🎖果たして｢会長｣と言うのは必要なのか

零細企業になると基本的には家族経営であることが殆どです。
東京や大阪ならいざ知らず、少し郊外に出たとこの零細企業で親族以外の人が会社を受け継ぐケースって言うのは殆ど聞きません。

会社と言うのは親族以外の人が２代目社長になる場合、２代目社長のしてのプレッシャーが親族に継承された時より強くなるでしょうし、親族が２代目社長やるにしても２代目社長は他業界に就職していた状態から継がされることも多いため、意外と不満を持っていたりします。

親族以外の人が会社を継ぐ場合の不安と親族が会社を継ぐ場合の不満というのは、事業継承をする上で難問の課題かと思います。
歴史がそこそこある会社ですと高齢創業者が現役で、会長という役職に就いていることが少なくないと思いますが、ご存じの通り会長というのは名誉職としての側面が強い役職です。

そこで今回は「会長」という存在の是非について考えてみたいと思います。

🔆会長の単純経験値は多い

会長という存在は言ってしまえば「元・社長」であることが多く、経営者としての経験が長いということが特徴です。
経験が長いが故の勘の良さというものはあり、正の作用として機能すれば現社長の良きアドバイザーになれる、と言う面はありますね。

ただし、これは会長⇔社長の相互関係が良好であることが条件です。
零細企業の話を聞く限りそうではないことが多く訊かれます。
こうなると「会長」の負の側面が大きく出てきます。

💠指揮系統が二重に存在して現場が混乱する

一方、会長が実権を手放していない場合、指揮系統が二重に存在します。
会長と社長で方針が統一できていればいいのですが、零細企業の会長と社長で意思統一できていないことは、よくあるケースのようですね。

現職では会長と社長の親子仲が良くなかったのですが、仕入先となる会社の話を聞いてみても似たような状態になっているようです。
アパレル業界の染工場や縫製工場は跡継ぎがおらず、廃業していく話はよくありますが、跡継ぎがいても親子で方針が異なりすぎるというのは、良く聞いた話です。

指揮系統が二重に存在する場合、現場は混乱します。
いわゆる要領の良い人はそれでも立ち回れますが、そうでもないとダブルバインド（二重拘束）でストレスが溜まります。

💻派閥争いの一因にもなって社員間でも対立…

会長と社長の関係が良好でない場合、組織内で派閥間対立が生まれてしまいます。
１０人に満たない小組織でも派閥対立が起こるので、中規模組織になると余計に深刻になります。

ちなみにＩＴ化やＤＸは会長派に阻まれます。
会長派によってＩＴ化が阻まれる要因は次の要素が挙げられます。

・派閥が高齢である
・経験マウントという強い武器がある
・組織においてマジョリティ（多数派）である

これは零細企業のＩＴ化を阻む要因になっているとも言えるでしょう。
いわゆる年功序列社会では経験が絶対的な正義として君臨しやすいです。

もちろん経験が絶対的正義にならないことはミッドウェー海戦で零戦がワイルドキャットに負けていることからも示されているのですが、これが対外ビジネスならいざ知らず、社内の派閥抗争では大抵ベテランが勝ちます。

そのため、ビジネスが前に進みません。
１０人に満たない組織ですらこんなことが起こるので、中規模に育った組織になるほど不毛な派閥争いで失う利益が大きくなります。

こんな感じで会長職の必要性に関しては、結構疑問を持ちました。
一方で、会長として仕事を続けることで、悲しいことに会長個人の認知症予防にはなってしまっているのが現実としてあります。

ただまぁ、やっぱり創業者は引退の決断ができないのが常なのかも知れません。
創業者と二代目社長は思想にもかなり違いがあることが多く、特に二代目社長は「元々大きな会社にいた」とか「公務員やった」と言う場合に、家業を継ぐことに対する不満が残ってたりするんですね。

だからこそ創業者は事業継承と引退時期については、キチンとプランニングする必要があるんやと思いますが、零細企業の置かれた現実としては厳しいものがありますね。