中国古代のお葬式Part7
中国古代のお葬式では
1. 初喪礼儀
2. 治喪礼儀
3. 出喪礼儀
(1) 墓所と葬儀の日時を占う
(2) 出棺の準備
(3) 明器を並べる
(4) 出棺
(5) 柩を安置した後の儀式
4. 終喪礼儀
という順番で行われますが,今回は3の(4)出棺についてご紹介します。
3.(4) 出棺
柩を車に載せた後は,酒や魚や肉などの供え物をし紙銭を焼く遣奠という儀式が行われます。
※中国ドラマでは,葬儀の時や墓の前で黄色い紙を焼くというシーンがよく出てきます。丸く貨幣の形をしたものや,方形のものもあります。これらはあの世に行ってからもお金に困らないようにするためです。現在では黄色いものだけでなく,色々な紙銭があるようです。
その後はドラや笛の音に導かれて霊柩車が出発します。その隊列の順番は,時代や身分によっても違うのですが,だいたい次のようになっています。
柩を載せた車…方相(厄除けの神)を載せた車…志石(墓誌銘)の車…明器…旗…米…酒や干し肉…羊や豚の脚…食物…死者の名前や官位を記した旗…大旗…鈴など
※このような隊列はどんどん派手になっていったので,唐代などには禁止令が出たほどです。
その際,喪主と子供たちは裸足で,親族と共に泣きながら送り出しますが,門を出たら目上の者は車に乗ります。
執紼
柩を載せた車には葛か麻でなった綱が付けられます。天子の柩には6本。諸侯は4本。大夫は2本。士は1本です。
それを参列者で引くのですが,それは形だけで,実際には役夫が引いていきます。ただし時代が下ると,柩は担いで行くようになり,この風習はなくなりました。
挽歌
挽歌もまた葬送の列には欠かせません。伝説によれば,漢の劉邦に臣属するのをよしとせず自害した斉国の貴族田横を,門人が悲しんで歌ったのが始まりだとされます。
挽歌には2種類あり,
薤露…王侯貴族の葬儀 蒿里…士大夫および庶民の葬儀
これを柩を引くものが歌うのですが,その挽歌の歌い手にも段階がありました。唐代には
三品以上は6列30人 六品以上は4列16人
全員白い絹でできた単衣の筒袖を着て,大きな鈴を手に持って歌います。
路祭
墓地への途中には,参列者たちが祭壇を設けていました。幕を張り作り物の花や果物,人型などを供え,故人に対する哀悼の意を表します。
隊列は,祭壇ごとに停車して祭祀を行うのですが,これもどんどん派手になっていき,墓地に着くまでに,何時間もかかったようです。
及墓
墓地に着くと,明器を並べて最後の儀式を行い,遺族たちが哀哭した後,柩を墓に納めます。その後喪主が頭を地面に打ち付けながら哀哭する傍らでは,后土すなわち大地の神に対する祭事が行われます。
墓の形にも等級がありました。
大小
公侯 100方歩 一品 90方歩 二品 80方歩 三品 70方歩 四品 60方歩
五品 50方歩 六品 20方歩 七品以下および庶民 20方歩
高さ
公侯 20尺 一品 18尺 二品 16尺 三品 14尺 四品 12尺 五品 9尺
六品 7尺 七品以下 6尺 庶民 4尺
※度量衡は時代によって変わってきます。
形状
一品 首が螭(龍の一種)で台座が亀 二品 首が麒麟で台座が亀
三品 首が天禄または辟邪(どちらも伝説上の神獣) 四品~七品 首が円形で台座が方形
庶民 台座なしの小型の墓碑
出典:『喪葬史』など
上海文芸出版社