愛工大名電高、甲子園令和初勝利
甲子園2日目、愛知の愛工大名電高と石川の星稜高校の戦いが大いに話題となった。スモール・ベースボールを信条とすることで有名な名電打線が、なんと好投手の揃う星稜から14得点。この試合に勝ったことで令和初勝利となり、早くも平成の勝利数に並んだのだ。今回はこの名電ナインの大奮闘の要因を考える。
揺さぶるも、当てに行かない名電打線
名電打線の各打者を地方大会から見ていると、エンドランなどの作戦以外はほとんどが当てに行っておらず、強く振って痛烈な低いゴロ安打を打っているように見える。一時期、奇抜なユニフォームで話題となった秀岳館高を彷彿とさせるものがあり、犠打を積み重ねてこつこつと点をとるという今までの名電打線とは全く違った印象を持ったのだ。
しかし、それでも「さすが名電だな」と思ったのが初回、星稜の注目選手であるマーガード君から一挙に5点をもぎ取った攻撃である。各打者がバントの構えだけをしたり、低くしゃがみこんでみたりと工夫を凝らし、ボールが先行し置きに行った球を必打しているといった印象である。こうしたことがベンチの指示が、はたまた選手の意思かは分からないが、こうした抜かりのない所は名電の伝統なので2回戦の光星学院高との対戦でも続けて欲しいと思っている。
有馬伽久君はやはり逸材
抜かりのない緻密な攻撃とともに、名電のもうひとつの伝統が左腕の好投手である。名古屋電気高時代の工藤公康に始まり、近年ではそれぞれ現中日、横浜の濱田達郎、東克樹、そして昨年は現広島の田村俊介と素晴らしい左腕エースが名を連ねた。もちろん、その系譜に有馬君が加わることとなるだろう。中盤に故障するまでは、140キロ後半の直球にカーブ、スライダーといった右打者の胸元に食い込む変化球を駆使し、星稜打線を圧倒していたのだ。フォームも名電の左腕エースらしい綺麗な上手投げであり、今オフのドラフト会議では大島高の大野稼頭央君と並び特上クラスの高校生左腕として注目されること間違いないと思っている。今後も10番の岩瀬法樹君、一塁手を兼任している山田空暉君と共に強力な投手陣を築き、勝ち進んで欲しいと思っている。
最後に
今大会の名電は、伝統のスモール・ベースボールに力強さが加わっているので期待大だ。昨年の田村俊介に続き、有馬君が投打の要となることに期待している。