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『WHO YOU ARE』奴隷と武士と囚人とチンギス・ハンの文化(2/4)

前回は奴隷を率いるリーダーから文化について学びました。

今回は、武士と囚人のお話です。


「武士に二言はない」は、心構えじゃない

日本人に馴染み深いようで、ほとんど知らない『武士道』。

武士道とは一見、一連の哲学のように見えるが、むしろ実践の積み重ねだ。侍にとって、文化は行動規範だった。つまり価値観ではなく徳(善い行い)の体系が文化だったのだ。(p.118)
「武士道と云ふは死ぬことと見付けたり」(p.120、『葉隠』)

武士道には『死ぬこと』を意識すること、が根幹にある。『あした死ぬかもよ?』という本ではぴんとこなかった死という終わりを意識した生き方が、武士道には刻み伝えられているのかも、と興味津々。

武士道の知恵をまとめた本の中で、最も有名なのは『葉隠(はがくれ)』とのこと。「日本人たるもの、そのくらい読んでおかねば」とすぐさま購入。(したけど正直、読み切れる自信はない。。)

武士道は、『8つの徳(行動規範)』で成り立っている。(とのこと)

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すべての徳には細かい定義があり、一連の原則と実践と逸話を通して補強されている。このすべてが一緒になってシステムとして機能し、どれかひとつの徳が誤解されたり誤用されたりすることのないようお互いに均衡を取り合っている。(p.123)

たとえば『名誉(誇り)』をもつ。すると「自分は偉い!」と勘違いして、横柄な態度で他人を怒らせてしまうかもしれません。だから『礼(愛と尊敬)』を大事にし、人を敬うような振る舞いをするようにする。

けど「お辞儀は丁寧にしてる。けど心の中ではお辞儀はしない」では意味がない。だから『誠(正直さ)』をもち、心の底からの愛と尊敬をもたねばならない。誠実でないと、なんの意味もない。

「8つもあるのか。。」と最初は思ったけれど、『入社1年目の教科書』には50もルールがあるのだから、8つの行動規範を徹底することで道を極められるのなら、それは素晴らしいことなのかもしれません。

もちろん『入社1年目の教科書』は素晴らしい本です。社内で啓蒙用に配っている本の1つです。(武士道との対応関係を整理したくなってきました。。おそらく現代にも通ずるものがあるはず。。)


『思考は現実化する』をバイブルにする囚人たち

武士と同じように、死を意識し続ける人たちが、現代社会の中にもいます。

それは、刑務所の中の囚人たち。

人を殺めてしまい、刑務所に入ったシャカ・サンゴール。彼は5つあるギャング団の中の1つのトップになり、囚人たちの文化をつくり変えました。TEDをみると、そのリアルの一端を感じられるかもしれません。(『Who you are』を読んだあとだと、彼が武士にみえてきます)

ギャング団には『掟』が始めからあったものの、それを「ただ文字面通りに実行するだけではダメだ」と、彼は気がつきます。暴力による脅しで『掟』を守らせることもできる。だが、他にも物事を解決する道があるはず。。

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彼は(とくに)注目すべき『掟』をいくつか取り上げました。そのうちの1つは、「自分が接してほしいように仲間に接する」

どこかで同じようなことを聞いたことはあっても、その(解釈と)実践の仕方は人それぞれ。彼は囚人たちのことをよくわかっていました。

誰でも、信じられる何かがほしいんだ。」(p.149)

読み書きが不得意な団員たちのためにも、毎週勉強会を開催し、『ビジョンズ・フォー・ブラックメン(ナイーム・アクバー)』、『マルコムX自伝』、『原因と結果の法則(ジェームズ・アレン)』、『思考は現実化する(ナポレオン・ヒル)』をみんなで読み、彼らが信じられるものをつくっていきました。

「囚人らしくない」と感じてしまう彼の行動は、彼自身が信じ、守り続けたいと思った『掟』につながるものであり、その信じる心と行動の継続が、文化として周囲の人達に染み渡っていったのでしょう。


敵ばかり見ていると、周りがみんな敵に見えてくる

シャカ・サンゴールが、組織のトップになったとき。彼はメンバーだけでなく、より多くの人々へ自身が影響していることに気がつきます。

力を持つってことは責任を背負うってことだ。俺たちが普段やっていることが、自分や団員ばかりか刑務所の環境すべてに影響を与えるってことに気づいたのは、ずっと時間が経ってからだっが。団員が出所すると、団の文化を外の世界に持ち出すってことにも、あとからわかってきた。だが最初は、これまでとは違うやり方があることにきづかなくちゃならなかった。そして、そのやり方をみにつけなきゃならなかった自分がどんな人生を生きたいかを本当に決めたのは、そのあとだ。この3段階のプロセスを経るのに、9年もかかっちまった。でも9年でそこまでいけたのは幸運だったんだ。俺はボスだったんで、周囲に邪魔されることがなかったから。だから後戻りしなくて済んだんだ。(p.148)

「これまでとは違う行動(という道)の可能性」に気づき、「それはどのような行動なのか」を考え、「自分はどう生きたいのか」が決まる。じぶんが生涯貫くべき『道』を、自分自身で見出すには、(本の力を借りても)何年もの歳月がかかります。けれど、周囲には日々影響を与えてしまう。。

それは、経営する企業と社員と社会も、同じこと。

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「社外のライバルは、とことん蹴落とす。だけど俺たちは仲間だよな」という社員のことは、たしかに信用できません。(「こいつ絶対、俺のことも蹴落とすだろうな」と思ってしまいます。)

「その商品は、どこで差別化するのか?」と競合優位性ばかり気にすると、敵を意識した商品開発が進んでいきますし、『商品そのものの違い』という枠にとらわれてしまいます。

「新規事業というが、何が新規なのか?」という問いに注目し続けると、わかりやすい目新しさを追い求めてしまい「既存か、新規か」という何も生み出さない度重なる会議と、謎の判断基準が新規に生まれたりします。


組織の行動規範は「我々はどのようなことに注意を向け、どのように力を注ぐべきか」を決定的に定めるもの、のようです。では、自分の会社はどんなことを大事にすればいいのでしょうか。「多様性を大事にする」という時代において、みんなが守るべき特定の行動規範はあるのでしょうか?

次回は『多様性の達人』といわれるチンギス・ハンのお話です。ここまで読んでくださり有難うございます。でわでわ。