ビデオゲーム史:「オデッセイ」
ビデオゲーム史について,ゲーム機ごとにまとめたメモを書き残していきたいと思います。今回は「オデッセイ」(Odyssey) を扱います。
概要
ラルフ・ベアが試作機「ブラウンボックス」をもとに開発した,最初の据え置き型家庭用ビデオゲーム機です。1972年にアメリカの電子機器メーカーのマグナボックス(Magnavox)から発売されました。本体に内蔵された複数のゲーム(『テーブルテニス』など)をプレイすることができました。
カートリッジを差し込むことで,ゲームを切り替える仕組みになっていました。音声出力がなく,スコアを表示することはできませんでした。背景を補うものとして,「オーバーレイ(overlay)」というテレビ画面に貼り付けるプラスチック製のカラーシートがありました。
「オデッセイ」(Wikipediaより転載 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Odyssey_20160501.JPG)
ゲーム機メモ
コントローラーは箱型で2個あります。各コントローラーに3つのつまみがあり,このつまみでゲームの操作をします。各ゲームは1人か2人でプレイします。画面に表示されるのは3つのドット(四角)と縦線だけです。これらのドットのうち,2つは各プレイヤーが操作して動かすようになっています。
ゲームを切り替える役割をするカートリッジは,回路を切り替えるためのもので,ゲームのプログラムはゲーム機本体に入っています。このカートリッジは,のちのゲーム機で用いられるようなROMカートリッジではありませんでした。
ゲーム機本体に,オーバーレイ,ダイス,ポーカーチップ,スコアシート,ボードゲームにあるようなボードなどが付属していました。また,一般にライトガン(light gun)と呼ばれる周辺機器が専用のゲームとセットで発売されていました。
オデッセイに含まれるゲームのひとつである『テーブルテニス』は,1972年に稼働を始めて大ヒットした『ポン』に影響を与えたということが知られています。オデッセイは1975年に販売を終了するまで,約35万台が販売されたといわれています。なお,日本では発売されていません。
以下は,YouTubeにアップロードされている動画へのリンクです。オデッセイで遊ぶ様子を見ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=Dn5e8Fsabpc
最初の家庭用ビデオゲーム機というだけあって,プレイできるゲームの内容がいかにも初期のゲームのものらしく見えます。テレビを使う点は新しいですが,各ゲームで付属品が大きな役割を果たしていることから,ボードゲームとビデオゲームの過渡期にあるゲーム機とみなせるかもしれません。