煮大豆と藁が出会い納豆が生まれました
ほぼ毎朝、納豆を食べています。私のように納豆をよく食べる人と納豆は大嫌いという人がいます。この個性的な食べ物の起源の記事です。
後三年合戦の伝説
かなり前のことですが、納豆は後三年の役(後三年合戦)で誕生したという話を知りました。
後三年の役、あるいは後三年合戦とは1083年~1087年に現在の秋田県横手市で起きた合戦です。当時の地元の有力者清原氏の内紛に、陸奥国守だった源義家(八幡太郎義家)が介入して起こった戦です。
源義家軍の兵糧として煮大豆を農家に差し出させたところ、煮大豆が容器の俵のなかで発酵して匂いを放ち糸を引いていました。これが案外美味しいというので納豆として広まったという伝説です。
縄文時代からあった!
一方、全国納豆協同組合連合会では、稲藁の納豆菌が煮大豆を発酵させて納豆ができるのだから、稲作も大豆も渡来してきた縄文時代には納豆があっただろうとしています。
縄文人の竪穴式住居には稲藁が敷物として使用され、そこに煮大豆が落ちたりすれば納豆菌の働きで糸引き納豆ができる、という説明です。
納豆菌
納豆菌は枯草菌の1種あるいは枯草菌の仲間です。そもそも枯草菌は土壌や枯れ草に住む細菌で、熱、酸、アルカリに強く毒性は低いのだそうです。
日本産の稲藁には約1000万個の納豆菌の胞子がついています(数えた人、すごいです)。納豆の匂いは
大豆由来の揮発成分
大豆を煮たり蒸したりして発生する揮発成分
納豆菌がタンパク質を分解したときに発生する揮発成分
などがまじりあの匂いになります。
発酵と腐敗
ところで、発酵と腐敗は何が違うのでしょう。
発酵と腐敗は人間の視点で決めたことで、どちらも微生物のちからで物質が変化することを指し示しています。人間にとって有益なのが発酵。有害なのが腐敗。
糸を引かない納豆も、納豆菌ではなく麹菌で発酵したものです。これは保存食としてお寺で作られたのが始まりなので寺納豆と呼ばれたりします。
納豆に感謝してます
糸を引く奇妙な豆を食べた最初の人は、好奇心がとても強い人だったのか、とても空腹でたまらなかった人だったのか、強い匂いが腐敗臭ではなく美味しい発酵臭だとなんとなくわかった人だったのか。
いずれにせよ、納豆という簡単にタンパク質をとれる食品を見つけてくれて本当にありがとうと言いたいのです。
そして納豆そのものにも。大豆よ、藁と出会ってくれてありがとう。藁よ、納豆菌をたくさんくっつけてくれてありがとう。
参考資料
横手市観光協会ホームページ
全国納豆協同組合連合会納豆PRセンターホームページ
植物・ガーデニング情報をWEBマガジン BOTANICA
マルコメ株式会社ホームページ 発酵美食
画像は『後三年合戦合戦絵巻』文化遺産オンライン