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日射遮蔽と日射取得を両立するための方法をいくつか上げてみた
今回は、おひさまに素直な設計を具体的なやり方をお伝えします
おひさまに素直な設計をする意味はこちら
前回の記事でも説明したように、省エネでランニングコストのかからない家づくりをするためには、断熱性能よりも先に日射取得と日射遮蔽を適切に行うべきだという話をしました
日射取得と日射遮蔽は、一見すると矛盾する概念のように感じられるかもしれませんが、両立することが可能です。
その具体的なやり方を説明します。
まず、改めて設計の目標はこんな感じになります。
・夏の暑い時期は、室内に直射日光が入らないようにしたい
・冬の寒い時期は、積極的に日光を取り入れたい。
これを実現するためには、おひさまの動きを理解する必要性があります。
皆さん知っての通り、太陽の角度は季節ごとに異なります。
夏は高く、冬は低い軌道で動いています。
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つまり、夏の直射日光は急な角度で落ちてくるのに対し、冬は、緩い角度で差し込んでくるのです。
ここで、夏の暑い日差しを遮蔽するために、庇(ひさし)を伸ばします。
庇とは屋根のことです。
どれくらい伸ばすかは、窓のサイズで変わります。
窓の下端から、軒天までの長さに対して30%の比率で外壁から庇を出してください。
そうすると、以下の画像のように真夏の太陽の日差しをうまい具合にカットして、窓からの侵入を防ぐことができます。
(画像はネットから適当に拾ってきました、ごめんなさい)
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この比率で、庇を出しておけば冬場でも日差しは入ってきます。
冬は太陽の高さが低く、冬至の日は地表面から30°の高さまでしか上がってきません。
なので、日差しに遮られることもなく室内に日射を取り入れることができるのです。
ちなみに、庇で日射遮蔽ができるのは、「南面」だけです。
東と西面は太陽の角度が低くなるので、庇ではカットできません。
では、夏季に東西面の日射遮蔽をするためにはどうすればいいかというと、
アウターシェードを使いましょう。
アウターシェードというのは、こんなやつです。
窓の外側に取り付けます。
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アウターシェードでなくても、カーテンやブラインドを閉めればいいじゃん、と思う方もいらっしゃいますが、中で遮るのと、外で遮るのでは効果が全く違います。
カーテンなどは、窓の内側で日射を遮るものなので、カーテンの裏側の空気の温度は上がっており、その空気はカーテンの横や下から回り込んで結局室内に流れ込んできます。
アウターシェードは、外側で遮るのでそういったことは起こりません。
今説明した内容の他にも、落葉樹を使用するという手段もあります。
落葉樹というのは、夏は葉っぱが生い茂り、冬には葉が落ちる樹種のことです。
有名どころだと、サクラやカエデなどがそうですね。
その他にも一杯あります。
これらの樹種を南面に植えておくことで、夏は葉が日光を遮り、冬は葉が落ちて、光を通すようになります。
既に建物を建ててしまって、庇の出を変えられない、という方におすすめです。
今回は、日射遮蔽と日射取得の実践編についてお話しました。
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