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クレープの魅力

こんにちは!戸越銀座で「NagiCrepe」というクレープ屋さんを経営している、渚です。

今年の5月31日にオープンして、早2か月ちょっと。
最近知ったのですが、戸越周辺の「オープン行列」というのはこのあたりではまぁまぁ有名みたいで。

「オープンしたての店舗(特に飲食業態)にはとりあえず飛んで買いに行く」という方が多いらしく、毎回必ずと言っていいほど行列ができるみたいです。

そして、オープン景気が終わった後はお客さんがかなりバッと減って、そのあとに「どれだけ常連さんを作れるか」「どれだけ地域に馴染めるか」が、1年以上生き残れるかどうかの肝になってくるらしいです。

猛暑もあり、7月の売上は6月よりかなり減ってしまったのでどうにか耐えていきたいところですね。スムージーとかやろうかな…


・・・とまぁ前置きはこのくらいにして。
今回は、”クレープ”という商材の魅力について語りたいと思います。

そもそもクレープって??

そもそもクレープってなぜ「クレープ」というのでしょうか。
「クレープ」という名前は日本で浸透しているので、存在自体は皆さん知っていると思いますが、実際、謎の単語ですよね。

料理の由来は、フランスの「ガレット(仏:galette)」(そば粉で作った薄い生地)が由来になっているという説は多くの人が聞いたことがあると思いますが、「クレープ」という単語からは程遠いですよね。

軽く調べてみると、

焼いた際にできるこげ模様が縮緬(ちりめん)を連想させることからクレープ(「絹のような」という意味)と呼ばれるようになった。

Wikipedia「クレープ」

ということらしい。なるほど…!

歴史としては、庶民が食べていたガレットを、貴族の人たちが食べて気に入ったことで、当時高級だった小麦粉や牛乳、バターなどで作るようになって、それを「クレープ」と呼ぶようになったらしい。

まぁ歴史の話はここまでにして、そろそろクレープの魅力についてお話します。前置き長くなりました。

個人的には、「薄い皮で何かを包んでいたらなんでもクレープだい!!!」と思っている派です。

お店側から見たクレープの5つの魅力

※ここでは、”日本で作られている”クレープについて、私が考える魅力を話します。

クレープは、もちろん「食べる側」から見てもたくさんの魅力があります。
他のスイーツにはあまり無い、薄い皮にクリームがたっぷり入っているところだったり、薄いのにもちもちしている生地だったり、パリパリが良かったり、”かぶりつく”という体験が楽しかったり。

でも今回はちょっと視点を変えて、お店を経営する側(=クレープを提供する側)から見た、クレープの魅力をお伝えできればと思います。


私が考える、クレープを”製造・販売するお店側”から見たクレープの魅力は

  • アレンジが無限大

  • 短い時間で”作りたて”を提供できる

  • 設備投資が比較的少ない

  • 菓子類の中では比較的単価を上げやすい

  • 夢がある!

の大きく5つです。
それぞれ、少しずつ解説していきます。


アレンジが無限大

クレープというと、
・手で持って食べ歩きをする手持ち型
・お皿の上でナイフとフォークで食べるプレート型

の、主に2種類の形があります。

うちのお店で扱っているのは1つ目の手持ち型です。テイクアウト店は基本的にこの形ですね。
今回の記事では、手持ち型クレープの魅力をメインに書いていきます。

手持ちのクレープというと、大体イメージするのは同じような形(三角コーン型)かと思いますが、その中身次第で無限に近いアレンジができます。

当店の代表作「和風スペシャル」。
わらび餅や抹茶クリーム、粒あん、きな粉、黒みつ等が入っています。

中に入れるトッピングを変えるのはもちろん、クリーム自体の味や種類を変えたり、アイスを乗せたり、もしくは生地に色や味付けをしたり。

味も見た目も、どんなものでも表現できるのがクレープなんです。

だから、色んな食材との組み合わせを考えたり、好きなキャラクター等とのコラボができたり(許可を取った上で)、できる幅がとても広い!

その結果、普通にお店の商材としても優秀ですが、何かテーマを持ったイベントにも、臨機応変に対応できちゃうんです。


友人に頼まれて、イベント用の冷凍クレープをミニサイズで作りました。

まぁ正直、「アレンジの幅が広い」という点はパンとかお菓子にも当てはまるのですが、クレープは「シルエット(型)」が基本的に決まっているので、新しい商品を考案しやすいのです。
完全に自由に商品開発するより、ある程度制約やルールがあった方が、考えることが適度に減っていいじゃんということです。

AIに作ってもらった「チョコバナナクレープ」
なんともあの形を説明するのは難しいですね。挫けました。



短い時間で”作りたて”を提供できる

なんでも、「焼きたて」「作りたて」って、美味しいですよね。特にお菓子やパン系。
もちろん冷めた方が美味しくなるものも多々ありますが、基本的に粉物やクリーム系は、時間が経つほど乾燥したりダレてしまったり酸化してしまったりで、焼きたて(もしくは冷ましてすぐ)が一番美味しい瞬間です。


クレープは、生地を焼く~完成して提供するまで、簡単なものであれば最短2~3分ほどでできます。

他のパンやスイーツは、「焼きたて」の状態を作るために10分以上時間がかかったり、時間帯が決められてしまっています。
例えばパンだと、発酵したり焼成したりするのにかなり時間を要する+「いつ焼きあがるか」を直前には調整できません
同じ粉物スイーツという点でたい焼きなどもありますが、やはりそれも焼きあがるまでにある程度時間が必要なので、注文されるタイミングがかなり良くないと焼きたてにはたどり着けません。

その反面、クレープは生地がとても薄いため、注文をもらってから焼き始めても1分~3分で焼きあがるし、生地が冷めるスピードも速いので、数十秒でクリームを入れられる温度まで冷ますことができます。

つまり、生地を混ぜたりトッピングを用意しておいたりを事前にしておけば、注文をいただいてから作り始めることで、(お客さんには少し待ってもらいますが)いつでも出来立てを提供することができるのです。

他のスイーツやパンにはない、クレープならではのメリットかなと思います。


設備投資が比較的少ない

クレープは究極、丸い鉄板とトンボ(クレープを伸ばすT字型の棒)があればすぐに始められます。
(もちろん、厨房に最低限必要な冷蔵冷凍庫やシンク、作業台は必要ですが)

他のスイーツやパンは、大きなオーブンや窯、発酵機などが必要になってきますが、クレープは、上記2つ道具で本格的なクレープが作れてしまうんです。

そして、もし機器が壊れてしまったというときも、大損失になることは少ないし、新規開業や店舗移転も、他の業態よりは設備的には簡単です。

実際私がクレープのキッチンカーを始めたときの初期費用は、車代込みで70万円程でした。今思うと破格ですね。当時はドキドキする費用でしたが。

そんなに参入しやすいなら飲食店はクレープ屋さんだらけになりそうですが、実際にみんなが飛びつかない理由はあるんですよね。焼く技術の問題だったり、商材自体のニーズの問題だったり、ロスの問題だったり。


菓子類の中では比較的単価を上げやすい

この点は、私がパン屋さんやお菓子屋さんをやりたいと思っていたのを諦めて、クレープ屋さんへ転身した理由の1つです。

元々私は「お菓子屋さんかパン屋さんを開きたい!」と、高校生のときから夢見ていました。
大学生でクレープのキッチンカーを開業したのですが、そのときは、商品単価の問題というよりは、上で書いた「初期費用が少ない」という点でクレープを選びました。

そして、社会人になって「次こそは、お菓子とパンの店舗を開きたい!」と思ったときに、収支計画をざっくり考えていたら、「あれ?自分が買いたいと思えるくらいのお菓子の単価だと、人件費ゼロとかじゃないと成り立たないぞ…!」みたいになってしまいました。

街のパン屋さんやお菓子屋さんの商品って、1つ500円以上するものってほとんどないですよね。
生地を混ぜて捏ねて発酵して焼いてトッピングして包装して、、、で、やっと売れた商品が150円~300円、みたいな感じ。(高単価なパンやお菓子は別として)

そこで、キッチンカーでやっていたクレープを思い出して、「クレープだったら、高級なものじゃなくても、1つ500円でも納得してくれる人が多いはずだ(というか実際キッチンカーで500円で安いと言われることが多かった)」と。

そうして、クレープと焼き菓子と2本柱で店舗をオープンしたのですが、結局お客さんの目当てがほとんど「クレープ」だったので、結果クレープ屋さんに落ち着いた、という経緯がありました。


「なぜクレープは単価を上げやすいか」という話ですが、3つ理由があると思っています。

・クレープはみんなの中で「菓子類」というよりは「ケーキ/パフェ類」というイメージが強いから
・家庭で作るのがなかなか難しいものだから
・出来立ての”ライブ感”で体験価値をプラスされているから

ケーキとかパフェって、1つ500円以上するものは普通にありますよね。それでも超高級、というイメージではないし。
「クリームと生地を使っている」という点で、クレープも同じような立ち位置にいるのかなと思っています。

また、クレープの鉄板は特殊なので、家庭で持っている人はあまりいません。対してお菓子やパンだと、クオリティに差はあれど家庭にあるオーブンで基本的に作れてしまいます。
やはり、「外食や外で買うものは家庭では作れないものがいい」というのは、スイーツ分野でもある程度あるのかなと思います。
クレープは「お店で買って食べるもの」というイメージが付いているのかもですね。

そして”ライブ感”については前述したとおりですが、「クレープを片手に食べ歩きする」という体験にも、商品と同等かそれ以上の価値を感じている人も多いのではないかなと思います。


ということで、「クレープは他のお菓子やパンに比べて商品単価を上げやすい」というのが、お店側から見たクレープの魅力の1つです。


夢がある!

クレープには夢があると思いませんか!!!

論理的な理由はありません!!!

でも、小さい子と親御さんだったり、彼氏と彼女だったり、ご夫婦だったり、友達グループだったりが、わいわい笑いながらクレープ片手に道を歩いていたら、なんだかほんわかしませんか?

こういう笑顔で食べてくれる子には本当に癒されます…

「クレープ片手に笑顔になっている」という画が、「夢があるなぁ」と、いつも思っています。

クレープが花束っぽい形をしているからかな?

お店をやっている私の意見ですが、やはり自分の作ったクレープを片手に笑っている人たちを見ると、何とも言えない幸せな感情になりますね。

まとめ

ということで、今回は、お店側から考えるクレープの魅力について書いてみました。
私は、キッチンカー含めると4回クレープ屋さんを開業してきたのですが、やっぱり毎回「クレープっていい商材だなぁ」と思っています。

もちろん、クレープならではの、他のスイーツやパンには無い悩みや課題もたくさんあります。
そこに向き合っていくのが、今後やっていきたいことですね。色々noteも書いていきたいなと。

とりあえずこの辺で。

クレープで笑顔になる人が増えますように!!!
と思ってやっています。

ぜひ戸越銀座来た時はお立ち寄りください~😊

https://instagram.com/nagicrepe/


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