夏のスケッチブック
汐風の匂いがするカフェテラス
薄く切ったオレンジをアイス・・・と書いたところで手を止め、
ラップトップを閉じて手書きでノートにペンを走らせる
これまで何度飲んだのだろうと考えても答えの出ない
汗をかいたコーヒーを飲みながら
大人を味わう
今が見せる景色たちがある
遠い遠いあの日、麦わら帽子と虫取り網で一日が終わった
突然の夕立はプールをひっくり返したみたいだった
僕らは丘の上の大きな樹に守られながらそれが去って行くのを待った
変わっていく時代や街並みを懐かしもうとは思わない
ノスタルジーに浸って生きていくということは
違うファインダーで過去を覗いているみたいだ
変わりたかったから故郷を去った
もう若かったでは通用しない
ティーンエイジ向けのチープなシネマは要らない
夏の恋をキーにして僕はロマンスのドアを開けてみたいと思った
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