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キミたちはコブラという男を知っているか

どうも、死に急ぐ生命の果実です。

みなさん、憧れのマンガやアニメのキャラクターで推しはいますか?
推しはいいですよね。心が豊かになります。

そんな僕も、人生の中で新三大・勇気を与えてくれたキャラクターがいます
一人目は三条陸氏・稲田浩司氏両名の「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」に登場する大魔導士・ポップ。
二人目は村枝賢一氏による「機動公務員かもしか!」の主人公・桃栗三平。
そして三人目は、寺沢武一氏執筆されていた「COBRA THE SPACE PIRATE」の主人公・コブラ。

寺沢プロダクションよりいただいた年賀状

今日はその中でも、コブラおよび「COBRA THE SPACE PIRATE」についてお話していきたいと思います。
(他の作品に関しては、そのうち書くかもしれませんのでいずれ……)


概要

以下、wikipediaより概要を引用。
『コブラ』(COBRA THE SPACE PIRATE)は、寺沢武一の漫画作品。
左腕に特殊な高性能光線銃「サイコガン」を付けた、一匹狼宇宙海賊コブラの活躍を、アメコミ風タッチで描く痛快SFアクション。
1978年10月10日 - 1984年10月30日まで連載。全18巻。157話。
ただし、最新エピソード「COBRA OVER THE RAINBOW」が、2019年11月からKADOKAWAのWEBコミックサイト「COMIC Hu」にて連載中。

東京ムービー新社・フジテレビより「スペースコブラ」として、1982年からアニメが放映。

印象的なオープニングテーマを相まって、こちらを知っている方も多いかと思う。それは紛れもなくやつさ。

筆者とコブラ。

思えばコブラと生きた半生だったと思う。
興味のない方も多いのは百も承知だが、自分語りと合わせてコブラと歩んできた半生を振り返りたいと思う。

幼少期。

東海地方の片田舎。
当時、映画館やレンタルビデオなどはおろか、アニメもゲームもさほどなく、娯楽といえる娯楽はなかった。
そんな中楽しかったのは、父がまばらに所蔵していたマンガ本。
手塚治虫の『火の鳥』。
横山光輝の『時の行者』。
古谷三敏の『BER レモンハート』『寄席芸人伝』。
作・やまさき十三、画・北見けんいちの『釣りバカ日誌』。
そして寺沢武一の『COBRA』。

渋い。渋すぎる。
小学校低学年の少年にはいささか渋すぎないか。

『BER レモンハート』『寄席芸人伝』は、大人になってからわかる大人ならではの悩みや生き方がわからぬ。
『火の鳥』や『時の行者』はテーマ性が重く、終わりある人生の描写や、ビターエンドが少々応えた。
『釣りバカ日誌』でたびたび描写された「合体」とはなんなのか。あと鯉太郎の命名のセンスがどうにも受け入れがたい。

そんな中、ハマって何度も何度も擦り切れるまで読んだのがコブラだった。

劇画調の濃い絵柄は少々ハードルが高かったが、その魅力の前にはさしたる障害ではなかった。

非常に荒唐無稽ながら、妙にリアリティのある世界観。

よくわからんがとにかくカッコイイ展開やセリフや掛け合い。
(洋画の吹き替えのように、ウィットに富んだユーモアやジョークがカッコよかったのだろう)

男のロマンというか女性描写。
あと謎のコスチュームのセンス。

今でも当時覚えた「バーでアイスミルクを注文したらチンピラに絡まれ、電磁ナイフのドグを怒らせる」という下りはそらで言える。

青年期。

紆余曲折を経て、ゲームクリエイターの道に進むことになった。
そんな時上司から任されたのは、ハドソンからPCエンジンで発売されていた「コブラII 伝説の男」の移植。

コブラⅡ 伝説の男 パッケージ

この作品、原作者の寺沢武一が自ら総監督を務め、脚本と500枚の絵コンテ、3000枚の原画を書き下ろしたという肝入りの作品である。

特に声優。
原作は本作以前に劇場版とテレビアニメで二度アニメ化されているが、その際のコブラの声はそれぞれ松崎しげる、野沢那智が担当していた。
原作者の寺沢武一は、元々コブラは山田康雄の演じるクリント・イーストウッドやジャン・ポール・ベルモンドの吹き替えをイメージして台詞を書いていたのが、山田康雄は当時ルパン三世の声を当てており、コブラとルパンのイメージがかぶるということで断念したと言われている。

が、本作においては満を持して山田康雄が起用されている。
要は、原作者の想定していたキャスティングが長年の時を経て実現した、夢の作品なのである。

この仕事、原作ファンである筆者はもちろん二つ返事で引き受けた。

スクリプトやアニメーション、あと当時高いハードルだった容量と格闘しながら、ほぼひとり体制で作りこむ日々。
クリスタルボーイやハンマーボルト・ジョーとのバトル演出や、謎を解くアドベンチャーパートの新規作成など、新要素もけっこう作りこんだ。
移植とはいえ、当時はそのあたりはだいぶガバであった。いい時代である。

ちなみに画像素材担当の女の子は、もう男の筋肉は見たくもないと相当参っていた。

寺沢プロダクションの忘年会。

そんな折、ゲームの移植が縁で寺沢プロダクションの忘年会にお招きいただいた。

詳細は残念ながらあまり覚えていない。
当時新人のぺーぺーだった筆者は、外部会社の忘年会に招かれるなどほぼ初めてで緊張していたのだ。

ただ、忘年会イベント一環であるくじ引き大会でなにも当たらなかったのはハッキリ覚えている。(※当たりくじの方が多かったはずなのだが……)
Tシャツやグッズほしかったなぁ。

だが。
そんな忘年会の中で、筆者にチャンスが訪れた。
寺沢武一先生の一瞬の暇をついて、サインを頂くことに成功したのだ。握手もしてもらえた。
当時から車椅子だった寺沢先生との握手は、それでも力強く、そして温かかったのをはっきりと覚えている。

当時のサイン。額縁に入れて飾っている。

「今だ、行ってこい」と背中を押してくれた当時の上司には、今思うと感謝しかない。

2008年6月24日東京都内某所。

当時『コブラ』は生誕30周年記念として、アニバーサリー・イヤーであった。
OVAやパチンコなど多くのメディアミックスが発表され、関係者は大いに沸いていた。

CR COBRA~終わりなき激闘~の関係者に配布されたパンフレット

この発表会には原作者の寺沢武一、主人公コブラ役の野沢那智、主題歌を担当する松崎しげる、テレビ版を監督するはずだった出崎統のほか、応援団長としてコブラの大ファンと自称する芸人のケンドーコバヤシらが出席していた。

そしてその制作発表会の場に、なぜか筆者もいた。

まあこれも何かの縁なのだろう。

当時サプライズで松崎しげる氏が主題歌「wanderer」をサプライズで歌唱していたのを覚えている。
テレビアニメ版で馴染んだあのオープニングテーマではなかったが、非常にカッコよい曲に筆者はしびれた。

男と女、カルタだけの関係。

当時『コブラ』は生誕40周年を迎えていた。
そこで発売されたのが『コブラ・パーティ ~男と女、カルタだけの関係~』だ。

https://twitter.com/YS_RPGSHOP/status/1012223214846537730より


まぁ、要はカルタなのだが。
コブラと言えば軽妙なセリフ回しのオンパレード。
それをカルタにしてしまおうという発想である。

シンプルといえばシンプルだが、ゲームプレイの間中、コブラの名セリフが飛び交うのは非常に楽しい。
コブラ生みの親、寺沢武一大先生が書き下ろした最強マル秘モテ台詞も収録されているので、ファンの方は是非手に取っていただきたい。

筆者はコレクション用とプレイ用に二つ買った。

買った。

そして。

つい先日、寺沢武一先生は逝去された。
ショックではあったものの、意外とすんなり受け入れられた。
もうコブラの新エピソードが読めないと思うと、そこだけは残念ではある。

しかしながら、コブラ世界観は無限である。
多くの女の涙をぬぐい、男には希望を与える。
そんな世界は、寺沢武一先生が亡くなられても、どこかに存在し続けるのだろう。

この場を借りて、寺沢武一先生に改めてご冥福をお祈り申し上げたい。

最後に。

有名なネットミーム

コブラのことをネットミームでしかしらない方は、それだけで知った気にならず、是非本編を手に取っていただきたい。
人生の半分を損している……という表現は嫌いだが、普通におもしろいので、普通にレコメンドをして、本稿の結びとしたい。


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