新幹線開通後の長崎は移住者を呼び込めるか🚄
9月23日に長崎新幹線の部分開通を控えた今、特急かもめ号に乗っておくため長崎に行って参りました。
本来なら8月は帰省して9月に長崎へ行こうと考えていたのですが、新幹線開業前倒しにより、8月に長崎へ行っておかなければならなくなってしまいました。
今後、長崎へ行くにはリレーかもめ号で武雄温泉駅で乗り換えて行くか、みどり号で佐世保まで行って佐世保線の快速で行くかで対応する必要が出てきます。
佐賀県としては佐賀駅と博多駅は新幹線開通による時間短縮は殆どないことから、並行在来線問題を抱えて料金も値上げになる新幹線開通に賛同しない可能性が高く(国やJRが北ルートや南ルートで開通するなら別)、長崎新幹線は今後も武雄温泉ー長崎間だけを繋ぎ続ける可能性が大です。
長崎ー福岡間は1回の乗り換えが必ず必要になりますので、JRや長崎県の思惑とは裏腹に、観光客は減る可能性があります。
そうなると今後、長崎市に必要なのは観光客を呼ぶこと以上に、住民を増やすことが必要になると思いますが、ここで累計半月の滞在歴から見て、長崎に住むことにどんな懸念があり、どんな魅力があるのか考えてみます。
🏔三方を山に囲まれ南が海
長崎市の特徴を一言で言うと〖要塞都市〗です。
長崎市のシンボルに女神大橋という巨大な橋があり、歩いて渡ることが出来るのですが(車は有料です)、北側を見れば長崎市が要塞のような作りになっていることがわかります。
決して標高は高くはないですが、長崎市と言う街は三方が山、南が海という地形をしており、海から入るにしても真っ直ぐ長崎市街地へ入り込めるわけではないので、飛行機で爆撃する以外の手段では攻撃しにくいという要素があります。
長崎市には三菱(特に重工)が集結しているのですが、岩崎弥太郎も考えたなと思わざるを得ない地形です。
恐らく単に観光する上では特に気にならないポイントですが、住む上ではちょっと大きなポイントになります。
🚙懸念ポイント:街の至るところが坂だらけ
まず長崎に住む上で最も大きな懸念がここです。
「街の至る所が坂だらけ」ということです。
GoogleMapを見るとわかりますが、住吉や赤迫のエリアはところどころ階段が存在します。坂が急なので、車では回り道が必要なんですね
「三方が山に囲まれている」という点では京都も同様なのですが、流石に京都は街中に坂は多くはありません。洛中は比較的平らですし(だから桓武天皇が都をお造りになられたのかなと・・・)、基本的に東山を西に見るようなエリアや田舎部以外では、京都に坂は多く無いのです。
一方、長崎市は住宅街は坂だらけ。港に近いエリアも北側ほどではないですが、街中に坂が多くあります。これがそのまま家賃の高さに繋がります。
🏡懸念ポイント:家賃が高い
九州だと福岡市は割と家賃安いのではないかと思います。
博多区や中央区はまぁ高めですが、東区などは埼玉県北部と殆ど変わらない家賃帯で、得られる賃金を考慮しても決して高いとは言えないレベルです。
一方、長崎は高いです。坂が多いという特色柄、どうしても自由に使える土地が少なくなってしまうわけですね。
そのため、京都の洛中並みに家賃は高くなってます。
勿論「キチンと探せば家賃の安い便利な場所はある」ので、そこはネットをキチンと駆使した方が良いです。
あと、もし移住検討するなら、Twitterでも長崎の不動産屋をフォローしておくことをお勧めします。
🚀懸念ポイント:有事の際は攻撃対象にされる
表向きは(原爆を落とされたから)平和都市としてやっていくと言っている長崎市ですが、太平洋戦争の前と後で大きく産業転換が行われたわけでもありません。
長崎市は歴史的に三菱によって支えられている街でもあります。もし長崎移住をする場合、三菱関連の企業に就職(転職)する可能性は高いかも知れません。
基本的に長崎観光をされる時は長崎市の東側(長崎市の建前:綺麗な部分)を回ると思いますが、西側(長崎市の本音の部分)には〖三菱通り〗と言うなの通りがあり、何なら〖(三菱)電機前〗と言うバス停もあります。
重工記念病院は名前の如く、元は三菱重工の社員病院でした。
そして、三菱重工がイージス艦を造っているのも長崎市です(戦闘機は名古屋工場なのだとか)。
一応、三菱重工も売上の殆どは民需が占めていますが、長崎市は巨大な造船工場が。お隣の長与町には魚雷製造工場があります(三菱重工は日本で唯一魚雷を造れる企業です)
これは言い換えると、三菱が集結しているからこそ有事の際の危険度はアップするということになります。なんなら戦前に大和型戦艦:武蔵が造られたのも長崎造船所(これは具体的に市内のどの辺りにあったのかよくわかりませんが)。
因みに太平洋戦争中に武器を造っていた工場は住吉(今は住宅地)の辺りにあったそうです。
勿論、有事の際に真っ先に狙われるのは日本の首都機能が揃う東京ですが、今も(主に造船面で)武器を造る能力を有する長崎市は、有事の際の危険度はそれなりに高くなります(だからこそ平和が一番)。
🌞懸念ポイント:夏が長くて冬は晴れない(意外と寒い)
長崎って夏が長いんですよね・・・。
ペットとして飼われ、漢方としても使われるゴキブリに〖サツマゴキブリ〗と言う種がいるのですが、名前の通り薩摩(鹿児島)出身のゴキブリです。
いつからか国内外来種として長崎にも入り込み、場所によってはワモンゴキブリと一緒に干からびております。
こうした南方系のゴキブリが居つくだけあり、夏が長いです・・・。
9月の後半になると本州では早晩は涼しくなり、日中も6月の気温くらいまでは落ち込むのですが、長崎は8月と殆ど変わりません。暑いです!!
ところが冬に行くと、京都並みに寒い日があったりもします。雪は積もりませんが、割と降りますね。
尤も長崎が面してる海は〖東シナ海〗ですからね・・・。
因みに長崎とほど近い緯度は韓国の済州島です。済州島は南側は亜熱帯に近い気候だそうですが、長崎の気候も勿論亜熱帯に近いです。
⚓長崎いい所:港町だけあってオシャレ
長崎の良い所を挙げるとすると、一つには港町だけあってオシャレな街並みというところが良いポイントです。
お酒が好きなら港のバーで飲むのも一興かも知れません。
流石に横浜・神戸ほど派手ではないですが、夜景は綺麗です。
🚢長崎いい所:船でのお出掛け先が幾つかある
週末旅行に船で先もそこそこ多いのが長崎の魅力の一つです。
高島や伊王島と言った市内の離島だけでなく、五島列島にも行くことが可能です。釣りが好きな人なんかは、ちょっと船で離島に行ってみるのも楽しいかも知れません。
鯛の裏に行く時は本数が極端に少ないので注意が必要ですが、それ以外の場所に関してはそれなりに本数はあります。
🪐長崎いい所:綺麗な夕陽スポットにも恵まれている
マイカーで行く前提になりますが、夕陽の綺麗なスポットも幾つかありますよ。
大きな見どころは弁天白浜海岸です。
弁天白浜にはリンゴ岩とも呼ばれる怪石があります。
この辺りは隠れサーフスポットでもあり、たまサーファーが遊泳しております。人も少ないため、ディープな長崎観を楽しめます。
尤も、長崎市って結構広くて、大村湾(320㎢)より大きいのです。
現実的な生活範囲はバス酔いしない人で福田の辺りまで。バス酔いする人は路電のエリアで暮らすことになるでしょう。
長崎バスは平日ダイヤ、土曜日ダイヤ、日曜日ダイヤの3種類が存在し、ダイヤが割と変則的です。少々覚え辛いダイヤなので、バスで生活する場合はそこは留意した方が良いポイントですね。
さて、長崎新幹線は9月23日に開業が決まりましたが、佐賀県下は未開通区間として残り続けます(未着工ではないですよ)
佐賀県が当初合意していた内容はスーパー特急方式であって、フル規格新幹線ではない(前提として並行在来線問題が発生しない)ため、フリゲージトレインが無理になったからと言って「じゃあフル規格新幹線で」とはならないんですね。
佐賀県にとって「在来線の利便性が損なわれないこと」は絶対条件になってますんで、佐賀駅経由ルートでは永久に問題は解決しないことになりそうです。
恐らく旅行者は今後、一部の鉄オタを除いて博多駅からバスで1本で行く、または長崎市へ行くのを止める(別の場所へ行くようになる)旅行者が出てくると思われます。乗り換え面倒ですからね。
するとまぁ、観光客を取り込む以上に、長崎市は定住者を増やすことの方が大事になります。
長崎市も路面電車が走るくらいには中心部は都会で、景観も良いので、ある程度は不自由なく暮らしていくことはできるでしょう。
一方で、移住をするにはキチンと欠点も把握しておく必要があります。
何一つ欠点の無い街って滅多にないです。
長崎市は地形的に街自体が天然の要塞であり、要塞のような地形であるが故に陸の孤島になっている県都とも言えます。
まぁ、言うて私は夏が苦手です。そういう意味だと夏が長い長崎(というか九州全体に言えそうなことですが)は「東京に住むよりは全然マシかな」って言う感覚ですね。
それと、もし東京23区在住の方で長崎移住を検討する場合、ふるさと回帰支援センターへ行かれることをお勧めします。
長崎駅前にも相談窓口はあったのですが、基本的に定期的な相談をした方が良いと思っていて、例えばどんな助成制度があるかとか、どんな仕事があるかは直接聞いた方が良いと言うのがあります。
なんだかんだで東京で満員電車に耐えながら過ごすよりは、質の良い暮らしが出来るのかなと思いますよ。