【エッセイ】生きると死ぬの狭間で
生きていたくない。
疲れてしまった。人生そのものに。
これは今に始まったことではなく、数カ月……いや、数年前だったか。とにかく前から思うこと。
朝起きるのが億劫、身支度が億劫、外に出て、人と話すのも億劫。特に最近は寒いから、こたつから出たくない。
何もしたくない。何も考えたくない。ずっと床に落ちて寝ていたい。
見えるはずのない未来になんて希望は持てない。向かう先が明るくないなら……楽になれると約束されていないなら、別にこのまま消えてしまったって構わない。
生に特別執着があるわけじゃない。成し遂げてみたいことはあるにはあるけど、望み薄。簡単じゃない。少年漫画みたいに熱い性格でもないから、叶わなきゃ叶わないで、まあ、仕方ない。こんなに無気力なやつが目標達成なんてできるわけない。
これほど怠惰に毎日生きるくらいなら、消えたって変わらないんじゃないか。希望がないまま生きるのがつらいとか、それとは少し違って、生きててもしょうがないんじゃないかとか……あまり変わらないか。
でも、だからといって、死にたいとは思わない。少なくとも、積極的には。
人が一人死んだときの、周りの心労を考えたら、そんな無責任に終わらせるのは躊躇う。私が死んで悲しむ人がいる……それもまあ、ありがたいことに、あるけど、人が死んだら、親族は各種手続きをしなければならなくなるから、そこに割く心労を考えれば、簡単には……できない。
だからいっそのこと、動かなくても許されるものになりたい。石とか。誰かに蹴られて側溝に落ちて、誰にも見つからず、日も当たらない場所にひとり。そして流水に侵食されていずれ消えていくんだ。ちょうどいいじゃないか。
なんて空想に耽ってみるけど、どう頑張ったって姿かたちは人間のままだし、惜しいことに人権はあるし、社会というデカすぎる枠から外れることはできない。(なんて酷なんだろう……)
だから、“積極的に”生きることも死ぬこともできないまま、中途半端に息だけしている。
そんな一日が、性懲りもなく、またやって来る。
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