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認知症介護の奮闘記3/5

忘れゆく父の介護をへて

地域包括ケアフリーペーパー「さくらみち」2024年3月号掲載


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父からの同じ質問の繰り返しを煙たがる娘たち。父の言動や行動に苛立つ夫。

ある日の夕食のこと、父が勝手に保険を解約したことを責めたことを発端に、父と夫は、これまでのストレスを爆発させて、激しい言い争いを始めました。「認知症だから」と頭では理解していても、どうしても辛辣にあたってしまいます。私が止めに入ったところで、二人は緊張で泣いてしまった娘たちに気付きます。

家族の崩壊を感じさせる静寂のあとで父は、「皆で…おれを除け者にして!」と、嗚咽をあげて泣くのです。

頑固者で恰幅がよかった父が小さくなっていたことに、今更ながら気づいたのでした。進行する認知症への自覚と恐怖感にくわえ、私たちのストレスを察して、孤独を感じていたのだと思います。

介護の道を歩むなか、私たち家族は福祉サービスによって大きな支えを得ましたが、同時に、家族が一丸となり協力することが、認知症との向き合い方において不可欠であることを、痛みを伴って体感することとなりました。

訪問介護やデイサービスは、私が休息できる時間を作り、同時に父にとっても新しい刺激となりました。私の限界を理解した家族とは、この出来事を経て負担を分かち合うことができました。

認知症の介護は、個人だけでなく、家族全体が巻き込まれるものです。次回は、家族で共有する大切な決断についてお話しします。


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