ご当地ヒーローを作ろう!
どうも、死に急ぐ生命の果実です。
ご当地に貢献したい。
というわけで。
もともと特撮は好きだしご当地ヒーローも好きなので、「地元を盛り上げるご当地ヒーローはどのように作るのか」ということに対して真剣に向き合いたいと思います。
特撮に造詣の深い諸氏がいれば是非アドバイスをいただきたく。
なお、本記事のイメージイラストはAIで生成してみた。
意外とそれっぽいものができあがるものである。
企画のコンセプト
まず、ヒーローの設定や造形自体よりも「ヒーローが戦う理由・守るべきもの」を考えるべきだろう。いわゆる作品のコンセプトである。
もちろん、打ち出したいのは地元のPRであるが、コンセプトが曖昧ではそもそもの土台や芯が揺らいでしまう。
戦う理由や守るべきものを描くためには、そのアンチテーゼである「なにが脅威なのか」を明確に設定しておくべきであろう。
つまり、「地元が何を脅威としているか」を分析し、具体化(あるいはキャラクター化)をする。
サンプルがないとどうも話がしづらいので、特に理由はなく、岐阜県のいち地方都市である「中津川市」を題材にしたいと思う。繰り返すが、特に深い理由はない。
海なし県ではあるが、河川や山など豊かな自然、宿場町や城跡などの史跡、そしてゆくゆくはリニアモーターカーなど新しい文化が融合する街である。
自然・歴史・文化。これらに対する脅威は何であろうか。
ここでは一旦、「地球温暖化と、それに伴う気候変動、そして海面の上昇」としてみよう。
温暖化により、自然のサイクルは乱れて農作物は不作、海面が上昇した結果河川は濁り、都市はじょじょに海に飲まれようとしているという設定だ。
なお、この世界線ではすでに愛知・三重、そして岐阜県の南側は水没しているものとする。
山に囲まれた岐阜県中津川市は、この地球温暖化に対する最後の砦なのである。
まぁ、エヴァンゲリオンにおける第三新東京市みたいなものである。
敵は海からの滅びの使者だ。
増えすぎた人間を滅ぼし、文明をリセットしようとする大いなる意思……、ざっくりとクトゥルフ的なものを想像してみることにしよう。
あれだ、ゲームボーイで出ていた「時空の覇者 Sa・Ga3」の異次元の水瓶みたいなものと言えば、わかる人にはわかるかもしれない。
大いなる意思の下、人類を滅ぼさんとする自然の脅威。
そして、それから人々と地元を守ろうとするヒーロー。
その対立構造だ。
とはいえ、自然と歴史と文化を守りつつも、その敵は愛すべき自然の別の一面である。
それらと対峙することで、間接的に環境破壊を行う人間自身のエゴとも向き合わねばならない苦悩のヒーローだ。
というわけで、作品のコンセプトは「自然と歴史と文化の共存・そして調和」。海なし県・岐阜県の中津川市のヒーローが、人間を滅ぼさんとする海の脅威と闘うストーリーだ。
その中で、どうしたら荒ぶる自然の怒りをおさめ、共存できるかの模索がメインの軸となる。
勝つことそのものが目的ではない。まるで仮面ライダークウガのようだ。
ヒーローの設定
企画コンセプトがざっくりとおぼろげに固まったところで、ようやく主人公であるヒーローの設定に入ることができる。
ローカルヒーローであるがゆえに、もちろんヒーローには地元の特徴が反映されていることが望ましい。
そこで、岐阜県中津川市の特徴を見てみよう。
岐阜県中津川市の特徴。
栗の名産地であり、栗きんとん発祥の地
一級河川である木曽三川のひとつ、木曽川
岩山に建設され、龍に守られたといわれる山城・苗木城
旧中山道の宿場町の趣が残る馬籠宿
開通が間近で新駅も開設されるリニアモーターカー
木曾義仲が戦勝祈願に参拝したといわれる坂下神社
同氏の言い伝えより生まれた花馬祭り
日本で最初にトパーズが発掘された地域
他にも五平餅やちこりや島崎藤村や伊藤潤二氏の出身地など色々あるが、ぱっと思いつくのは一旦これくらいにしておこう。
地方都市とはいえ、探すといろいろあるものである。
これらの力を借りて戦うヒーローというのも、それなりに趣があってよいだろう。
これらを参考にしつつ、詳しく造形を詰めていこう。
まず主たるヒーローの設定からだ。
軸として、源氏の武将である木曾義仲とその伝承をモチーフにしてみよう。
モチーフとしては「武将+弓使い+騎馬」の要素をピックアップする。
弓矢は銃器、騎馬はバイクなど、現代的に置き換えてもかっこいいかもしれない。
Riding kiso-bike Heroである。
名前は「中津川+ガン(銃)」で、ナカツガン(Nakatsu-Gun)としたい。
命名、『清流戦記ナカツガン』だ。
元が弓使いということでバイクを駆って流鏑馬のような戦い方のイメージだ。
あるいは、スナイパーのように遠距離狙撃などもエピソードに彩を添える要素としてはアリかもしれない。
天下無双の銃使いである。龍の守護を受け、バイクを駆って戦う銃器のスペシャリストの武将ヒーロー。アリだ。
そうそう。忘れてはいけないのが文化の面だ。
岐阜県中津川市はまもなくリニアモーターカーの新駅が開設される予定だ。
市としても全力でそれに乗っかろうとしているので、これを使わない手はないだろう。
リニモの現代的・近未来的な技術もモチーフに組み込もう。
龍の守護を受け変身する武将ヒーロー。
バイクや銃器は超電導リニアの近未来のテクノロジーで作られたハイテク装備だ。
ファンタジーと歴史とテクノロジーの融合。
お、これは意外にイケているのではないか。
おぼろげではあるが、なんとなく骨格が定まってきたように思える。
世界観
まず、戦う相手が海からの使者であるならば、高地に建造された苗木城は戦略の拠点となるだろう。
龍に守られているという言い伝えも非常にカッコイイ。
そして同じく、馬籠宿も高地に存在する。
苗木城が前哨基地であれば、馬籠宿はこの世界線でのメインの市街地になるのかもしれない。
近未来のテクノロジーで武装された歴史的建造物群。
普通ではやらないであろうこの組み合わせも、ロマンといえばロマンである。
―なお、余談ではあるが。
個人的にものすごく好きなご当地観光ムービーがあるので、この場を借りて紹介したい。
イカを食べる人間たちに怒ったイカール星人が函館侵略を試みるも、様々な迎撃兵器に阻まれる……という内容である。
いわゆるゆるキャラなのだが、五稜郭タワーが変形するタワーロボや、五稜郭の地下に秘密裏に建造された空中城砦ゴリョウカクなど、旧来の特撮ファンはニヤリとする演出も多数。
個人的にはタワーロボの発進シークエンスが、若干のエヴァンゲリオンみを感じて好きだ。
歴史的な建造物や街並みに、敢えてのこういうアプローチもありなのだろう。ありだと思いたい。
閑話休題。
コンセプトが自然と歴史と文化の調和で、歴史とテクノロジーの融合を扱うのであれば、タイムトラベル的な要素があってもよいかもしれない。
滅びゆく未来の岐阜県中津川市の歴史を変えるべく戦う、みたいなやつだ。
ヒロインが滅びの未来から来た中津川市民とかいいかもしれない。
ご当地を紹介するにあたり、「ご当地を知らない人物が、その地の魅力に触れて好きになっていってくれる」というのは、効果的なアプローチであろう。
ヒロインの口癖は「過去の中津川はこんな景色だったのね」だ。
未来人であるがゆえに、主人公とは決して結ばれない運命もいい。
ご当地ヒーローに恋愛ものなどという野暮なものはいらないのだ。
滅びの未来を変えるため、自然と歴史と文化の助けを得て戦うヒーロー。
うん、それっぽいといえばそれっぽい。
変身ヒーローとしての造形はこんな感じでよいだろう。
キャラクター
次は主人公の人格面の設定に入っていこう。
ご当地ヒーローという趣旨からいえば、主人公は好青年でなくてはならないだろう。
精神的に未熟であったり、葛藤を重ねて成長する物語もよいが、あまり暗くならないようにしていきたい。
なにより、地元の名産品を美味しそうに食べるシーンは必須である。
地元を愛する好青年。
そして好物はやはり中津川名物の栗きんとんだろう。
地元アピールはかくも大事なのである。
そして、望んでかトラブルでか、ヒーローに選ばれるものでなくてはならないだろう。
敵の密かな侵略を察知でき、そしてある程度自由に動ける立場でなくてはならない。
中部電力の水力発電ダムの監視員などはどうであろうか。
ダムの管理者というのはかくも天候・自然の変化に敏感なのである。
いち早く異変を察知して出動するのにはぴったりな職業ではないか。
よし、主人公は中部電力勤務だ。
そして、使うかどうかはわからない設定だが、考えなければならないのはサブヒーローの存在である。
サブヒーローは様々な面を主人公とは対照的にしたい。
そうすることで、ご当地である中津川の魅力を、多角的な面から演出できるのである。
ぱっと思いつくのは以下のような要素だろうか。
クールで知的なナイスガイ。
中津川市のことをあまり知らない。なんなら侮っている。
作中ではすでに水没した名古屋で生まれ育ち、中津川を第二の名古屋のようにはさせないという強い使命感。
名古屋で警察組織などに所属しており、市民を守りたいという想いと、守り切れなかった後悔を抱えている。
ヒーローのプロトタイプを制作するにあたり、テスト要員として採用されるも、苗木城の龍に選ばれなかったコンプレックスを持つ。
そのことから、当初は主人公に内心嫉妬し冷たく当たるが、故郷を守りたいという思いは通じているため、よき相棒になる。
完璧だ。
龍に選ばれて故郷を守るために戦うヒーロー・ナカツガン。
ライバルとして、相棒として、頼れる仲間として共に戦うヒーロー(名前はまだない)
滅びの未来から来訪し、過去の美しい中津川に感動しながら、それを守るために共に戦うヒロイン。
岐阜県中津川市の市の職員がこの記事を読んでいたのならば、是非ご当地ヒーローで地元を盛り上げていただきたい。
岐阜県のローカルヒーローが月一くらいの頻度でYoutubeに登場することを願ってやまない。
本日僕からは以上です。
オチ?
書くのが楽しかったからいいんです。
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