スタートアップ経営者が知っておくべき経理・労務の現実と打ち手
今回は2回目の記事として、スタートアップがバックオフィス(管理部門)業務を積極的にアウトソース検討した方がよい理由と、その期待効果について記載させていただきます。
はじめに
「経理や労務の業務って本当に内製化すべき?」 「専門家に任せた方が良いのはわかるけど、コストが心配...」
スタートアップの経営者として、このような悩みをお持ちではないでしょうか。
私は様々な企業のバックオフィス業務を経験してきた中で、特に成長企業が経理・労務の内製化で苦労するケースを数多く見てきました。
1. スタートアップの経理・労務における3つの落とし穴
①人材採用・育成のコスト
実例:ある20名規模のスタートアップでは、経理担当者の採用から実務習得まで約半年かかり、その間の機会損失は計り知れませんでした。
②法制度対応の複雑さ
源泉徴収
社会保険
年末調整
各種届出 → これらは「知らなかった」では済まされません
③拡大期の対応の難しさ
従業員増加による給与計算の複雑化
取引先の増加に伴う経理処理の増大
資金調達に向けた財務管理の高度化
2. リアルな数字で見る内製vs外注
経理業務の場合
<内製化の場合>
年間総額:約414万円
人件費:30万円/月
社会保険料(会社負担):4.5万円/月
<外注の場合>
年間総額:約180万円
基本料金:15万円/月
スポット対応:必要時のみ
労務業務の場合
<内製化の場合>
年間総額:約414万円
人件費:30万円/月
社会保険料(会社負担):4.5万円/月
<外注の場合>
年間総額:約180万円
基本料金:15万円/月
スポット対応:必要時のみ
※注書きですが会社規模に応じて外注費も可変ですので、一例としてお考え下さい。また、会社ステージによっては経理と労務を1人で回している企業もありますが、場合によっては上記のように経理と労務を同時にアウトソースすると効率的に回せるケースになる事もあります。
3. 成長フェーズ別の最適解
シード期(1-10名規模)
推奨:完全外注
理由:コア事業への集中が最重要
具体策:クラウド会計+外部専門家
アーリー期(11-30名規模)
推奨:ハイブリッド型
理由:一部内製化の検討と専門性確保
具体策:社内担当者+外部サポート
グロース期(31名以上)
推奨:段階的内製化
理由:ガバナンス強化の必要性
具体策:専門部署設立+外部アドバイザー
※アーリー期やグロース期でも完全外注でまわすのも当然にありだと思います。
4. 具体的な成功事例
Case 1: SaaS企業A社(従業員20名)
課題:経理担当者の突然の退職
対応:フル外注に切り替え
結果:月30時間の経営者の工数削減
Case 2: ECサイトB社(従業員30名)
課題:労務手続きの遅延・ミス
対応:社労士事務所と顧問契約
結果:従業員満足度向上、採用力アップ
5. 今すぐできるアクション
現状の業務工数の可視化
コスト比較表の作成
外部リソースの検討
まとめ:経営者としての判断のポイント
経理・労務の内製化は「できる」ではなく、社内工数をかけて敢て「やるべきか」の判断が重要です。
特にスタートアップフェーズでは、限られたリソースをコア事業の成長に集中させることこそが、経営者としての重要な役割ではないでしょうか。
バックオフィス業務の最適化についてご相談がありましたら、ぜひお気軽にこちらまでご連絡ください。