京丹後エリアは暑い、いや熱いです。
地域との共創とか共生というテーマで各地に伺うことも多いこの頃。
有識者会議などでお世話になっている、近畿経済産業局さんとの事業で京丹後を舞台に、近畿経済産業局主催の「Local Luxury Vol.1」が開催されました。
ちなみに大阪にいる我々にとっては近そうな京都も京丹後は遠い。
興味深い会社があることは知ってますが、そんな頻繁には行くことが難しいエリアでのあります。(空港もあるけれど、、、)
【「地域の風土、歴史、産業や記憶、そして人」 歴史的価値を有し可能性を秘めた地域・企業を舞台に、キーパーソン・アトツギが集って有識者との交流を通し学びを深め 「ローカル・ラグジュアリー※」を実証する、付加価値の高い地域産業を創り出す価値創造セミナー。】なるプログラム。
で、ここからは、
同行してくれた、スタッフのTさんの回顧録を交えて・・・。
(スミマセン、僕のブログなのに僕が書いていないのですが(汗)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ローカル・ラグジュアリー」と聞いて、私はなかなか耳慣れない言葉だと感じたのですが、「その土地でなければ味わえない貴重で豊かな体験や時間のこと」を指します。今回は現地での交流を通してそれらを実証する、付加価値の高い地域産業を創り出す価値創造セミナーです。
車で近畿経済産業局を出て3時間。やっと到着。
まずはクスカ株式会社さんを訪問
中に入ると早速ネクタイがお出迎え。
商品を眺めているうちに続々と事業者の方々も集まって、第一部が始まりました。
まずは代表である楠さんから、日本最大のシルク織物産地である丹後地域についてと、自社ブランドの立ち上げに至るまでのお話がありました。特に印象的だったのは、独自性の追求と流通改革が鍵になるというお話です。
冒頭に感じた独特な艶のある質感の正体は、素材に空気を含ませながら絡み織りでゆったりと織る3次元の織物組織。それを可能としているのが、手仕事によって生まれる生地の膨らみと陰影、そして優しい風合いだとのこと。
手織り (手工芸) から産業革命が起こり、機械化 (工業化) され画一的で生産性のみを追い求める大量生産・大量消費のものづくりではなく、職人が生み出す手織りの質感をグローバルに表現するものづくりがしたい、と独自性を追求し続けてきたからこそ成せる技術だと感じました。
また、そうした商品の魅力や込められた想いをしっかりと伝えるために、問屋を介さず直接お客様とつながる流通改革が行われたことがわかりました。
続いては楠さんのガイドによる工場見学。
職人さんが実際に働いている工場の中を巡りながら、織機の構造や3次元の織物組織についての説明がありました。
見学の途中で職人さんに直接お話を伺うことができました。
手織りだからこそ、織り手によっても力加減でも布地の表情は大きく変わるそう。
「ネクタイに限らずもっと大きい幅で織りの美しさが見えるといいのに、、!」と話されている姿が印象的で、織物に対する職人さんの想いがそのまま生地に表れているように感じました。
一通り工場見学を終え、クスカさんの訪問はここで終了。
ちなみに
クスカさんの工場を右手に回ると見えてくるのは、アーティストの210さんが手がけた壁画アート。kuska fabricを代表する織り柄のガルザ柄、丹後の海、丹後の生き物を表現したのだそう。
壁画のブルーに丹後の山々が映える、工場見学の際には記念に撮って帰りたい写真スポットです。
基調講演、事例紹介とトークセッション
クスカさま訪問の後は、第二部の会場となるATARIYAへ移動。
ATARIYAは、与謝野町で親しまれた元料亭「當里家」を
リノベーションしたイノベーションハブ。
1階には、厨房(KIT-KITCHEN)、ショーケース(TANGO CELLAR)、ワークスペース(ENGAWA)。2階には、40畳の畳が敷かれたスタジオ(40JO STUDIO)があります。
第二部では、弊社代表と、観光産業等をテーマに会員制イノベーション創出拠点を行っているMUIC Kansaiの益子さんの基調講演のほかに、与謝野町を中心にまちづくりを行う株式会社ローカルフラッグの濱田さん
Uターンしてアトツギとなり、
刺繍文化のアップデートを行う三つ葉商事の山下さん。
会場であるATARIYAを運営する株式会社ウエダ本社の王さん
が登壇され、
それぞれが行なっている事例の紹介とトークセッションがありました。
トークセッションでは、地域の魅力を伝える方法としてさまざまなアプローチがあることや、ファクトリーイベントで起きている課題などさまざまな意見が交わされました。
セミナーを終えて
「Local Luxury Vol.1」への参加を経て、実際に現地に赴き、現場を見て話を聞くことで初めてわかることが多くあることに改めて気づきました。
土地の風土や技術はもちろん、人々の想いや背景を直接その人の言葉を通して知ることで、その魅力への理解が随分と深まったように感じます。
デザイナーなので、デザインを通してそうした魅力を少しでも多く伝えていけるよう、今後も機会があれば足を運び、日々の仕事に繋げていきたいです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
というわけで、この冒頭見学に伺ったクスカさんのネクタイを以前京都の展示会で購入した際に社長の楠木さんに現場の話も伺っていたこともあって、いつか現場を拝見したいなと。というのは事業継承された際に、量産できる織機をすべて廃棄し、手機だけを残して進めてこられたことに、とても驚いたので。
そもそも手機を活かすというのは廃業先のモノなどをかき集めていくしか方法もない、そして国の補助金は使いづらい(新設備ではないので)、そして何を作っていくのかというところで、あえて手織りでしか表現できない生地でネクタイをつくったという・・・。スーツは高級路線の市場もあるわけで、中小の工場であればその世界で通用する価格帯で展開できると考えてのことだったのかなと。
現在では極細の極細に加工された革紐を編んで新素材にも挑戦されてます。
変数と定数。変えられるところを変えていかなければイノベーティブはしない。
実はこの機会にいろいろな方々との交流機会もあり。
京丹後には工業系の文脈企業さんでも変態(褒め言葉)さんがいることを知り
更に興味をいだいてます。またこの地に訪れたいと思ってます。
視察レポートを会てくれたスタッフありがとう。
この2年大阪に入社してくれたスタッフは、デザイン系の学部ではなく、工芸の学部出身者ということもあって、本人たちからの自発的な要望があれば、産地や現場に行けるタイミングに同行させていこうと考えてます。
僕は「連れて行ってください!」「見たいです!」「やりたいです!」というやる気満載モードな人にはチャンスを作りたいと考えてます。