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#ソシャゲの話をしよう。「エンドコンテンツと運用計画」

#ソシャゲの話をしよう
どうも、死に急ぐ生命の果実です。

みなさん、ソシャゲ遊んでますか?
え?「結末が楽しみすぎて寝る間も惜しんで進めてるけど、なかなかエンディングに到達できない」
まぁ、そういう方もいらっしゃるかもしれませんね。
さて今回はそんな「エンドコンテンツと運用計画」に関するあれこれをお話しましょう。

ざっくり以下のような構成でお話をできればと考えております。


はじめに

今回のテーマは「エンドコンテンツ」。
付随するテーマとして「環境の移り代わりや難易度のインフレ」に触れたいと考えている。
テーマが少し重複しているため、以前書いた記事と少しかぶる部分もあるが、本質的な話は異なるので許容してほしい。

エンドコンテンツとは

エンドコンテンツの定義は諸説あるが、字面通りに受け取るならば、「そのコンテンツの最後のユーザー体験」であり「コンテンツを遊ぶ目標」と解釈して差し支えないと考えている。

「エンドコンテンツ」は、重要なポジションである。
ユーザーから見たらゲームを遊ぶモチベーションや目標にならなければならないほど、魅力的で挑戦心が溢れるものでなければならない。
極端な話、エンドコンテンツ以外はそれまでの「過程」と割り切ってもよいくらいだ。

ユーザーはエンドコンテンツを攻略するためにゲームを遊ぶ。
時間を費やし、課金をして、手持ちを揃えて、技術やテクニックを磨く。
その過程が楽しければコンテンツとしては楽しいゲーム体験になるだろう。
故に、ユーザーの目標としてのエンドコンテンツは必要である、と考えられる

さて、それではちょっと視点を変えて、運営の気持ちになって考えてみよう。
運営にとってエンドコンテンツとはどういったものなのだろうか。

これが少し悩ましい。
運営の気持ちに寄り添って、ここから先を読み進めていただきたい。

まず、運営にとってエンドコンテンツは「クリアしてほしいけど簡単にクリアされても困るけど諦められても困るんだよなぁー」というくらいの微妙な温度感である。詳しく説明しよう。

クリアしてほしいけど簡単にクリアされても困るけど諦められても困るラー油

まず、運営から見たエンドコンテンツの機能要件は「ユーザーの目標となり、コンテンツ全体への訴求力を上げる役割」である。
噛み砕いて言えば、ユーザーがゲームを遊ぶに至る動機である。
そういう意味で言えば、エンドコンテンツは倒さなければならないボスであったり、物語の結末といった形をとったりする。

しかしながら、「クリアされてしまうとそれはそれで困る」のである。

理由は簡単だ。
目標をクリアしてしまえば、ユーザーはそのコンテンツを遊ぶ意味がなくなるからだ。
なので、運営はエンドコンテンツの間にいろいろなものを挟む。
寄り道やサブクエスト、サブストーリー、魅力的なキャラクターや水着イベントなどである。

運営が求めるのは「ユーザーにはエンドコンテンツを諦めずにモチベーションをもってクリアしてほしいが、できればその間に時間をかけていろいろなところでお金を落としていってほしいなぁ」という事実である。
まぁ当然だ。稼げなくてはコンテンツの運営が立ち行かなくなる。

なので、運営ははるか遠くに「目標としてのエンドコンテンツ」を掲げ、その間にいろいろなイベントを仕込む。
ユーザーは遠回りになるが、それらイベントを楽しみながら、エンドコンテンツまでの戦力を整えたり、より深い感動を味わえるようなサブエピソードを体験しつつ、エンドコンテンツにたどり着く。

これがとりあえず教科書通りで理想の「エンドコンテンツ」である。

であるが。

でぃあるが

エンドコンテンツを機能させるポイント

うまく運営するには、いくつか気をつけなくてはならないポイントがある。
挙げられるものとしてはいくつかあるが、だいたい以下のような感じだ。

  • エンドコンテンツの意義を保つ

  • インフレによるバランス悪化を防ぐ

  • 価値ある報酬とさらなるエンドコンテンツの構築

まぁこんな感じだろうか。それぞれ説明しよう。

エンドコンテンツの意義を保つ

道中のイベントのひとつひとつがおもしろくても、ユーザーの目標はあくまでエンドコンテンツでなくてはならない。
まあ、なくてはならないというわけでもない場合も多々あるが。
世界の危機や人類の存亡を放っておいて、何年も水着でキャッキャする夏のイベントがくるコンテンツは多い。

まあ、ユーザーが楽しめていてコンテンツが維持されている間は別にいいので、そのツッコミは野暮といえば野暮だが、あまりに酷いとゲームの根幹がかすんだりする。
ので、シナリオのリアリティレベルや誘導などで、ちょいちょいエンドコンテンツを意識させるという運営テクニックは必要になってくるだろう。

余談だが、このあたりの問題は直近のタイトルでは「勝利の女神:NIKKE」などはとてもうまくバランスを取っている。
ストーリーテリングやコラボの魅せ方が非常に巧みなので、そのうち個別の記事を執筆するかもしれないししないかもしれない。

イベントとエンドコンテンツのバランス取り

インフレによるバランス悪化を防ぐ

教科書通りに考えれば、「エンドコンテンツに全員がたどり着く=サービスを続ける意義を失う≒サ終を検討するタイミング」なので、エンドコンテンツまでの道のりは長期的である場合が多い。
一年とか三年とか、そのくらいのスパンで運営計画にのせられるはずだ。
で、問題はその間の運営である。

短期的なテコ入れによって、インフレが進む場合がままある。
ここがヘタだと、ようやくたどり着いてラスボスを倒して大団円!となるはずが、ラスボスがザコすぎる……俺たちの苦労は一体…!?となることは、まあよくあるっちゃある。
その失望が個人ならいいが、SNSで拡散されたりすると大事故だ。

酷い時にはエンドコンテンツ(ラスボス)がかすむくらいヤベー敵とかが出てきたりすることもある。

あるある

んまあ、最近のトレンドはシナリオ重視だったりするので、こういった問題を抱えるタイトルは多くないのかもしれない。

いうても、エンドコンテンツの実装は来るべき時にするものだ。
事前の環境のバランスを鑑みての調整などは何とでもなるだろう。

ただ、パズドラなどに代表されるキャラクターの強さやステータスありきのゲームでは直面するかもしれない。

エンドコンテンツの前に、それをしのぐ難易度の実装…!?(ありうる)

さらなるエンドコンテンツの構築

エンドコンテンツをクリアして終わり……というのは、ソシャゲではあまり見ない。
なぜならば、運営的には「ユーザーにはエンドコンテンツ攻略後も、コンテンツに滞留してほしい」からだ。
なのでよくある手段として「エンドコンテンツの後に出てくる新たなるエンドコンテンツの追加」が挙げられる。

これには大きく二つの効果がある。
「さらなる攻略目標」と「エンドコンテンツで入手した報酬の使いどころ」だ。

「さらなる攻略目標」については特に説明はいらないだろう。
ユーザーがコンテンツでやることの提示である。
新しい魔王なりなんなり、方向性はいくらでもある。

真の黒幕

また、はじめのエンドコンテンツの報酬が「強いステータスの武器」などだった場合、それを活かす場面がなくてはならない。……とはいえ、これまでの道のりは一度通ってしまったので、物足りないだろう。
そういう意味で。高難易度コンテンツ(≒エンドコンテンツ)の追加は需要がある。

一旦まとめ

ここまでの話をざっくりまとめよう。

  • エンドコンテンツはユーザーの遊ぶ目標である

  • ので、最高のコンディション・お膳立てでクリアしてほしい

  • そのために、すべての過程やイベントが存在する

  • エンドコンテンツのクリアが最高のユーザー体験である

  • ただし、そこでコンテンツが終わってはならない

エンドコンテンツの管理

先ほど「エンドコンテンツのクリアまでに3年」という例示をした。
少なくとも、それくらいまでの運営計画はなくてはならない。
適当に運営して、「そろそろエンドコンテンツ出しちゃおうかなー」というノリでお出しできるものでは、決してない。
運営はひとつひとつのエンドコンテンツが最高に輝くよう、準備する必要がある。
(ゆえに、エンドコンテンツが「複数同時並行される」こともあまりない)

きちんとユーザーの動向を追って、
「できる限り多くの人が」
「できうる最高のタイミングで」
「エンドコンテンツを攻略して」
「たくさんのユーザーと最高の感動を分かち合う」

のが、オンラインゲームにおけるエンドコンテンツの体験だ。
そのついでにバズって、新規ユーザーがたくさん入るとなおいい。

余談だが、このあたりの運用は直近のタイトルでは「ブルーアーカイブ」の「Final.あまねく奇跡の始発点」のメインストーリー公開・ボス戦イベントの魅せ方が非常に巧みであった。そのうち個別の記事を執筆するかもしれないししないかもしれない。

エンドコンテンツの体験のさせ方

そのためにはなにが必要か

それを実現しようとすると、ユーザーの進捗管理が必要になる。
全ユーザーの何パーセントくらいが、今どれくらいの戦力なのか。
どれくらいのサブクエストやエピソードを通過しているのか。
目標値に達していないなら、促進するテコ入れをどうするか……など、運営がやることは多い。

しかしながら

本来、エンドコンテンツはコンテンツとしては大切なものだ。
だが、その最高の体験の演出としての「過程」を軽視する運営は多くある。

「とりあえず目先の収益が大切」
「ユーザーの反応が大事」
「今がよければいい」
「今だけなんとかすればあとは後任がなんとかする」。

よくある運営の姿勢(偏見)

あるある。

エンドコンテンツはひとつのターム

「エンドコンテンツが終わるとどうなる」
「知らんのか。次のエンドコンテンツが始まる」

ソシャゲ運営はスタートからエンドコンテンツまで、そこから次のエンドコンテンツまでが、運営スケジュールの節目となる。
それまでは運営計画に沿ってきちんと運営がされるべきではある。

まとめ

そろそろ話をまとめよう。

  • エンドコンテンツは運営スケジュールの重要な節目

  • その間は計画的に運用をすべき(してほしい)

  • 計画的に運用すれば、インフレは起きない?(ハズ)

  • 無計画に運営をしていれば目標としてのエンドコンテンツは霞む

  • 最終目標が霞んで見えないゲームを、ユーザーはどんな気持ちで遊ぶのだろうか

エンドコンテンツを大切にしない運営は、場当たり的にバランス調整を行ったり、要素の追加を行うため、ユーザーの目標意識やモチベーションを保つことが難しい。
するとユーザーはゲームに時間やお金を使うことに疑問を覚え、よりコスパのいい娯楽に移り変わっていく。
エンドコンテンツを大事にするということは、運営計画やユーザーを大事にするということである。

多少のブレは仕方ないとはいえ、場当たり的にではなく、きちんとユーザー体験に結びつくようなコンテンツの在り方や計画通りの運営をしてほしい。
そうでない運営は、ユーザーからの信頼を損なう。
信頼されなくなった運営は、振り向いてもらうために過激化する。
その動向は迷惑系Youtuberのそれに近い。

信頼をなくしたユーザーが離れるのは、説明するまでもないだろう。

エンドコンテンツを乱立する。
後先考えず場当たり的なイベントを乱発する。
とにかく高難易度を出す。

こういった運営には、今一度中長期の運営計画を見直してほしいと切に願う。

最後に

本題からは少々ずれるが、計画的であってもインフレや廃課金のガチャをやるのはやめていただきたい。というか、計画する理性があるならやらないと思うが。
長い時間とお金をかけて培ってきた資産が紙くずになると、簡単にユーザーの心は折れる。マジで。

魅力ある世界観やシナリオ、所有欲を満たす形でガチャを引かせてほしいと思う。心の健康のために、納得感は大事。

本日僕からは以上です。

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