世界で活躍するローランド・ベルガーがアパレル・化粧品業界についてリスクシナリオを公開しました。
コロナ禍において、世界的に有名なコンサル会社であるローランド・ベルガーが業界分析とリスクシナリオを公開しているので共有します(2020年4月22日付)
甚大な影響を受ける業種はアパレル・化粧品業界
新型コロナウイルス(COVID-19)によって甚大な影響を受ける業種は、アパレル・化粧品領域であり、今後の見通しは全くついていないとしています。
アパレル・化粧品業界における国内市場の今後の予測
1年以上の長期化を予測する専門家や第2・第3波のリスクを指摘する研究機関もあるとしています。見通しがつかない中でリスクシナリオを3パターン設けてその場合の将来予測と対策案を記しています。
3つのシナリオとその将来予測(アパレル・化粧品業界)
リスクシナリオは以下の3パターン(ABC)にて想定しています。
シナリオA:6月に終息し、夏は一時的に消費が活性化するシナリオ
シナリオB:8月に終息し、秋は一時的に消費が活発となるシナリオ
シナリオC:10月に一旦終息するも、消費は年末まで冷え込みそのまま不況となるシナリオ
各市場規模の2018年実績と2020年の予測値の実額対比は、下記の通りです。
【シナリオA】
アパレル市場は最大84%へ
9兆2,240億(2018)⇒7兆8,000億~8兆3,000億(2020)
スキンケア市場は最大89%へ
1兆9,090億(2018)⇒1兆7,000億~1兆8,000億(2020)
メーキャップ市場は最大84%へ
7,810億(2018)⇒6,600億~7,000億
【シナリオB】
アパレル市場は最大66%へ
9兆2,240億円(2018)⇒6兆1,000億円~6兆5,000億円(2020)
スキンケア市場は最大73%へ
1兆9,090億円(2018)⇒1兆4,000億円~1兆5,000億円(2020)
メーキャップ市場は最大66%へ
7,810億円(2018)⇒5,200億円~5,400億円
【シナリオC】
アパレル市場は最大52%へ
9兆2,240億(2018)⇒4兆8,000億円~5兆1,000億(2020)
スキンケア市場は最大62%へ
1兆9,090億(2018)⇒1兆2,000億円~1兆 3,000億(2020)
メーキャップ市場は最大52%へ
7,810億(2018)⇒4,100億円~4,400億(2020)
不要不急の商材が多いアパレル市場、メーキャップ市場においては、購買周期が安定しているスキンケア市場と比較すると、新型コロナウイルスによるインパクトが大きく、また、アパレル市場を価格帯別に①ラグジュアリー(高級)②トレンド(流行)③マス(全ての消費者が対象)の3つに分けると、ラグジュアリー市場が最も影響を受けやすく、シナリオCの場合、ラグジュアリー市場はほぼ半減するとしています。
シナリオB・Cが現実となった場合は、フラグメントで低収益の企業が多いアパレル業界は大打撃を受け、中長期的に多くの企業が倒産や吸収合併の憂き目にあう可能性が高いともしています。
個人的にはシナリオC、すなわち消費が年末まで冷え込みこのまま不況となる可能性が高いと考えています。おそらく同様に考えている方は少なくないのではないでしょうか。世界ではワクチンの開発に国家予算が多く投下され急速に開発が進められています。しかしワクチンが開発されたとしても年内に試験的に投与できる人は高齢者等でありサンプル数に限りがあります。そのためワクチンの効果が立証されない期間が相当期間続くと予想されます。
世界経済の回復を左右する最も重要な要因はワクチンであるためしばらく不安・不況が続くのではないかと思います。
ローランド・ベルガーは、今回のウイルス感染拡大は、アパレル・化粧品関連企業に対し未曽有の影響をもたらし、市場の構造変化のスピードも加速化するとしており、今後企業がとるべきアクションを言及しています。こちらは続編に記載したいと思います。
マッキンゼー&カンパニーが公開した今後のとるべきアクションは過去の記事に記載していますので下記URLを参照ください。
記事にいただいたサポートは、世界から貧困をなくすための活動に使わせて頂きます。