#ソシャゲの話をしよう。「運営のモチベが下がると何が起こるのか」
#ソシャゲの話をしよう 。
どうも、死に急ぐ生命の果実です。
みなさん、生きる気力はありますか?
僕は正直あまりありません。
まぁ、それはさておき。
ひとは誰しも人生においてモチベーションが下がるときがあります。
それはソシャゲの運営のメンバーも然りです。
さて今回は「運営のモチベーションが下がると何が起こるのか」というお話。
ざっくり以下のような構成でお話をできればと考えております。
今回の考察
ソシャゲ運営といえども人間。
モチベーションが下がるときはあります。
私生活と仕事をきっちりと切り分け、仕事は仕事としっかりこなせるのが社会人としては理想なのですが。なのですが。
ゲームの制作や運営というのは、もともとクリエイティブな趣味趣向を持つ人が能力を活かすため、生活の延長線上に仕事がある場合も少なくありません。
調子がいい時はいいのですが、やりたいこととやらなければならないことが乖離したとき、モチベーションの低下が発生しえます。
今回はそんな状況にスタッフが陥った時、具体的にはいったいどんなことが発生しうるのかというシミュレーションになります。
登場人物
今回の登場人物は以下に限ってみます。
すなわち……
プランナー
ディレクター
プロデューサー
です。
ソシャゲの運営に関わる職業は多岐にわたります。
例えばデザイナーやエンジニアなどを思い浮かべる人もいらっしゃるかもしれません。
彼らはある意味プロフェッショナルです。
発注したものをきっちり適切に仕上げてくれるという意味では、モチベーションとパフォーマンスが切り分けられている人が多い印象です。(個人の感想です)
それぞれの場合について考えてみましょう。
ケース①:プランナーのモチベーションが下がった場合
結論:ユーザーから見た表層の品質が落ちる。
プランナーの担当範囲は主に施策設計や仕様設計、レベルデザインなどです。
雑に言い換えれば、エンジニアやデザイナーなどの専門職が担当するところ”以外”を、横断的にすべて網羅しなければなりません。
例えばソシャゲでよく見かけるお知らせなどのテキストや、ちょっとしたキャラクターのセリフなどもプランナーの仕事だったりします。(現場にもよりますが)
プランナーはある意味、モチベを保ちづらいセクションです。
ゲームのインターフェースとして直接ユーザーに触れる部分を担当するわりには、表層・末端の仕事であり、己の作家性を発揮できる機会は多くありません。
表現者としてはデザイナーに「お願い」する立場ですが、「創作」する立場ではありません。
先に挙げたように、ゲーム制作という仕事は自分の能力や志向を活かしたいという人間が集まりやすい場所です。ただその中でのプランナーは、作家ではありません。
イベント施策を考えたりキャラクターや物語を提案したりというのもプランナーの仕事ではありますが、昨今のコンテンツの大型化に伴い実績にある作家に大筋を依頼するケースが増えています。
なので、現在はプランナーには「誰でもできる仕事」を分担して割り振られることが多いでしょう。
たとえばコンテンツが好きとか、ユーザーに遊んでもらうのが喜びとか、そういうモチベーションの保ち方をしている人がいる一方、理想と現実のギャップが大きいと、ここでモチベーションを下げてしまうスタッフは多いです。
さて。プランナーのモチベーションが下がると何が起こるのでしょうか。
上から言われた仕事を粛々とこなすのみとなり、自主性や創意工夫のないプランナーになってしまいます。
やることをやればよいのであって、ユーザーを楽しませるのは業務の範囲外だからです。
こうなると、上からの指示に対して「もっとこうしたほうがいいのでは」「その施策はよくないのでは」という提案や意見交換も少なくなります。
言い換えれば、賃金などの見返りがない場合、それ以上の仕事をしないというスタンスをとると言ってもいいでしょう。
ソシャゲ運営も仕事である以上、報酬以上の働きを自主的にやる人の方が例外といってもいいでしょう。ただ、現場はプランナーに報酬以上の自主的な働きを求めがちです。
先も書いた通り、プランナーは表層、つまりユーザーに触れる部分を担当するゆえに、こうしたところの「雑さ」がユーザーから見えやすくなります。
丁寧さやユーザーを楽しませようという気持ちが見えなくなってきたら、あるいは些細なミスが頻発するようになったら、それはプランナーのモチベーションが下がっているのかもしれません。
ユーザーから見たらたまったものではないですが、責めることもまた難しいでしょう。
なぜなら彼らは対価のない要求を飲み続けて疲弊している場合が多々あるからです。
仕事のクオリティが下がっている以上、給料をアップして対応することも難しい……ので、あとは本人次第です。冷たいようですが。
幸いなことに、プランナーは替えがきく。
そう、替えがきいてしまうのです。
モチベーションを失ったプランナーは合意の下で離職し、あらたなやる気のあるプランナーが加入する……こうして回っている現場は多いのではないでしょうか。ひどい話ではありますが。
こうした蟲毒の中から、ディレクターにランクアップする人材が生まれるのです。
ケース②:ディレクターのモチベーションが下がった場合
結論:施策の品質が落ちたり、スケジュールが担保されなくなる。
ディレクターは現場の管理や指示の精査などを行う、要は現場監督です。
直接作業をする立場かどうかは現場によってことなると思いますが、多くは経験を買われて、制作物の品質管理を担っていることが多々あります。
さて、ディレクターのモチベーションが下がると何が起こるのでしょうか。
まず、施策の方針などざっくりとした部分が雑になります。
プロデューサーの方針を受けてプランナーが資料化し、それをディレクターがチェックする……というのが、施策設計の流れなのですが。
ディレクターのチェックが雑になると、それがそのまま世に出ることになります。
そのイベントは、誰に向けて何をして、どういう理屈でどのように売り上げやユーザー数が推移して、どうなれば施策成功・どうなれば施策失敗なのか。前回の同系統施策からの改善点はなにで、どのくらい効果を見込めるのか……。
これらを明文化し、経験の下精査するのがディレクターの仕事なのですが。
モチベーションが下がると、これらのチェックが甘くなります。
ただでさえ厳しいスケジュール、ただでさえ忙しい中、精査しきれず見切り発車をしてしまう。その結果、運営の意図の伝わらない施策が連発される場合、ディレクターが疲弊している可能性があります。
前述した「自主性を失ったプランナーが言われたままに実装する」と「ディレクターのチェックが雑になる」がコンボをキメると、コンテンツが一気に劣化します。
ユーザーからみても明らかに粗雑になる。
しかし現場レベルでは、誰、何が原因なのか・どう改善すればいいのかなどの責任は分散し、モチベーションという曖昧なものは改善は困難です。
地獄。
また、ディレクターはスケジュール管理を任されることも多い存在です。
しかし、スケジュールの管理・調整は難しい作業です。
上からの納期や収益に関しての圧力であったり、下からの工数や人員であったりの注文を調整する必要があるからです。
モチベーションの高いディレクターは、これをなんとかしようと最善を尽くそうとします。
しかし。
現場がどうしようもなってくると、ここもおざなりになりがちです。
「収益上げればいいんだろ!」とキレる場合もあれば「今回はクオリティは度外視!実施優先!」となることもある。あってしまうのです。
仕事である以上最善は尽くしてほしいと思いますが、それでも無理が通らなくなる境界線はあるのです。
スケジュールは年間からクオーター、各月まで計画を立てるべきですが、収益の回収の強要などでどんどんそれが狂っていく。
月ごとに、あるいは週ごとに、イベントごとに、プロデューサーと現場両方の意見を聞きながらスケジュールを切りなおす必要がある。その上でクオリティ管理……。率直に言って激務です。
ケース③:プロデューサーのモチベーションが下がった場合
結論:コンテンツの存続が危うくなる。
プロデューサーが疲弊するとどうなるのでしょうか。
端的にいうと、コンテンツの持続に危機が生じます。
プロデューサーの業務は、コンテンツに対して責任を負うことです。
下記、詳しく記載した記事があるので参照されたい。
プロデューサーがモチベーションを失ってしまった場合、コンテンツの方針自体がぶれ始めます。
例えばコンテンツが大事にしてきたもの……遊びであったり、物語であったり、キャラクターであったり、今後の展望など……それらがすべて崩れ落ちる可能性があります。
なにかを捨てて本当に大事なものを守れればいいのですが、プロデューサーが降板・交代し、コンテンツの性質そのものが変わってしまい、ユーザーが離れてしまう……という現象は多いです。
最終的に、資金をやりくりしたり、コラボを打診したり、ユーザーに大盤振る舞いをしたり、新規コンテンツを立てろとディレクターに指示したりするでしょう。
しかし、プランナーは言われるまま動くだけのスタッフ、ディレクターは疲れ果てチェックはままならず……となったとき、その先に未来はあるのでしょうか。
まとめ
スタッフが疲れ果てると……
①プランナー
→ユーザーの目が触れるところが雑になる
②ディレクター
→精査や施策スケジュールに影響が出る
③プロデューサー
→出した方針をフォローしてもらえず、多大な責任を求められる
なかなかの地獄絵図です。
全員が壊れてしまったわけではなく、モチベーションが高いスタッフがフォローを入れてなんとか回ることはあるかもしれません。また、スタッフの交代などのフォローを入れることもあるでしょう。しかし、モチベーションの低下は連鎖するのです。
こうして疲弊しきった現場はどうなってしまうのでしょうか。
おそらく、この状況を一気に改善する銀の弾丸は存在しません。
こうならないために、スタッフのモチベーションを適切に管理をしていくべきなのです。可能であれば……の話ですが。
というわけで。
運営スタッフが疲れるとこういうところに影響が出ますよという話、モチベーションの低下は連鎖するという話、こうなったらどうすべきかの最適解はまだない、というお話でした。
本日僕から言いたいことは以上となります。
ご清聴ありがとうございました。