まるで陶芸作品、湿式タイルの魅力
湿式タイルとは
粘土をこねて形を作り、窯で焼く。
陶芸でつくる器には独特な雰囲気があります。
タイルにも、この陶芸品のように水分を含んだ粘土を使い、手間をかけて作られるものがあります。それが湿式タイルです。
湿式タイルは水分を含んだ土をしっとりと柔らかく練りこんでから形を作り、長時間かけて焼き上げます。
湿った粘土を焼くのはとても時間がかかります。また、加熱が難しく、その日の気温や湿度によって出来上がりが変わります。そのため焼成中に収縮やひずみが生じやすいのです。
窯を開けてみないと分からないこの製法がやきものの面白さでもあり、難しさでもあります。
このような製造法のため、残念ながら大量生産ができません。
丁寧に作られた湿式タイル。仕上がりを見ると、それが特別なものであることがわかります。湿式タイルならではの魅力は、見る人を引きつける独特の表情にあります。
■マロック/約154×75 mmx厚約10mm
表面に見えるスジや凹凸は、粘土に含まれる土の成分や水分が飛ばされることで現れます。湿式タイルにはこのような独特な表情が生まれます。
湿式タイルは色合いを柔らかく見せる特徴があります。釉薬のムラがそのように見せるのでしょう。陶芸品のような表情をしています。
釉薬(うわぐすり・ゆうやく)とは?
素焼き段階で表面に塗布する薬品のことです。塗布しておけば、焼くことでガラス質になります。タイルの色は釉薬で作ります。仕上がりにツヤ感を出します。釉薬は水の浸透を防ぎ、タイルの汚れを防ぐことが可能です。
■カレ/約105×105 mm厚約10mm
アンティークのような風合いが素敵な施工です。目地幅をちょっと太めに作り、目地を丁寧に凹ませた施工です。この凹凸により立体感が出て、太陽光や照明などの光が当たると陰影が生まれます。
■ティシモ/約300x300mm厚約10mm
上記の画像は「ティシモ」です。
実は湿式成形に不向きなのは、モザイクタイルのような極端に小さなサイズのタイルです。粘土を押出しピアノ線で切断して一つ一つのタイルを成形していくため、成形の効率が悪くなります。そのため、湿式タイルで作るモザイクはとても珍しく、ティシモはとても贅沢で珍しいタイルです。
釉薬のムラがとてもいい味わいを出しています。ムラのある色合いやぽってりした質感は、なんだかほっとする素朴さがあります。
湿式タイルと乾式タイルの違い
左は湿式タイル、右は乾式タイルといいます。
右の乾式タイルはすっきりした雰囲気であることがお分かりでしょうか。これは湿式タイルではなく、乾式製法で作られたタイルです。
形成方法の違う「乾式タイル」とは
タイルの製法には、湿式タイルとは別に「乾式タイル」があります。
乾式タイルはパウダー状の成分を使います。
乾燥や焼成する時間が短く、均一な仕上がりになるので、一度に大量のタイルを効率的につくることができます。近年進化しているインクジェットプリントの技術も加わり、様々な色や模様のタイルが生まれています。このプリント技術は本物の石かタイルか、一般の人が判別することはできないほど、デザインや表現の幅が広がっています。
湿式タイルに比べて伸び縮みが少ないため、寸法精度が高く品質が安定しています。乾式タイルは均質でシャープな印象のタイルが出来上がります。
まとめ
いろいろなタイルがありますが、風合いから選ぶ方法なら是非「湿式タイル」を選んでみてください。陶芸品のような風合いがある湿式タイル。特別な風合いが魅力的です。独特な雰囲気が漂うので、特別な空間を作ってくれるでしょう。
セラコアミッド店でお待ちしています。