BookTalk『ジミー』/誰かの“特別”でありたい
「私、変でしょう?嫌でしょ?」
そう畳み掛ける主人公マイが、自分と重なった。
あぁわかる。これは私だ。
ほんとうは丸ごと受け入れてほしいと願っているその気持を、素直に言えずに胸の奥に仕舞ったまま、相手に刃を向けて詰め寄ってしまう。
女って、どうしていつも、“ほんとうの気持ち”より先に相手を試してしまうんだろう。
発売当初からどこかずっと気になっていた、青海エイミーさんの『ジミー』を、やっと読んだ。
わたしと同じく未経験からインストラクターデビューし、おそらく年代も近く、文章を書くことが好きで、「わたしもいつか本を出版したい」という密かな思いを先に実現させたエイミーさんへの勝手な親近感もあって手に取った本。
小説なんて、学生時代以来ほとんど読んでいなかった。それどころか、本そのものからも随分遠いところに来てしまっていたのだけど、ここ最近再熱した読書欲の延長で、「今だ!」と思って買った。
そこには、読んでいてハッとするくらいに、若かりし頃の、そしてもしかしたら今も心のなかにいる、“もう1人のワタシ”がいた。
「誰かの特別になりたい」という想いは、おそらく物心がついたときから持っていたのだと思う。いやむしろ、そのためだけに生きてきたと言っても過言ではない。
それなのにいつのまにか、学校というシステムのなかで、自分が工場に並べられたイチ部品のように感じていた。
あの子みたいにに痩せなきゃ、とか、あの子みたいに可愛くならなきゃ、という気持ちと同時に、自分の“分”をわきまえて行動しなければ、と、どこかずっと思っていた。はみ出してはいけない、自分の与えられた“分”以上に目立ってはいけない、と。
まるでブレーキとアクセルを同時に踏むように、もっと上へと願いながらも、与えられたゲージを壊さないように、周りの目を気にしながらめいっぱい気をつかって生きていた。
でも誰だってほんとうは最初から特別な存在で、代わりの効く部品なんてどこにもいない。そんなシンプルなことを、あらためてそっと思い出させてくれる、やわらかな小説だった。
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