「沈みゆく村」インドネシアTimbulsloko(ティブルスロコ)村の状況を宇宙から見る
NHK BSスペシャルでの放送
NHK BSスペシャルの再放送でこの番組を見ました。
インドネシア ティブルスロコ村の現状です。
番組では現地の様子を中心に海面上昇の影響を取材していました。
その中、一瞬ですが、研究者の方が空もしくは宇宙から見た画像を使った解析結果らしきものが映っていました。
ジャカルタなど都市化が進み、地下水の過度の汲み上げによって地盤沈下が起こっていることはSARの解析などから知ってはいましたが、これに温暖化による海面上昇が加わり、一段と居住環境が危機に瀕しているというのを見ると、やはり衝撃的です。
National Geographicでも先立つ何年も前から報道されてます(英語版推奨)。
GoogleのTimelaps(Trueカラー画像)で見る
地球環境モニタリングをリモートセンシングを通じて行うことに長い事関わってきた者として、これはその視点からも見てみないといけないなと思い、まずはGoogle Timelapseを見てみました。以下のリンクがそれです。
場所は取材の中心、Timbulsloko村です。
なお1倍速だと表示が速すぎるので、0.25倍速推奨です。
この画像は人工衛星LANDSATのデータを使用し、Trueカラー合成をしたものです。期間は1984年~2022年まで。
LANDSAT自体は1号機からの歴史がありますが、当初は青のセンサーがなく、一般に言われるTrueカラーは作れません。Naturalカラーという表現もありましたが。
Falseカラー画像で海面上昇の様子を見る
ただし、Falseカラーは初期データからも作ることが出来ます。
一般にFalseカラーと言うと緑、赤、近赤外のバンドを、表示の青、緑、赤に割り当てて表示したものを指しますが、これであれば、当初のデータセットから作ることが出来ます。
これは陸水の区別(陸海の区別)はつきやすい組み合わせなので、今回の目的には適しています。ただ、植生のある場所(森林や農地)は赤く表示されるため、画像を見る際には注意が必要です。
水域は暗い色になります。海など水深がある場所では黒、浅くなると青く見えます。翻って、この場所は水に沈んでいるわけですから、暗い色を呈している場所になります。下記は、そのデータについて動画を作成したものです。
この動画は、Google Earth Engineを用いて作成した画像を、動画ソフトで編集してTimelapseにしたものです。
画像の作成方法の詳細は別の機会で説明しようと思いますが、概要は以下のとおりです。
Google Earth Engineによる画像作成方法の概要
Landsat1~9号すべてのデータ(運用されたもののみ)を対象とする
範囲はティブルスロコ村役場を中心とする約20km四方の範囲
熱帯地域なので雲の影響が無視できず、あまり閾値を厳し目にすると、画像数が少なくなってしまうが、使用画像の雲量は30%までとする
1年単位でmedian合成をして、当該年のデータとする(最終年2024年は使える範囲(5月)まで)。※ピクセル単位で合成をしているので特定の日付の画像ではないことに注意。
Landsat7号は途中から横縞のノイズ(ストライピングノイズ)が入るようになったので、他に使える衛星が一切ない場合のみ採用する
1年毎の結果はgeotiffで書き出し、動画ソフトでキャプションなどを加えて仕上げる。※Timelapse動画の作成までGoogle Earth Engine上でできますが、キャプション設定が大変なので普通のソフトで行いました。
以下の画像は、1988年と2023年のデータをもとにした2つの結果を示したものです。暗いエリアが増えており、様々な対策努力(海岸線に植林する)もあるものの、海水がだいぶ内陸に入り込んでいるのがわかります。
画像、左に見えるのがスマラン市街ですが市街地の拡大も見られます。
番組の中では被害を避けるように移住する人、その場に残る人、様々な様子が描かれていました。このような問題が実際に各地で起こっていることが多くの人に知られてほしいと思います。
今回は以上です。
最後に
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
普段は北海道に本拠地を置くNPOに所属し、環境保全を主な題材としてGISやリモセンに関する仕事をしています。
コンサベーションGISコンソーシアムジャパンの活動及びこのnoteでの活動はボランティアで行っているのですが、何分資金が不足しています。
もしサポートしてもいいなという方がいらっしゃいましたら、そちらもよろしくお願いします。
noteの中の人は都内に居るので、お仕事などお声がけいただければと思います。
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