会社員でなく個人で働きたい人が知るべきこと ーマネササイズ!
働き方改革とコロナウイルス感染症拡大の影響で、我々の労働環境は急激に変化しています。個人事業や会社経営の経験がない方でも、そのような働き方を思案する方も少なくないと思います。会社員勤めを定年までやるのか、転職を繰り返すのか、漠然と先が見えないと、余計にそう思いがちです。ただ、一つ言えるのは、勢いで会社員を辞めると後悔することが多いです。今回は、個人で働こうと思う人が知るべきことについてのお話です。
会社員であることで金銭面の不安は強く和らぐ
会社員の中でも月給制の正社員は、毎月一定のお給料が発生します。ごくごく当たり前のことですが、会社員しか経験がないと、この貴重な有り難みがわかりにくいです。個人で働く人の多くは、毎月の売上高が安定しません。何時間働いても時給に相当する売上高はあげられないかもしれませんし。さらにアルバイトなどを雇ったり、仕事に必要な設備投資(パソコンなど)をしたりすれば、コストを払うとなり赤字になることさえあります。
それでも自分自身が健康体であればまだ頑張れるかもしれません。病気で働けなくなってしまったらもっと大変です。自営業や企業の代表は雇用保険には入れませんので、出来る仕事が無くなっても失業手当である基本手当はもらえません。また、企業が加入する健康保険ではなく、国民健康保険では傷病手当金がもらえません。業務上の事故においても、労災保険に入れなければ、治療費は自己負担になります。
したがって、金銭面では会社員として働く方が圧倒的に有利です。裏を返すと、個人で働くことを選択するのであれば、不安定な収入や処遇を受け入れなければなりません。ただ、時間の使い方は自分で決めれると言うのは個人で働く最大のメリットです。
個人で働く際に簿記だけは勉強しておいた方が良い
個人で働くにしても、経営するにしても、事業年度ごとに決算が必要です。また、決算期以外でもお金の流れを常時把握する必要があります。その点で簿記の知識は強力なツールです。もし、税理士や代行会社に丸投げするとお金の流れは把握できなくなります。せめて個人事業の範囲であれば、会計ソフトを使って自己管理したいものです。その管理のためにも、簿記の知識は持っておいた方が良いです。無論、近年は会計ソフトのユーザーインターフェースはかなり優秀ですので、仮に簿記が出来なくてもある程度は大丈夫です。しかし、簿記の知識があると、仮にソフトが自動仕分けなどで帳簿のつけ方を間違っても、自分で修正することができます。
必要な簿記のレベルですが、目安は日商簿記の3級です。3級は簿記を勉強する人の入門レベルになりますが、実務上は十分です。2級以上は工業簿記や商業簿記に分かれており、全部マスターすると時間もかかるので、個別に役立ちそうな部分を個別にやれば良いと思います。
ちなみに、3級であれば2−3ヶ月の独学で試験に受かる程度になりますし、専門学校でもかなり安価で通うことが出来ます。簿記を全くやったことがない人は、考え方のコツを掴むためにもスクーリングを行うかリモート学習を行った方が安心かもしれません。
すぐ会社を辞めるのではなく、パラレルワーク・複業から
厚生労働省は2018年、パラレルワークについて、企業や働く方が現行の法令のもとでどういう事項に留意すべきかをまとめたガイドラインを作成しました。さらに、企業も働く方も安心してパラレルワークを行うことができるようルールを明確化するため、2020年9月にガイドラインを改定しました。テレワークも普及してきた昨今、会社員を続けながら、週1日とか別の仕事をやるのも徐々に増えてくるでしょう。
パラレルワークの良い点は、会社員の最大のメリットである金銭面の安定を享受しつつ、個人で働く練習を少しずつ出来る事です。この練習は、座学の勉強だけで行うよりも、実践する方が圧倒的に効率が良いです。給与以外の収入があると、その金額によっては確定申告することもあるので、税務の知識も勝手に身につきます。就業規則で兼業禁止など規則上問題がないようであれば、いきなり会社員をやめて独立ではなく、まずパラレルワークをやってみることが良いと思います。