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【詩】書く時間〜シロクマ文芸部〜

書く時間は決まっている
窓辺のテーブルが
仄白く瞬いた瞬間から
朝日が目覚める直前までだ
新月の夜に汲んできた泉の水を
満月の夜に咲いた矢車菊の花びらに
ポタリポタリと垂らしては
水晶のスティックで静かに潰す
お気に入りの色が出るまで
丁寧に丁寧に何度でも
そして結局何も書けない
さあ、と最初の一行
震える手であなたに呼びかけ
大きく息を吸い込んだら
光と共に現れた青空に
その色と全く同じ色した文字たちが
嬉々として絡みとられ消え失せて
ただ白い便箋のみが残される
毎日毎日その繰り返し
けれど私は満足している
ペン先からこぼれたインクも
その色に染まったあなたの名前も
私の頭上を覆う優しい空も
みんなみんな
あなたの瞳と同じ色だから
書く時間は決まっている
私の大切な色があなたの
あなたの一番奥に届くまで


小牧幸助さんの企画”シロクマ文芸部”に
今回は意気揚々初日(NYはまだ7/27!!!)から、
参加させていただきました。
いつもありがとうございます!
お題は「書く時間」から始まる小説・詩歌。

夜明けというか、夜明け前が大好きです。
なんだかすごく特別な気がします。
そんな時間をファンタジーに仕立てました。
引き続きマイブームですので恋心満載で。
叶った恋なのか、叶えたい恋なのか……
ぜひ色々想像してみてください!

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