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月の海



叫んでも

この声は

仄かなひかりになる


泣いた分だけ

輝きになる


わたしはこのまま

生きつづけるの


きみの手に触れたら

この哀しみはきっと

海になる


きみをのみ込んで

怪物になる


お願いわたしを

止めてください



抗っていないで
大きく吸って
青い星になりたいのなら


くちびるのしわに

染み込んだ

空気のたま


おどろおどろしい内蔵の

ひとつひとつに手をとって

大切にしていくの


なにもかもが

軟らかな青


ようやくきみに

触れた



茶埜子尋子

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