については全員が身につけられるといいんじゃないかと思うので、意識のポイントを共有するのもデザイナーの大事な役割かもしれません。

ぼく:さぁ、あと二つ!『品質をチェックする検査員としての価値』について。いわゆるクオリティコントールというものですが、これはデザイナーの大事な役割。品質というものは常に下へ下へと下がろうとする性質を持っています。その下に下がろうとする力に抗うのがデザイナーの役割です。それができないデザイナーなら、経営に参加する必要ないと思うくらい大事な仕事です。

ぼく:いよいよ最後。『企画を量産するアイデアマンとしての価値』。何をするにも企画が必要ですが、デザイナーはいろんなアプローチから企画を考えることができます。企画をするためにはさまざまな制約や、社会環境、関係する人たちのインサイトなど、たくさんの素材を活かす必要があります。さまざまな役割を担うデザイナーはいろんな視点から物事を観察して上で企画ができる存在ですし、Design=設計という意味がここにあります。ということで、書き出した全ての価値について説明終わり!

シロクマ:スヤスヤ

ぼく:寝ている。

寝ているシロクマ

対談② デザイナーって万能なの?

シロクマ:起きた。なんか話だけ聞いてると、デザイナーって万能に見えるけど、ほんとに、そんなにたくさんの役割って担えるものなの?さっきも聞いたけど。

ぼく:役割の多さは、組織のフェーズやサイズ感によって変わると思ってます。立ち上げ間もないベンチャーやスタートアップでは、上記のようなたくさんの役割を結果として担うことになると思います。ぼくのように。でも、もっと基盤が成熟した、しっかりした組織では、役割が絞られるはずなので、より、デザイナーならではの領域に特化することができると思います。ただ、デザイナーという種族は、課題があれば頭が働くものなので、どんどん課題を与えると、それなりに解決策が生まれると思います。もちろん、全く専門外のことは解決できないけども。そして、大事なことだから、もう一度言うけども、どんなデザイナーでも万能なわけではない。できる範囲は経験やスキルによって、それぞれ違うと思うので、やみくもにデザイナーを経営に関わらせることには賛同しなくて、あくまで’優秀な”デザイナーということが大事。

シロクマ:はいはい、きみは優秀なデザイナーだからできると言いたいのね。

ぼく:まぁね、と自画自賛はしないけども、デザイナーにもいろんなタイプがいる。ぼくのようになんでも器用にこなすユーティリティータイプの人、とにかくアウトプットがめちゃくちゃ得意な人、アウトプットはほどほどにディレクションが得意な人みたいな感じで。なので、経営にデザイナーを関わらせたいな、と思う経営者は、そのタイプをしっかりと見極めないとミスマッチが起こると思っています。

シロクマ:そこ大事だね。ミスマッチを起こさないようにするコツとかはある?

ぼく:とにかく一度、一緒に何かをやってみるのがいいと思う。何かしらの企画・制作とかを。その時の仕事の仕方や、プロセス、コミュニケーションの質や、アウトプットの質など、あらゆるところをチェックしまくるのがいいんじゃないかと。

シロクマ:経営レベルに関わるデザイナーの成功例ってある?

ぼく:個人名を挙げると佐藤可士和さんとかはとても分かりやすい成功例だと思うし、最近ではデザインを通じて社会をより良くしようとしているGoodpatchという会社の存在は成功例になりつつあるんじゃないだろうか。ぼくが若いころにGoodpatchみたいな会社があったら、絶対に入社したかったと思う。他にもたくさん成功例はあると思うけども、広がりという意味では、まさにこれからというところかなと思います。

したたるコーヒーを見るシロクマ

対談③ 経営に関わりたいデザイナーが学ぶべきこと

シロクマ:きみのように経営に関わりたいデザイナーは何を学ぶべきだと思う?

ぼく:偉そうなことは言えないので、あくまで個人的な考えだけども、

シロクマ:(そういうウソっぽい謙遜は文字数が増えるだけだからいらないのに)

ぼく:まずはしっかりとデザインの基礎を身につけて、デザイナーとしてのレベルを上げておくことが大事で、その力量が全ての土台になります。

次に大事なのは言葉をしっかり操れるようになること。言葉を操れないと、いろんな人を説得することはできないです。そもそも思考すらできないです。

そして、たくさんの仕事をこなして経験を積むことも大事です。仕事を回す筋力がないと経営のような重労働には関わることはできません。

次は、時代の空気を掴むこと。ニュースを見る、新聞を眺める、本屋をウロウロする、ネットをサーフィンする、いろんな世代の動向を観察して、世界がどんな方向に向かっているのかを感じておくことが大切です。

余裕がある人は、数字のことが理解できていると、さらにいいと思います。ぼくは、個人事業を開業してから数年間、担当税理士さんのはからいで、自分自身で仕訳伝票を書き、損益計算書や貸借対照表を自分で書き込む訓練をさせられました。そのおかげで、ほんのちょっとだけ数字が追えるスキルが身につきました。そのスキルはとんでもなく役に立っています。

あとは商売の道理を知ることも大事です。デザイナーはロマンチストになりがちです。格好もつけたいです。でも、商売とは不思議なもので、筋道は通っている、アウトプットも美しい、何もかも正しい。それでも評価されないサービスが山ほどあります。一方で、デザイナー的にはダサいサービスでも、めちゃくちゃファンに愛されていたり、儲かっていたりします。そういう場面に出会した時はチャンス。何が評価されているのかを観察して分析することをお勧めします。閉店した店を見て何がダメだったかを想像する。行列ができている店の何がいいのかを想像する。なんでも勉強の材料にできると思います。とにかく感じることだと思います。

シロクマ:今、書いてて悦に入ってたでしょ?

ぼく:そんなことないです。

ブレイクするぼくとシロクマ

対談④ ちょっとブレイク

シロクマ:ところで、なんでこの文章を書こうと思ったわけ?虚栄心?

ぼく:ほんと嫌な言い方をするな。確かに、そういう部分も大いにあるけども。これまで、ぼくはデザイナーみたいなものは黒子なんだから、人前に出てペラペラ喋るなんて絶対したくない、裏方でも見てくれる人はいる、きっと評価される時がくる、と思ってたんだけど全然見つけてもらえなくて、痺れを切らして自分から「ここにいるよー」って叫ぶ必要性が出てきたんですよ。ぼくみたいな、大学すら出てないデザイナーは繋がりも希薄だし、そもそも人見知りで交友関係も狭いので、そこは改善してみようと思って、その最初のアクションとして、この文章を書いているところです。

シロクマ:で、この文章がうまいことバスって、みんなに「こんなデザイナーいたんだ!」と言われることを期待しているわけだね。

ぼく:・・・。そ、そんなことはないけども、経営にデザイナーが関わる価値については損得抜きにして信じているので、ちゃんとまとめておきたいなと思ったのは本当です。


対談⑤ 経営に関わるデザイナーが具体的にやってること

シロクマ:いったん、大枠では理解が進んだ気がするので、具体的な部分も知りたい人がいるかもだね。きみは実際問題どんなことをしてるのか教えて。

ぼく:基本的には、『デザイナーが関わる価値』で列挙したようなことの、実務を担っています。デザイナーぽい業務から箇条書きで書き出してみます。

  • WEBサイト・告知バナー・フライヤーなどのデザイン、イラスト制作、写真撮影など制作全体

  • 会社概要、事業概要、企画書、広報資料などの企画・制作

  • 会社全体のブランディング(CI設計・トーン&マナー設計)

ここまでは、基本的にデザイナーがやる仕事ですが、ここからどんどん経営に近づいていきます。

  • 会社のビジョン、ミッションの言語化やイメージ化、時代との整合性のチェック

  • 事業内容と時代との整合性のチェック

  • 事業計画のチェック

  • ステークホルダーの利害のバランスチェック

  • リーダーのメッセージの翻訳

なんかチェックばっかりですが、どうにもぼくの場合はこんな役が多いです。デザイナーは、会社のさまざまなアウトプットを一任しているので、いろんな情報を詳細に理解しています。例えば、会社概要で謳っているパーパスと、実際の事業の間に乖離があれば、それはアラートを出さなければいけません。また、事業計画を眺めていると、無駄があったり、合理的じゃない部分が見えてきたりもします。デザイナーは設計者です。そういう部分も積極的に介入することで、シンプルで美しい動線づくりに寄与できると思います。

あと、大事な役割としては、リーダーのメッセージを翻訳するということ。先に述べたように、リーダーは抽象的な言葉でたくさんしゃべります。視座が違う人同士は基本話が通じません。なので翻訳者が必要です。これがデザイナーの仕事かどうかは怪しいですが、そういう人は必要です。まぁ、デザイナーがやればいいんじゃないでしょうか。

最後に、ほぼ経営者としての仕事のゾーン。

  • コミュニケーションの行間を読む

  • 意思決定のための情報分析

  • 意思決定

コミュニケーションの行間を読む、というのは、洞察力が高い人の役割です。経営をしていると、取引先が考えていることを読む必要があるます。金銭の交渉もそうですし、妥協すべきか、突っ張るべきか、なんてことも読みが必要です。そういう場面ではぼくが真剣に相手の思いを汲み取って、落とし所を探ります。

意思決定のための情報分析は、意思決定のための情報が足りているか、足りていない場合はどんな情報が必要かを判断します。こんなものはさすがにデザイナーの範疇ではないですが、経営に関わるというのはこういう部分にも足を突っ込む可能性を意味します。こういうことが楽しくないようであれば、経営に関わることはおすすめしません。かくいうぼくはこういうのは楽しくありません。ずっと狭義のデザイン作業をしたり絵を描いていたいです。

最後に意思決定。これは、デザイナーがどの立場で経営に関わっているかにもよりますが、ぼくの場合は、意思決定も大事な仕事です。当然、経営者の判断には責任が伴うので、とてもしんどい仕事です。ここまでやれば、デザイナー兼、立派な経営者だと思います。

シロクマ:もはや、話が変わってきているね。「もしデザイナーが経営者になったら」にタイトルを変えた方がいいんじゃない?

ぼく:たしかに。

シロクマ:以上がきみの仕事ね?

ぼく:あとは、会計処理の確認とか、税務のこととか、法務とか、人言関係とか、細々とした交渉とか。

シロクマ:それは完全にデザイナー関係ないやつだな。

ぼく:ザッツライト。


対談⑥ 実際に経営に関わってみての感想

シロクマ:ところで、きみは若かりしころに思い描いた理想を実現してみて、どういう感想を持ってるか聞かせて。

ぼく:もう、文字数を増やしたくないので、円グラフを書いてみたよ。 

ぼくのお気持ち円グラフ

シロクマ:ポジとネガが混在している。いろいろ大変そうだね。

ぼく:確かにやりがいはあるし、充実はしているし、楽しいといえば楽しいんだろうけども、とにかく大変。単純に忙しいし。ただこれは、ぼくと会社とが業務量の調整ができてないからで、改善はできる部分だとは思っています。さらにぼくの場合は、会社経営とは別に個人事業も営んでいるので、業務量がえらく膨らんでしまっています。これだと回るはずもない。そういう部分は反省点です。個人的な話でごめんなさい。


対談⑦ 実際に経営に関わってみたいデザイナーはどうアクションすべきか

シロクマ:この文章を読んでくれたデザイナーが、自分も経営に関わってみたいなと思ったときに、どうアクションすればいいと思う?

ぼく:じつはそこが問題で、現状ではそういうマッチングがほぼできていないのが現状です。キラ星のようなスターデザイナー以外は、奇跡のような出会いを待つか、闇雲に営業をするしかない。なので、この課題については、プラットフォームづくりが必要かなと思っています。ただ、既存の人材あっせん会社の草刈り場にはなってほしくないので、それこそGoodpatchのような会社がそういうポジションを取ってくれたらいいなと思います。あとは、学びの場も同時に必要。ここまで書いてきたみたいに、デザイナーが経営に関わるにはそれなりに心得が必要です。そういう心得を知った上で、経営チームとのマッチングが行われるようになれば、ミスマッチも減るかなと思っています。あとは、それらをコーディネーションできる人材が今は皆無なはずなので、そこの人材育成も急務かなと思っています。

シロクマ:まさかのGoodpatch頼みとは。

ぼく:ぼくにできることは限られているので、キャパシティがあって、成熟した社会像を持っていて、デザイナーの存在を信じている彼らのような存在は貴重だなと思ってます。ぼくももっと学びたいし、救われたい。

シロクマ:てっきりきみがそういうプラットフォームをつくります!とかって宣言するのかと思ったのに。情けないやつ。

ぼく:ぼくは篭って作業してたいただのデザイナーです。

シロクマの後頭部

最後に

シロクマ:ひと通りの内容は聞いた気がするし、そろそろ終わりにしよう。何か言い残したことはある?

ぼく:世の中にはキラキラした情報が溢れています。毎日のように「ローンチしました!」というドヤ情報が飛び交います。そしてぼくらは、つい羨望しちゃったり、焦りを感じたり、自分自身を卑下したりしちゃいます。ぼくの会社のリーダーもそんなタイプの奴です。苦手なタイプです。だけど、大事なのはどれだけ“続けて”きたかということだと思っています。

ぼくは会社を立ち上げてからこれまで、仲間内にも「会社をローンチしたぜ」なんて発信は自信がなくてできませんでした。はじめることなんて誰にでもできるからです。大事なのはいかに続けるかということです。ぼくたちが立ち上げた会社は、たくさんの血を流し、やっとの思いで丸5年を生き延びました。そして経営も安定してきました。あと、ぼくの個人事業は今年で15年を迎えました。そろそろみんなに報告できるくらいの土台はつくれたなと思って、今回こういう発信をしています。大声をあげて自慢することもなく、日々、黙々と世の中を良くしようと地味な積み重ねを続けているデザイナーさんは、経営に関わる気質を持っていると思います。是非とも、そういう人材が経営チームとの出会いに恵まれる世の中になったらいいなと思います。

シロクマ:完全にいいことを言おうとして言ったよね。

ぼく:だな。

ぼく:いつも中途半端ぼくだけども、今回は何とか書き切ったので、ちょっとだけモヤモヤは晴れた。この勢いで、次は、3億円の原資を使って立ち上げた会社がどうなったのか、について掘り下げてみようと思います。ここまで約9,000文字。最後まで読んでくれた人がいるのであれば、本当にありがとうございます。

シロクマ:ねぇ、ところで、これだけ長い文章書いて金額設定とかしないわけ?お金を欲する感じとか表に出したくないタイプ?多くの人に読んで欲しいので無料です!とかきれいごというタイプ?

ぼく:お金の設定はしません。そんな責任は負えません。

シロクマ:つくづく損な性格だね。ビビりというか。お金いらないんだね?

ぼく:いらない。

シロクマ:みなさーん、本人、このようにお金はいらないと言っていますが、払える人はどんどん払ってね。いい情報だったでしょ。

ぼく:おいおい、勝手にやめろよー(棒)。

シロクマ:・・・(茶番だな)。

ぼく:マッチポンプというやつだね(テヘペロ)。

真摯に読み手を見つめるぼくとシロクマ

ぼく:反省としては、シロクマの言う通り、「経営に関わるデザイナー」の範疇を超えて、「経営するデザイナー」になってしまっている部分が多々あったことだけど、まぁ、参考程度にはなると思います。こう言う分野について興味のある人と意見交換してみたいので、ぜひともコンタクトください。

おしまい。

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