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【写真日記】雨降ってあなたを想う
雨の後の庭は大騒ぎ。
濡れてうなだれただけでも樹形が変わるのに
風に煽られあらぬ方向へと引っ張られ
互いの棘で縫い止めあったつる薔薇たちは
もう自力では元に戻れない。
滴る雫の下で手を伸ばす。
アブラムシに毛虫に芋虫、
オーガニックな庭のみんなは多分同じ。
この時期、名実ともにグリーンな指先で
こんがらがった薔薇迷宮に挑む。
はやる気持ちを抑えてそっとそっとそっと。
なのにもぎ取ってしまった蕾のついた枝先と
手の甲に残された引っかき傷。
![](https://assets.st-note.com/img/1716211067656-jsqvBGh16O.jpg?width=1200)
剪定を兼ねて切り取ったもう一房も。
共に持ち帰って、そっと水に放つ。
うつむくその顔を見上げれば、
ガラスの向こう、
雲の切れ間から青空が見えた。
変化していく世界の中でふと、
自分一人が置いていかれているような
そんな寂しさを感じてしまう。
私が私らしくあるのも簡単じゃない。
私は私でしかないのに不思議な話。
引っかき傷にそっと触れる。
痛いね。
あなたもかしら?
薔薇が甘く香った。
あなたがどこかで泣いていませんように。
いつまでもいつまでも
あなたの好きなあなたでいられますように。