ディズニーが成長した理由はドメイン定義にあった!
今回はドメイン(事業領域)の範囲と定義について記載します。
ドメイン(事業領域)については過去の記事(下記URL)に記載してあるのでそちらを参照して下さい。
ドメインの範囲が狭すぎる場合
ドメイン(事業領域)の範囲が狭すぎる場合は、顧客ニーズに適合しにくくなります。一方で経営資源は集中しやすくなるメリットがあります。
ドメインの範囲が広すぎる場合
ドメイン(事業領域)の範囲が広すぎる場合は、経営資源が分散してしまいます。また、価値のない競争に巻き込まれます。一方で色々なニーズを取り込めるといった見方もできると思います。
狭すぎてもダメ!広すぎてもダメ!と言うことですが線引きはとても難しいと思います。私が思うには、このバランスを意識して検討することに意味があるのだと思います。
次にドメイン(事業領域)の定義について説明します。ドメイン(事業領域)には2つの定義があります。
①物理的定義
物理的定義とは「モノ」を中心にドメインを発想することを意味します。
例えば、鉄道会社が自社の事業領域を「鉄道の会社」と定義することや、映画会社が自社の事業領域を「映画の製作」と定義することが挙げられます。
このようにモノを中心とした物理的定義は製品・サービスが具体的になりますが、デメリットは、事業活動の展開範囲が狭くなり既存の事業領域を超える(イノベーション)発想が出来にくい点にあります。
②機能的定義
機能的定義は「コト」「顧客のニーズ」を中心に発想することを意味します。
例えば、映画会社が自社の事業領域を「エンターテインメント」と定義することが挙げられます。
このように「コト」「顧客のニーズ」を中心とした機能的定義のメリットは、解決すべき問題や顧客のニーズに焦点をあてており、事業の将来の発展性を感じさせるという点にあります。一方でドメインが抽象的になりすぎて、顧客や商品・サービスがハッキリしなくなるリスクもあります。
事例で見る:企業の成長・衰退を左右するドメインの定義
事業ドメインの提唱者で知られる、セオドア・レビット博士は、著書の中で鉄道会社を例に出し、鉄道会社の事業が停滞した理由を「自社を鉄道会社だと定義していたからだ」と語っています。
つまり、鉄道会社が自社を鉄道会社だと定義したままでは、同じ顧客の似たニーズに対して、鉄道を超える事業展開ができずに、自動車や飛行機関連の企業との競争に勝つことはできなくなります。
移動手段を求める人々は、近場であれば自動車を利用し、より遠方であれば飛行機を利用したいと考えます。その方が効率が良く利便性が良いからです。
鉄道はこの中間の距離を移動する際に効率が良く利便性が良いと言えます。
少し視野を広げ、例えば事業領域を「人やモノの移動時間を最適化する」「移動のその先を創造する」と機能的に定義した場合は事業展開が変わったのではないでしょうか。これはあくまで結果論ではありますが、ドメインを検討する際に有効な考え方だと思います。
他にもディズニーを例に出し、「ディズニーは映画制作会社ではなくエンターテインメントの会社として自社を再定義したため、映画のみではなく、テーマパークやグッズ販売などで幅広い顧客を開拓し成長した」とも語っています。
まさに上手くいった事例ですね!
ドメインは変化させる
ドメインは設定と定義づけが重要となりますが、もちろん時代の変化に合わせて変化させる必要があります。
自社は何者であるか?環境の変化はどうか?この先どんな未来が起こり得るのか?を強く意識した経営が今後より一層求められると思います。
既存事業を中心に経営資源を集中させることや、物理的定義により「モノ志向」に極端に偏ってしまうと、顧客のニーズや困りごとを見抜く視点がおろそかになってしまいます。このことを経営用語では、近視眼的経営またはマーケティングマイオピア(セオドア・レビット博士)と言い企業が衰退する要因の1つに挙げられています。
自分自身が以前いた業界である会計事務所は、今コンサルティング強化へとシフトしています。これはドメインの変化と言えます。しかし多くの会計事務所は既存業務から抜け出せずにいます。これは、「税務の代替品が無いから」や「改善を繰り返すことで顧客が喜んでいる」と思っているからです。これも近視眼的経営と言えるでしょう。
他にも多くの業界で同じことが言えると思います。今一度、ドメインを再検討することをお勧めします。
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