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C37 困るから考える

トーマス主任に向かって、「ちょっとしたアイディアがあるんだけれど、試してみてもいいですか?」と頼みました。トーマスは手を休めることなく、「何だって?どんなアイディアだ?」と尋ねました。「みんながシートを敷くのに苦労しているようなので、少しでも楽になる方法があるかもしれないと思いまして。」と答えると、「オーケー、イキオ。やってみろ。」と言ってくれました。「わかりました。ビニールシートを一枚取って私に渡してください。」と頼むと、トーマスはすぐにビニールシートを渡してくれました。

シートを敷くタイミングは、収穫用のトレーを吐き出し口の下にセットする時ですが、風が邪魔してなかなか敷けません。そこで私は、横に積んである空の収穫トレーにあらかじめシートを敷いておくことを提案しました。トレーが果実でいっぱいになるまでには多少時間があるので、その間に前もって空のトレーにシートを敷いておけば、シートを敷く手間が省け、下敷きになって無駄になる果実も減るはずです。

私は、トーマスから受け取ったシートを横に積んである空のトレーに敷いてみました。トーマスは私のアイディアの意図を理解したようですが、実際にやってみないと効果はわかりません。果実がどんどん溜まるのを見ながら、トレーを取りかえるタイミングを図ります。トーマス主任の合図で、ブラックカーラントでいっぱいになったトレーを彼が後ろの積み上げスペースに置き、私は空のトレーを機械の収穫口にセットします。シートはすでに敷いてあるので、その手間が省けました。

しかし、手で押さえていなかったシートは、風にあおられてあっという間に後方に吹き飛ばされてしまいました。トーマスが新しいシートを取り出し、二人で再び敷き直しました。残念ながら、詰めが甘かったため、シートは風で飛ばされてしまいます。そこで、何か重しになるものを先に入れておけばシートが飛ばないと考えました。

私は周りを見渡し、目の前にあるブラックカーラントの実を重しにすることを思いつきました。「もう一枚くれ!」と頼むと、トーマスはやれやれといった感じで、もう一枚のビニールシートを渡してくれました。私は再度空のトレーにビニールシートを敷き、今回は2握りほどのブラックカーラントを吐き出し口から手に受けて空のトレーにばらまきました。特に隅の方に散らばるようにしました。トーマスもそれを見て軽くうなずきました。

次に、トレーが一杯になったら、改良型のトレーをセットしました。強い風が吐き出し口から出てきますが、すでに少量の果実を敷いているのでシートは飛ばず、見事に果実が収穫されていきます。「イキオ、イエス、ブラディアイディア!」とトーマスは喜び、ハイタッチを求めてきました。身長の高いトーマスとのハイタッチは少し無理な体勢になりましたが、二人とも狭いトレーラーの上で喜びました。

補足情報:困ることがあるから目の前に現れた問題を解決することで進歩がある

日常生活や仕事の中で、さまざまな問題に直面することは避けられません。これらの問題を解決する過程で、新しい発見や技術の進歩が生まれることがあります。問題を前向きに捉え、解決策を見つけるための創造的なアプローチが重要です。

例えば、農業の現場での問題解決の一例として、収穫作業中に風でビニールシートが飛ばされるという問題に直面しました。この問題を解決するために、事前にシートを空のトレーに敷いておく方法を考え、さらに果実を重しとして使用することで、シートが飛ばされないようにしました。このように、困難に直面したときこそ、創意工夫と実験を重ねることで効果的な解決策を見つけることができます。

困難な状況に直面したときにこそ、冷静に対処し、問題解決のための方法を模索することが大切です。行動を通じて経験を積むことで、新しいスキルや知識を得ることができ、さらなる成長と進歩につながります。問題を解決する過程で得られる経験と知識は、将来の課題に対する備えとしても重要な資産となるでしょう。

続く…


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