Lobsterr Letter vol.31
さいきん友人がおしえてくれた、Takramの佐々木さんが選出しストーリーが毎週届くLobsterr Letter。
佐々木康裕 YASUHIRO SASAKI
クリエイティブとビジネスを越境するビジネスデザイナー。Takramでは、幅広い業界でコンサルティングプロジェクトを手がける。
19/10/21にとどいたVol 31から、一部紹介したい。
Guest Editor’s Outlook
Optional Minotake-ism
「ちょうどよく生きる」ための勇気
ユカ、人はね。自分の身の丈を知るってことが大切な時だってあるんだよ
そう父に言われた少女は、自分の欲に突き動かされ「もっと」をもとめて、仕事や住む場所をかえ、足りないを埋めてきたが、「すべてを得ることはできない」ことを教えてくれた友人の充実感に溢れた「ちょうどいいライフスタイル」が彼女をかえた。
「選択的身の丈主義」ということばで、目の前の楽しいことだけ追い求める快楽主義でもなく、行動として穏やかに幸福を追求する姿は、ビジネスのありかたにも示唆を与えてくれる。
フェイスブックやAirbnbへ続こうと、多くの起業家がテックジャイアントになる日を夢描き起業した時代から、ジャイアントにはなれないけど力強いソーシャルパーパスとニッチな規模感でビジネスを継続していこうとする、D2Cスモールビジネスの爆発的な増加にも表れていると思っている。
売上、利益、株価をもとめる資本主義経済のルールに従う道以外にも、小さくも温かく強い、手の届く範囲を幸福にする人生だって、素晴らしい。
高橋ユカ|YUKA TAKAHASHI
フリーランスの人類中心ストラテジスト。東京発のソーシャルクリエイティブマガジン『Be Inspired!』(現『NEUT』)を立ち上げたのち、「デジタル版ハーバード大学」とも称されるスウェーデン・ハイパーアイランドへ留学。フランスでのオグルビー勤務を経て、2019年4月に独立。
🌏What We Read This Week
「Not-Comバブル」の到来
UberやWeworkの騒動を2000年のバブルと重ねる人は多いが、注意深くみるといくつか逆のことが起こっている。
ひとつ目のポイントは、2000年当時は公開市場の投資家が大きな被害を被ったのに対し、今回のバブルは上場前のマーケット・投資家が損失を被っているということ。UberやLyftの株価が低迷していることで、上場前の最終出資ラウンドの投資家はリターンを出せる状況にない。
2点目──これが最も重要な差異だが──のポイントは、現在のバブルの主役たちはテック企業ではない、という点だ。実は、主力製品がソフトウェアである企業は、今回の危機とは無関係だ。
現実社会でリアルなモノを扱う会社の株価パフォーマンスが低迷している。だから「Not-Comバブル」。「ソフトウェアが世界を食べ尽くす」という格言はまだ生きている、という。
株価は市場からの期待値の揺れ動きであり、UberやWeworkはDtoCで消費者にとっての知名度が高すぎ、目立ちすぎるがゆえに、ビジネスモデルや競争環境に詳しくない個人投資家の、感覚的で世論的なものにより大きく左右されるのは致し方ないけれど、生活に根ざしたテクノロジーインフラになることは間違いないはず(Weworkはその点、フットワークの軽い人の仕事に根ざしているので危ういかも。。)
Lobsterr Letterは、読みやすいコンパクトなレターというかたちをしつつ、とても示唆深い、学びのある、考えさせられるトピックを届けてくれるので、ぜひいろんな人におすすめしていきたい。(すでに社内ではちょくちょくPRしています)