【詩】あなたと私のグラスハープ
細長いテーブルいっぱいに
驚くほどたくさんのグラスが置かれていた。
パーティーが始まるの?
そう尋ねたらあなたはくすくす笑った。
いや、僕ときみの演奏会だよ。
そう言ってガラスの水差しを私に差し出す。
好きなだけここに注いでごらん。
テーブルの端から一つずつ
こぼさないよう息を詰め
私はそっとそっと注いでいった。
かすかに青い水だった。
注ぎ終わって振り向けば、
青は幾層にも重なって、
濃淡がまるでさざ波のようだ。
あなたが長い指をそこに浸した。
濡れたそれをグラスの縁に置き、
ゆっくりとやんわりと
慈しむかのように撫でていく。
濡らしては撫で、濡らしては撫で。
私は知らず熱い吐息を洩らし
指先の行方をじっと見つめた。
きみが与えてくれたもので
潤った僕の指が触れて音を作り出す。
なんて素敵なんだろう。
あなたはそう言って
濡れた指先で今度は私の頬を撫でた。
その時どんな音が生まれたのか。
あなたの笑顔だけがいつまでも揺れて見えた。