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【G】阿部慎之助新米監督の種まき

 人間に限らず、古今東西いかなる生物も年齢とともに発育し、そして年齢とともに衰えるものだ。それはスポーツ会に於いても例外では無いもの。恐怖の核弾頭として巨人を長らく牽引してきた坂本勇人や、文字通り先発ローテーションの柱として躍動してきた菅野智之といずれは衰え、ユニフォームを脱ぐ時がやってくるのだ。なので、強いチームを維持するためにはそれを見越したチーム作りをすることが鍵になってくる。今現在、新任の阿部監督がそれをしている状況なのだ。今回は、そんな転換期の巨人期待の若手選手3人にハイライトを当てよう。

萩尾匡也は荒削りながらも…

 まず1人目の阿部チルドレンは萩尾だ。まだまだ大卒2年目、昨季は二軍でチームトップの打撃成績を残した正真正銘の有望株である。

 彼の魅力は、やはりパンチ力だ。4月4日の中日戦では救援エースの祖父江大輔からプロ初アーチ。フォークボールをすくい上げ、ナゴヤドームの中断に軽々と運んだ。僕はその試合を5階内野席で観戦していたが、打つべくして打った本塁打であると感じた。打席での構え、バットの出し方、スイングの鋭さ、そして何よりも積極性と全てが若手選手のそれではなく、まるで何年もレギュラーを貼っている選手のようであった。まだまだ荒削り、守備は少し怖く、打撃の調子もいつまで続くか分からない。ただ、5年後にはスーパースターになっていると感じる「何か」を持った選手だ。アマチュア時代は慶応大で四番打者、やはり持って生まれた輝きがあるのではないか。

門脇誠、新打法でも持ち味発揮

 昨季後半、坂本勇人から遊撃手の定位置を奪取した門脇は今季から新打法に。昨季よりもリラックスして構え、軸足にずっしりと体重が乗っているように感じる。このフォーム改良によって、しっかりと球を引き付けて打てるようになったという印象を持つ。開幕2カード目の中日3連戦では、左打者ながらに大野雄大や小笠原慎之介といったエース格の左投手の強い球を逆らわずに流し、クリーンヒットを量産していた。

 もちろん、守備の面でも昨季同様に素晴らしい。俊足、強肩の高い身体能力を存分に活かしたアクロバチックな遊撃守備は、まさに大リーガーのそれである。恐らく、先輩の坂本と併せて30年間巨人の遊撃手は安泰なのではないか。本当に怖いのは故障だけ、僕はそう言い切っていいと確信している。

西舘勇陽と被る最強投手

 ここ数年、壊滅的だった巨人の救援陣に救世主が。今季のドライチルーキー、西舘である。巨人は伝統的にその年で1番いい即戦力投手を獲得しがちであるが、本当の意味での即戦力投手は菅野智之以来なのではないか。

 彼の素晴らしい点は新人投手が躓く点をクリア出来ているところだ。まず1つはクイック投法。そもそもこれが遅く盗塁されてしまったり、自分の間合いで投げられない負担が祟って球速ががくんと落ちてしまったり。そういった事が多々あるのだが、彼はすんなりとやってのけるのだ。また、直球もカタログ通りの豪速球。150キロを下回ることがなく、中田翔や近本光司といったセ・リーグを代表する強打者達をねじ伏せている。

 僕は彼に、浅尾拓也現中日コーチを重ねてみてしまう。飛び上がるような投球フォーム、捕手のミットを「バチン」とつんざく豪速球。まさに全てが浅尾なのだ。ただ、上半身が強いフォームの為故障が心配。彼と同じ運命を辿らなければいいのだが…

最後に

 90年の巨人軍史を見ても、これだけ若手養成に励んでいるのはFAが導入されて以降では初めてのことなのではないか。もはや盟主の面影なく、大物選手がFAで来なくなったのでいっその事生え抜きが牽引する新しい巨人軍を見てみたい。いや、伝統に回帰したと言うべきだ。今からちょうど50年前の、最強巨人軍はONコンビを中心とした生え抜き選手が牽引していたのだから。

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