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BookTalk『ジミー』/誰かの“特別”でありたい

「私、変でしょう?嫌でしょ?」
そう畳み掛ける主人公マイが、自分と重なった。

あぁわかる。これは私だ。

ほんとうは丸ごと受け入れてほしいと願っているその気持を、素直に言えずに胸の奥に仕舞ったまま、相手に刃を向けて詰め寄ってしまう。

女って、どうしていつも、“ほんとうの気持ち”より先に相手を試してしまうんだろう。

「私、感じ悪いでしょ?すぐに反論するし。ご飯いっぱい食べてそれがいいって言ってもらったのだから、ニコニコしていればよかったでしょ。そんな女の子の方が好きでしょ。そうしていればいいのに。私、他の人の前ではできるの。だけど、ジミーには言いたくなる。文句や不満の多い人になる。リリーみたいに素敵でもないのに、美人でもないのに、言い返すばかり」


発売当初からどこかずっと気になっていた、青海エイミーさんの『ジミー』を、やっと読んだ。


わたしと同じく未経験からインストラクターデビューし、おそらく年代も近く、文章を書くことが好きで、「わたしもいつか本を出版したい」という密かな思いを先に実現させたエイミーさんへの勝手な親近感もあって手に取った本。

小説なんて、学生時代以来ほとんど読んでいなかった。それどころか、本そのものからも随分遠いところに来てしまっていたのだけど、ここ最近再熱した読書欲の延長で、「今だ!」と思って買った。

そこには、読んでいてハッとするくらいに、若かりし頃の、そしてもしかしたら今も心のなかにいる、“もう1人のワタシ”がいた。

「誰かの特別になりたい」という想いは、おそらく物心がついたときから持っていたのだと思う。いやむしろ、そのためだけに生きてきたと言っても過言ではない。
それなのにいつのまにか、学校というシステムのなかで、自分が工場に並べられたイチ部品のように感じていた。

並んだなかで一番いいな、と選ばれるのではなくて、どこにいても、その人には私の存在だけがぴかっと光って「おお、彼女になってくれ」と思われたい。
贅沢なのだろうか。


あの子みたいにに痩せなきゃ、とか、あの子みたいに可愛くならなきゃ、という気持ちと同時に、自分の“分”をわきまえて行動しなければ、と、どこかずっと思っていた。はみ出してはいけない、自分の与えられた“分”以上に目立ってはいけない、と。


まるでブレーキとアクセルを同時に踏むように、もっと上へと願いながらも、与えられたゲージを壊さないように、周りの目を気にしながらめいっぱい気をつかって生きていた。

でも誰だってほんとうは最初から特別な存在で、代わりの効く部品なんてどこにもいない。そんなシンプルなことを、あらためてそっと思い出させてくれる、やわらかな小説だった。



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