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人に撮られた自分の顔は。

一緒に遊んだ一人の帰り、適当に撮ってもらった写真が送られてきた。思ったより年相応だな、すごく太ったな、なども思ったのだが、一番おどろいたのは自分の表情だった。

誰が見ても明らかに楽しそうな顔だな、私。

楽しかったのは間違いない。だが、私は前日から「寝坊したらどうしよう」という不安から、眠れないまま約束の時間に直行したので寝不足だった。胃の調子も悪かったし、あまり食べられなかった。途中、道に迷って遅刻もした。

一緒にいた友人の写真技術が高かったのか、いや、それにしてもすごくニコニコしている。自分では写真に写っているより虚無の気を抱えていたので、実際はもう少し暗い感じでいた。だから、内面と外面でギャップがありすぎている。

私は普段から知らない人に声をかけられることが多いけど、これが理由か。私は無表情のつもりでいても、もしかしたら楽しそうに見えるのかもしれない。「誰でも受け入れます!」みたいな顔をしているというか。

もしかして、ひとりで楽しそうにしている人を見ると、知らない人でも声をかけたくなってしまうのかしら。「なんか楽しそうにしている人がいるな! 声かけたろ!」みたいな感じだったのかもしれない。できれば遠慮して。

写真を撮った友人は「可愛いね」って褒めてくれたけど、恥ずかしかったし、すこしばかり複雑だった。必要に迫られて自撮りする時の顔は可愛くないと思う。真顔だからでもあるし、私の容姿は良くないから。

友人が撮った写真の中の私は、たしかに可愛いかも、と思った。こんなに楽しそうに隣に居てくれたら、誰だって嬉しいとさえ感じてしまいそうだった。

誰かの隣でただ楽しく笑ってみたいと思っていたけれど、最初から叶える必要などなかったのだとしたら。自分は自分のままでいてもいい。もうすぐそれを許せるような、そんな気がする。


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加納ちひろ|aの檸檬
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