第17歌 ラフマニノフの指
《 私にピアノを教えてくれた人は
大きくて古い教会のオルガニストだった
背が高くて 大きな足をしていた
短調のショパンの曲を長調に弾いてみせて
冒涜だ、と笑った
私にどうだって音楽はできると教えてくれた
あの人は 壊れた鍵盤からも美しい音を出した
指が長くて 鍵盤の上をひらひらと舞った
長い指を褒めるといつも
ラフマニノフは
もっと長い指をしていたんだよと言った
私はラフマニノフの指が弾く
バッハのオルガントッカータも
繊細な音も
穏やかな声も 大好きだった
たったひとつ
ラフマニノフの左手にあった
指輪をのぞいては 》
御礼⭐︎写真はみんなのフォトギャラリーから頂きました。
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チェロで大学院への進学を目指しています。
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